53錬金目、携帯電話
そして、その十二守護騎士は全員が聖騎士でのみ構成されており、一般隊員でも相当な実力者揃いだと言う話だ。
俺の産まれ育った村にも教会はあるが、本教会である七属教会とは違い支部教会で、位が低い司祭様が在中してるに過ぎない。
「この古都にある炎の教会に1人守護騎士団長がいるはずだわ」
例外として、闇属性を除いて六属性の教会の内、古都に炎、王都には風、神聖国ロマーには光の七属教会がある。
同じ国に2属性の教会があるのは、ここエリュン王国だけだ。他の国には、1属性しかない。その他は支部教会となる。
「その団長様は誰になるんだ?」
先ず、神聖国ロマー及び光の教会を守護するのは、どんな距離でも百発百中という精度を持つ弓型の神器である人馬宮の神弓サジタリウスの主、人馬宮団団長アストロンだ。けして、国から出る事はないため外す。
「炎の教会にいるのは…………十二守護騎士の中で1番の戦闘力を誇る大男…………獅子王レオン…………獅子宮団団長よ」
獅子宮団団長レオン……………3mはあるという巨漢という。その姿は筋骨隆々という言葉がそのまま人の形を取ったような男というより漢で、純白な両刃斧である金牛宮の神器レオの主…………そして、呪い(神聖国ロマーでは神の祝福と呼ばれてる)は、獅子つまりライオンの獣人となっている。
「強いんでしょうね」
「話聞いていたの?守護騎士で1番の最高戦力よ」
聞いていたが、つい会って見たい衝動に駆られ同じ事を口に出してしまった。
「それで、この子立ったままだけど大丈夫かしら?」
「えっ?」
カーラが立ったまま微動だにしない。正面からヒラヒラとカイトが手を振って見るが反応がない。
「どうやら気絶してるようだね。おそらく、俺のせいだろう。俺が見せた空間魔法や新築同然にした魔法で頭がキャパオーバーしたのだと」
俺もカーラみたいな何も知らない子供なら気絶する自信がある。
「私も気絶しようかしら?」
「それは止めて下さい」
「冗談よ。ここまでの事をしたのだから必ず買うのよね?」
ここまでの事をして実は買いませんと言える訳がない。もちろん買う積もりで、ここまで事をしたのだ。
「えぇ、もちろん買いますよ。ですが、値段は廃墟の時と同じですよね?」
俺が改造したのだ。実は値段は違って、もっと高い値段を提示して来たら、カーラには悪いが元の廃墟に戻す積もりだ。
「も、もちろんです」
「それは良かった。もし、値段を釣り上げたら…………廃墟に戻して、この国から出て行ってかもしれないからな」
そうなれば、冒険者ギルドや鍛冶師ギルドに薬師ギルドと錬金術師ギルドに恨まれる事だろう。
「それは困ります」
「そちらが俺の不都合な事をしない限り、他国に拠点を移さないから安心しろ。それより、コイツをいい加減起こそうか」
特に小声で話してる訳ではないのに、カーラは今だに気絶したままだ。
「おい、朝だぞ」
ゆらゆらと肩を揺らしたり、頬をツネったりと起こすのに数分を要した。
「ふにゃ?!ワタシは一体?あれ?お兄ちゃん?」
「そうだぞ、お兄ちゃんだぞ」
まだ寝ぼけてるような。まだ開きってない瞳が、ゆらゆらと揺れている。
パン
「ほら、さっさと起きろ」
大きな音を出す様にカーラの耳元で、両手を叩いた。
「ひゃっ!お、お兄ちゃん酷いよ」
「お前が寝ぼけてるのが悪い」
涙目になりながらもキョロキョロと周囲を見渡すカーラ。新築同然と広くなった元廃墟だった我が家に笑みが零れる。
「うわぁ、夢じゃなかったんだ。ねぇ、見て来て良い?」
「あぁ良いぞ。転ぶなよ」
「うん。分かってる」
今まで幽霊でいた分、子供のようにはしゃぎたいのだろう。温かい目で、カーラが奥に行くのを見送る。
「さて、アリスを呼ぶか」
「アリス?」
「俺の助手であり世話係してもらっている」
俺は懐から携帯電話を取り出し、サクラへ電話を掛けた。プルルルプルルルと耳元で響く着信音、2回鳴った後にサクラが出た。
『御主人様、何の御用でございますか?』
「準備は出来た。今、言うところまでイレイヤを連れて来てくれ」
『かしこまりました』
プツッと切れ、携帯電話を仕舞うとセシリーが、こちらをジーッと睨んでいるように見詰めてくる。
「な、なにかな?」
「今のなに?誰かと連絡取っていたように見えたけど?」
携帯電話か。特に隠す積もりはないが普及させる積もりとない。一応、既に遠い場所同士で通話する魔道具は存在するが、とても巨大で持ち運びなど出来るはずがない。
そのため、主要なギルドや王城に各1台ずつしか所持してない。もちろん、主要なギルドとして数えられている商業ギルドと冒険者ギルドにはある。




