徒花と死の花の章「子虚烏有の物語」その5
その日の夜、私は寝る前に少しだけユカリちゃんに聞きたい事があって寝るのを待っていた。
「あれ?今日はまだ寝ないの?」
漸く来たユカリちゃんに私はベッドを独占して両手を広げる。
「来て」
理解不能みたいな顔をしたユカリちゃんはか弱い草食動物のように恐る恐る顔を近付けた。
私は顔を胸の中に抱かせて逃げられないよに足で彼女の足を交わす。
「き、今日は積極的だね?」
完全に身動きを封じたユカリちゃんは少し眠たげに笑った。
「私の胸・・・好き?」
「好き」
即答されたのはちょっと意外、私は更に身体をくっつける。
「ふふ、どんどん赤くなってるね♪」
「ゆ、ユイさん可愛いし美人だし・・・なんというかさ・・・色っぽいのも似合うね」
「恥ずかしがらないでもいいのよ?もっと私の事好きになってくれたらもっとサービスするよ?」
一度も手に入れられなかった愛を私はずっと探してた。この愛はきっとユカリちゃんがくれるかもしれない。
色んな人と付き合って愛を渇望したのに本当の愛なんか無かった。
私が求めてるのは愛で快楽も壊れるような愛も溺愛も我儘だから全部欲しい。
私にはスタイルもある美人でその気になれば誰だって落とせる。
それなのに出会ったゴミは皆私の身体を求めていた。
「ユイさん、近い!」
この子なら本当の愛をくれるかもしれない、でもユカリちゃんはそれを許さなかった。
「ストーップ!ゆ、ユイさんどうしたの?」
突き放す身体に私はその手を再び握ることは出来なかった。
「そ、その・・・ちょっと変な気持ちになったからさ・・・もう少し仲良くなったらスキンシップ増やさない?」
ユカリちゃんは【拒絶】を選んだ、内心はまだ心が決まってないから愛をくれるのは難しい。
「女の子同士だから・・・ね?」
ユカリちゃんから離れた手が再び帰ってきた、向かい合ってぎゅっと握ってくれた。
「これくらいならお安い御用だよ♪」
「キスは駄目?」
「もっと仲良くなれたらね♪」
一歩進んで二歩下がる、ユカリちゃんとの関係はまだ特に発展しないかもしれない。