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勇者パーティーから追放された最底辺職業〜絶対に錬金術で成り上がってやる〜  作者: 鏡石 錬


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52/52

52錬金目、暴食の書グラトニー

「な、ななななんですか!一体何が起こったというのですか?!」


 セシリーが驚愕で俺の肩を揺らしながら耳元で騒いでいる。一般の魔法使いでも魔法で物を動かしたり浮かせたりは出来る。

 だが、たった1回の魔法や技能スキルでボロボロだった廃屋を新築同様にするのは規模が違う。


「何って【 改築リフォーム】という俺の技能スキルだ。建物限定で建て替えが可能だ」


 限定的だが、格安で廃墟を買い【改築リフォーム】をすれば安上がりになる。だが、俺はそれで終わらない。

 本来【改築リフォーム】は、使用前と同じ広さにしか出来ない。


「そして、更に……………あった」


 ガサゴソと【素材の次元鞄】から取り出したのは、1冊の黒い本。


「暴食の書グラトニー【空間拡張】」


 風が吹いていないのにパラパラとページが捲り上がり、【改築リフォーム】をした廃墟が地下2階上5階、1階に関しては3倍の広さに拡張された。

 それに、1階のレジの配置場所とするテーブル横にドアが追加されており、部屋が増加されていた。


「なななな何ですか?!これはぁぁぁぁぁ!」

「2回目ですよ」

「何回だって言います。何なんですか!これはぁぁぁぁぁ!」


 俺の胸ぐらを掴み、グラグラと揺らしながらセシリーが叫ぶ。鼓膜が破れそうだ。


「空間を操作する魔法なんて魔王やリッチクイーンくらいなものですよ」


 魔法でやるならそうなるだろう。俺もその2人しか空間魔法の使い手は知らない。しかも魔王とリッチクイーンは夫婦である。


「落ち着いて下さい。俺のは魔道具でやった事ですから」


 ピタッと身体の揺れが止まった。魔法で無理でも魔道具なら可能性がある。空間魔法を付与された魔道具で一般的なのはマジックバックだ。

 ただし、それらは全てダンジョン産となる。人の手で作るのは不可能とされる。だが、何事にも例外は存在する。


「しかも良く見ると、それは魔道具ですか?」


 カイトが手に持つ本は魔道具で【空間拡張】は能力の一端に過ぎない。


「ですが、見た事のない魔道具です…………いえ、まさかこれは!」


 セシリーは驚きを隠せないでいる。


「カイト様、この魔道具を暴食の書グラトニーと呼びました?」

「あぁそうだが?」

「本物なら間違いありません。かの天才魔道具造型師と謳われたダルク伯爵の作品」


 ダルク伯爵という貴族は先にも後にも存在しない。伯爵も含めて名前というよりペンネームに近い。

 今も生きてるのか謎であり、魔道具に関しては天才という名を総嘗めにしてる魔道具一筋の職人だ。

 魔道具の業界からしたら変人と呼ぶ人も多い。何故なら、同じ魔道具はけして作らない。画期的な魔道具を生み出し、それを広めるために同じ物を量産するのが本来の魔道具の職人だ。


「これは七つの大罪シリーズの1つですね。使用者に、とんでもない能力を授ける代わりに呪われるという」


 ダルク伯爵は、先ずはテーマを決め、そのテーマに沿った魔道具を作るという。


 七つの大罪もそのテーマ群の中の1つ。


 そのテーマでの魔道具を作り終えたら、もう興味が失せたように次のテーマを探し作るという。


「詳しいですね」

「これでも私、魔道具が好きで商業ギルドで働いているのも素敵な魔道具に出会う確率が高いからです」


 目がキラキラと輝いている。余っ程好きなんだと言葉にせずとも伝わってくる。


「もしや、その手にはめてるガントレットは!七つの大罪シリーズ、強欲の手袋グリード!」


 俺の両手には、指先が出るように穴が空いた黒いガントレットが装着されている。


「良くお分かりで」

「2つも持っているなんて!まさか、全部持っているとは言いませんよね?」

「そ、そそそそんなまさかな事はありませんよ」

「そうですよね」


 セシリーの笑顔を直視出来ない。


「でも、売れば白金貨100枚はくだらないです」

「残念ながら、呪いによって売る事は出来ないです」


 七つの大罪シリーズ全体共通な呪いは、【譲渡不可】だと言う事だ。もし、手放す事があったなら……………それは、俺が死んだ時だけだ。


「そういえば、神聖国ロマーにもありましたね」

「あぁ十二守護騎士の団長達が持つとされる十二星座シリーズですか。通称:神器と呼ばれる純白の武器」

「そうです」


 直接は見た事はないが、誰もが知ってる事だ。神聖国ロマーには、名前の通り12団の騎士団が神聖国ロマーと各国に点在する7つの本教会である七属教会を守護し、任務にあたってる。

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