第104話.アナスターシャ 6
「い、いやいや……なんで全員で挑めるんですか……」
『俺もなんでかは知らねえけど、ブライトの1人が体調を崩していたときに、別のAランクの冒険者借りたことがあるんだがな』
「そのときになんかできちゃった、と……」
『そーいうこった』
プリンの扉の前には、他とは違う灰色の魔法陣がある。この状態では、この魔法陣は起動しないらしい。
が、11人が近づくと、息を吹き返したように周りで風を吹き上げながら、鮮やかな水色に輝きはじめる。アリステラとデクシアの攻略が条件というのはこのことだった。
ある程度時間が経つと、一際強く輝いた後に風と光が落ち着く。
そして、先頭を歩いていたホリーの前に、2つの部屋と同じようにステータスボードのような透明な光の板が現れる。
【9人でプリンに挑まれますか? YES or NO】
『おっと……遥斗と紬、だっけ? もうちょっと俺らの近くに来てくれ』
「あ、すいません」
「へぇ……自動で人数を数えてくれるんだね」
『おそらく魔力を測定してるんだとは思うが、詳しいことはさっぱりだ』
そんな言葉を交わしつつ、兄妹は皆のもとに近づく。すると、透明な光の板が一瞬閉じたかと思うと、またすぐに現れる。
【10人でプリンに挑まれますか? YES or NO】
『……ん? 10人?』
ホリーは周りを見渡し、丁寧に人数を数えるが、やはり11人いる。
では何故か。答えは簡単である。
「やっぱりですね」
「やっぱり、というと?」
「はーい! お兄ちゃんから頼まれて、魔力漏れないようにしてみたけど、多分私が原因じゃないかなっ!」
紬はそう言って、魔力の抑制を解除する。すると、光の板が先程のように動き、
【11人でプリンに挑まれますか? YES or NO】
今回はちゃんと正常な数値が刻まれていた。
「ということで、ホリーさんの予想通り魔力が関係しているようですね」
『あれ……魔力の漏れを完全に消すのって、こんな簡単にできたっけ……?』
「あたしは一応できるけど……ツムツムほどはやく消すのは到底無理かなぁ……」
「ちなみに俺も消すことはできますが、時間かけてゆっくりとしないと無理ですね」
「おい遥斗、お前は剣士だろ……」
「魔力と気配を完全に消すのは剣士にとっていいことですよ?」
「そうなんだけど、そうじゃなくてだなぁ……」
『……なぁスーザ』
「ん? どうかした?」
『この兄妹チートすぎね?』
「あはは、同意でしかないね」




