第106話.アナスターシャ 8
『先にスターラビットを倒さない限り、プリンの攻略──クイーン・ビーブラッドの討伐は厳しいと思ってもらっていいぜ』
「……つまり、バフが強すぎる、と?」
『ま、そういうことだ。速度も火力も硬さも、全部意味が分かんねえレベルだ』
「ホリーがそこまで言うって相当なんじゃ……」
『俺もここでかなり怪我したからな』
「「「「「「え!?」」」」」」
ホリーのその言葉に6人は驚きを隠せない。全員、怪我をしたのはボスとの戦闘中だけだと思っていた──いや、確信していたからだ。
それほど、ホリーのポテンシャルは高いのだ。
(そんなホリーが怪我をするレベル……? ヤバすぎんだろ……)
6人は改めてプリンへの警戒を高める。
しかし。
さらに問題なのは、そんな魔物を相手にしながら、手のひらサイズで高速移動するスターラビットを倒さないといけない、という点だ。
そこまで考えたところで、遥斗は改めて今ここにいるメンバーを見る。
ブライトは以前ボスとの戦闘までいったということは、当然この部屋を5人で突破したということになる。
今回はそれに加え、世界で初めて主要ダンジョンを攻略したメンバーが6人。
……。
「いや余裕じゃね?」
どうやらガルムも遥斗と同じ答えにたどり着いたらしい。いや、他のメンバーも頷いているので、ガルム以外もたどり着いているようだ。
「えーっと……前ここを攻略したときは、どうやって戦ったの?」
『あの時は確か、俺とタンクでビーブラッドの攻撃に耐えている間に、魔法使い2人にスターラビットをやってもらったんだっけか?』
ホリーのその言葉にブライトのメンバーは頷く。二手に分かれることで、スターラビットを討伐するときのヘイトを減らす作戦だろう。
「ま、それが一番有効だろうね」
スーザもその戦法には納得の様子だ。
「それじゃ、今回二手に分かれるメンバーは……」
スーザがどちらを対処するかメンバーをざっくりと振り分けようとした。が、それは遥斗の声によって止められる。
「あ、スーザさん。ちょっといいですか?」
「ガルムが1人でビーブラッド──っと、どうしたの?」
「おいスーザ。もうちょっとはやく止まれたよな? 明らかにわざと言ってるよな?」
「まぁスーザさんのその振り分けもいいとは思いますが」
「えっどこをどう見たらいいと思えるんだ?!」
こちらの会話の邪魔など気にせずに、また一匹のビーブラッドが突撃をしてくる。
それをいつの間に取り出したのか、普段は亜空間収納に入れている剣を巧妙に操り、そのビーブラッドから飛行機能を失わさせた。
「アナスターシャのボスに備えてウォーミングアップしたいんで、スターラビットの相手は任せてくれませんか?」
「あれ、もしかして遥斗くん……」
「えぇ、剣聖状態ですよ。よくお分かりで」
「時間制限があるし、止めたほうが……」
そういえばそうだったっけな、と遥斗は思う。そして、この職業をスーザに見せたのがもう半年も前だったことを思い出す。
「スーザさん。そこは気にしなくて大丈夫です」
「というと……?」
「もう、時間制限なんてないですからっ!」
てへっ、と効果音がつきそうな笑みで言う。
「え……えぇぇぇーーーー!?」
スーザは百点満点のリアクションをする。
「ぼ、僕もこの半年で2倍近い時間使えるくらいには頑張ったんだけどなぁ……」
「ま、そういうことなんで、任せてください!」
「うーん……それなら僕からは何も言えないし。死なない程度で頑張ってね?」
「もちろんです」
『え、えーっと……? あいつ1人でいいのか?』
「うん。あの状態なら僕以上だからね」
「剣聖状態でお兄ちゃんが負けるわけないからね!」
『は、はぁ……』
いまだ、遥斗について詳しいことを知らないホリーたちブライトは、ただ困惑の色を深めるだけだった。
プリン編長引いて申し訳ないです…!!
次回できっと終わるはず!
きっと!




