徒花と死の花の章「子虚烏有の物語」 その4
「うふふ、ではこちらをどうぞ♪」
少し時間を開けるとノア先輩は可愛らしいデザインをした焼き物を持って来た。
「あれ?ミルクじゃないの?」
カップサイズに作られたそれの中には茶色をした液体が注がれていて疑問に思った。
「それにこれ、熱いわ」
興味津々の私が手で触ると外側から熱を感じるらしい、確かに湯気が出てるけどホットミルクじゃないのよね?
「うふふ、“ココア”と言います、召し上がってください♪」
そして更にクッキーを用意してくれた、私達は取り敢えず怪しげに一口含むことにした。
「うわぁ〜ほろ苦いけどミルクの甘みが調和されて美味しいね♪」
口の中に入れた途端衝撃が走った、苦味は一切無くまろやかで甘みが深く冷え切った心を燃やしてくれる。胸がポカポカして言葉に言い表せない声が出て口元が大きく緩む。
私は絶品な味わいに舌鼓を打つと私はもう飲み干していた。
「早くない?」
「・・・・」
ユカリちゃんが気を利かせてもう一杯飲む、甘くて美味しい・・・蕩ける頬に飲み終えると幸せは儚く消えていった。
「んっ………」
「美味しいね」
コクリと口元が緩んだ状態でつい笑顔を見せて恥ずかしい、私の舌が美味しいと喜んで止まらないくらい美味しい。
「ユカリちゃん、美味しいね♪」
朗らかな天使のような笑顔、蕩けるような甘い声が出てしまいユカリちゃんの顔は赤らめて嬉々としてくっついてきた。
頬が赤くて雪のような白い肌は溶けて無くなり頰に触れると温もりを感じて頭を撫でてしまった。
「もう一杯飲む?」
「毎日飲みたい♪」
おねだりするとユカリちゃんはデレデレとした声でノア先輩に作り方を教えてもらってる間にココアを堪能する。
「えっとさ、私のも飲む?」
「いいの?」
「うん♪」
僥倖だ・・・もしかしてユカリちゃんは私と気が合う?こんな美味しい物をくれるなんて何か企んでる??いや、ユカリちゃんに限ってそれは無いか。馬鹿だし融通を利かせてくれたのかもしれない。
するとユカリちゃんはココアを堪能してる間の私に何とはなしに頬を赤くしながら提案してきた。
「その・・・そろそろユイさんじゃなくてユイちゃんって呼んでもいいかな?」
「それはまだ駄目」
「え〜!!!??良いじゃん別に〜!ユイちゃんって呼ばせて!」
「だーめ、もっと私を愛してくれたら許す」
私のふわふわした欲求にユカリちゃんは戯れてきたのでやり返した。
もっと深い関係になりたい?と真面目に聞いたら赤面して【拒まれた】。