天才美少女錬金術師の末路「お金が儲かる錬金術師!」その3
数日後、朝からアタシはユカリちゃんに錬金術の道具をプレゼントする。ソファーで座りながら依頼を確認してる所を狙っててね?
ちょっとした事を付き合って貰うために後から逃げれなくする為にね。
ユカリちゃんはアタシを奇策な女と捉えてまんまと引っかかった。
「ユカリちゃん、受け取ったよね?」
ほえ?っと可愛い顔しながら頷く彼女にアタシは昨夜検問所から盗んだ物を堂々と見せる。
「ユイはいないね・・・ふふ、これを今すぐにアタシの錬金台で量産して売りたいから手伝ってくれない?」
少し圧強めに声を掛けると小動物のようにびくっと肩を揺らす。
「ええっと・・・それは?」
私の手には普通では絶対に手に入る機会が無い金の延べ棒。
これを大量に売り飛ばして借金を減らして利益すら取る!アタシは頭がいいから絶対に作れると革新している。
けどそれは協力が無いと作れない。何故なら盗んだ事を隠し何も知らないユカリちゃんを使って売れば犯人がアタシだなんて誰も思わないはず。
ユカリちゃんは即座に首を振り逃げようとするので壁に追いやって両手を塞ぎ耳元で甘く囁く。
「ユカリちゃん、さっき上げたよね?まさかさ・・・タダでとは言わないよね?」
びく!っとまた可愛く怯えるユカリちゃんにアタシは更に圧を掛ける。
「これ作るの大変だったんだよ?それなのにユカリちゃんはタダで受け取ってくれ私を見捨てる気?」
「い、いやだって・・・それ駄目な奴だよね?」
「だから?」
「えっ!?そんなの犯罪だよ!?最近ここら一帯でも近未来の法を適用するって掲示板に・・・」
私はユカリちゃんが大切にしてるユイから貰ったリボンを奪う。
「協力・・・してくれるよね?」
「か、返してよ!?」
「協力するなら・・・ね?ユカリちゃん、私だって苦しいの・・・ユカリちゃんは優しくてお人好しでしょ?貧困のアタシをちょっと見逃すくらい・・お願い出来ない?」
圧を掛けすぎたので優しさを見せる、慈しむ少女は凄く嫌そうに苦虫を噛み潰したような顔をする。
「・・・ユカリちゃんは薄情な娘なんだね・・・いいよ?今すぐアタシを捕らえても・・・その代わり・・・一生恨むから」
ユカリちゃんはうぐ・・・っと中々決断してくれない。
「もし協力するなら分け前あるよ?」
「い、いくら?」
「五対五・・・どう?」
意外にもお金が欲しそうなので分け前を提示すると抵抗はあるものの案外簡単に引き受けてくれた。
脅迫なんかしないで普通に誘えば良かった。
「えっと、私は何をすればいいの?」
まだ決断した事を後悔してるのかちょっともじもじしてる。
「量産する為に必要な材料があるから買って来て欲しいのと絶対にバラさない、それだけ守れば二人で一攫千金だ!」
一週間あれば十億は稼げる!材料込だと九億ベルだけど利益は出るから問題なし!
「あれ?それって私の自腹なの?」
「トーゼンでしょ?」
「そんなお金無いけど!?」
「ユイから貰えない?ここに地下ある事に気付いて行ったらあの娘めちゃくちゃ金持っててさ!盗んだら?」
「駄目!!あれはお兄ちゃんから仕送りなの!わ、私が頑張って借りられるか相談する!」
真面目なリーダーだな。ちょっと拝借してるの知らないと思うけどこれも借金を返す為に必要経費だと思えば大したことないよね?
ユイは多分勘づいてそう、バレたら死ぬ気で謝って許してくれるまで錬金術で賄おう。
どのみち取り立て屋が近くを彷徨いてたし必ず成功したい。
その為ならリーダーを売ることだって。
こうしてアタシとユカリちゃんは犯罪に手を染めて一週間警戒しながら量産に成功させたのだった。




