「それでも私は彼女が好き」その4
「う・・・えっと?」
ユカリちゃんはいきなりの出来事におどおどしながらいつ話せば良いのか分からなくなっている、本当にどうしょうもない女の子だ。
「ユカリちゃん」
「は、はい?」
名前を呼んだだけで肩を竦めるなんて私そんなに怖いのかしら?
「ユカリちゃんは何で自分の価値を低くするの?」
真剣な眼差しを向けて顔色を覗う、その表情はやはりどこか曇っていていつものユカリちゃんじゃない。
「だ、だって・・・私・・・皆みたいに個性が強い訳でも戦闘が強い訳でもないし、だからといって突出したものも無いし・・・」
「・・・それだけで自分の価値を比較してるの?」
こくりと頷いた馬鹿、私達ってそんなに安っぽい存在だったのか、ユカリちゃんが皆を引き連れ、優しさに満ちて明らかにやばい連中だと言うのににこにこして挙げ句、殺そうとした人間でさえ仲間にしてしまう程のお人好しが今のユカリちゃんが皆気に入ってると言うのに・・・
「ご、ごめんね・・・情けなくて・・・それでも私・・・皆に助けられてばっかで成果も殆ど無いのにリーダーでいたいって言っちゃって・・・」
成果なら腐る程知ってる、ユカリちゃんはへっぴり腰だけど憧れのノア先輩の為に身の丈より少し上の依頼を頑張ってこなしたり、私達の我儘を全部聞き入れて嫌な顔はたまにするけど何やかんやで最後はユカリちゃんが必死に取り組んでいるから皆も負けじと成果を出している。
特にキリは錬金術を褒められて物凄く喜んでどんどん仕事速度が上がってユカリちゃんに褒められたくて近未来の作品を作り続けている。
ゼーナは日が浅いのにユカリちゃんを慕って前の冒険者を辞めてランクも知名度も低い私達の方に来たんだから。
エミは夢を馬鹿にしないで店を立ち上げて可愛い服や色鮮やかな服を作って皆に依頼として納品し稼ぎはそこそこだけど一番の試作品をユカリちゃんに見て改善店も聞くぐらい仲良くなっている、ボロボロになるぐらい探した労力とは見合ってないけどユカリちゃんは嬉しそうだった。
自分の価値がこんなにも高いのにどうして気付かないのか、私自身言葉に出すのが苦手ではっきりと伝えられない。
あの娘は馬鹿だから自身の評価すら曖昧であやふやな立ち位置だから狂い火で更に弱くなっている。
「ユカリちゃんはリーダーよ」
そんなアホな娘にきっぱりと伝えてあげることしか私には出来ない。
「えっ?」
ほら、少しだけ顔を上げてくれた。
「ユカリちゃんは可愛くて優しく包容してくれる立派なリーダーよ」
私らしからぬ言葉だけどユカリちゃんはそれすら前向きに捉えてくれる。
「そ、そうかな・・・?」
口角が上がった、こういう時は単純に褒めてあげるとユカリちゃんは喜んでくれる。
「今から沢山褒めてあげよっか?」
私は逃げられないように手を後頭部に回して一気に胸の中に抱き締める、ユカリちゃんはいきなりの出来事に顔を一気に赤らめてもっと褒めてと言わんばかりに顔を上げた。
確かにユカリちゃんは馬鹿だし夢もバカっぽいのに妙な所は繊細で傷付くとどんどん自己卑下に陥る面倒臭いけどこれだけは胸を張って言える。
それでも私は彼女が好き、前向きな優しい笑顔あから感じた光は絶対に盲言なんかじゃないって。




