天才美少女錬金術師の末路「お金が儲かる錬金術師!」その6
数日後・・・
「本当にこれで良かったのかな・・・」
昼が回りユカリちゃんと二人きりで買い物を終えて自宅に帰る途中、まだあの事を考えてる。
「お陰で借金チャラになったでしょ?」
「う〜ん・・・」
珍しく何か考えてるみたいだけどどうせ馬鹿の発想かなにか、或いは悩み事?
「はっきりいいなよ〜仲間でしょ?」
肩を軽く叩いて帰路に向かう、ユカリちゃんは何かを悩んでいたがふとぽつりと呟いた。
「でもこれって錬金術の“悪用”だよね?」
一緒に歩いていたのに少しだけアタシの足が遅くなった。
「借金を返すからと言っても錬金術を悪用するのってあんまり褒められた事じゃないような・・・教えてくれた人も・・・・ううん、止めとく。素人が事情知らないのに批判するのはお門違いだったね」
トゲのある言葉と気付いたのかユカリちゃんは言葉を遮り話題を変えてきた。
「・・・まぁ、お母さんの事知らないだろうし今度話してあげるね」
「いいの?」
「うん、前の暮らししてたら多分死ぬ方が早かったと思うし拾ってくれたお礼にね」
アタシはユカリちゃんの隣に寄って手を繋ぐ、ひんやりしてるのに何処か温かい。
「アタシ・・・出来の悪い娘だけどさ、誰かを錬金術で幸せに出来たらいいなって思ってる」
口でしか言えないけどアタシが近未来区から離れた大部分の理由は復讐する気満々だったから。
アタシのお母さんを殺した近未来区で生きるなんて死んでも嫌だ、だから比較的暮らしやすいこの場所を選んだ。
そしたら錬金術が全然売れなくて借金して夜逃げしたら取り立て屋にボコられて借金額を倍にされて今に至る。
取り立て屋は女のアタシを躊躇なく顔面を殴るから怖くて泣きながら命乞いまでして許してくれた。
今でも痛むけど露頭に迷って販売してジリ貧になりながらもユカリちゃんに助けられた。
この子には本当に感謝してる。扱いやすいしお人好しだから頼めば引き受けてくれそうだし。
「立派な夢だね」
「ホント?」
「これまでの悪行を見直すところから始めればいいと思うよ!」
そんなキラキラした笑顔で諭そうしないでよ、眩しいじゃん。
「分かったよ〜ならアタシはその為にユカリちゃん達に貢献しないとね」
「仲間だもん、一緒にその夢を応援させてね?」
「・・・・うん」
当たりを引いた、ユカリちゃんと一緒にいればアタシも・・・お母さんの気持ちを理解出来るようになれるのかな?
錬金術は人を変える、それを見極めるのも一人前の錬金術士だって耳にタコが出来るくらい言われた。
少しだけ理解出来た気がする。




