51錬金目、魂の人形
カーラが泣き止むのを待ってカイトは、とある提案をする。
「君の父と母を探すついでにお店を手伝ってくれないかな?」
~でも、私は幽霊で~
「それは問題ない。俺を誰だと思っているんだ。【魂の人形】これに入れば、生前と変わらない生活が送れるはずだ 」
カイトの掌の上に乗るサイズの人形が握られていた。見た目は、木製のデッサン人形に見える。
~これに入ればいいの?~
「あぁ。これに入れば、生前と変わらぬ生活が送れるはずだ」
~分かった。怖いけど入るね~
ガタッと椅子の背もたれに寄り掛かるように置き、カーラは吸い込まれるように人形へと入った。
入った瞬間、人形が浮遊し光り輝くと、カイトとセシリーの目の前には10代前半くらいに見える少女が立っていた。それも全裸で。
「悪い。これを着ると良い」
カイトは後ろを向き、【 素材の次元鞄】から少女用の服を取り出し、後ろを向いたままカーラに渡した。
「カイト様、何故女性用の服を持っているのですか?」
「えっ?あぁ、俺には助手と呼ぶべき者がいるのだよ」
「それが、女性だと?」
「うむ」
何やら、セシリーが怖い。ニコニコと笑顔のはずだが、目が笑ってない。
「お兄ちゃん着たよ」
「ちゃんと着れて偉いな」
「えへへへへ」
カーラは俺が撫でると、笑顔満点で可愛い。可愛いが、そこまで年の差はないに見える。あっても2歳くらいだろう。
背丈もカーラの頭上が俺の肩に触れるくらいだ。まるで本物の妹が出来た感覚である。
「カーラちゃん可愛いですね。本物の肌みたいです」
「だろ?【 人造人間】の応用で作ってみたは良いが、レイスだと上手く入らなかったり、入ったとしてもゾンビ化したからな。いやぁ良かった良かった」
「そ、そんなものをカーラちゃんに使ったんですか?!」
上手く行く確証はあったよ?レイスは魔物で、カーラはまだ人間の魂であった。それに自我を持っていたからな。
その違いがカーラが人間らしい姿になれたと確信を持って言える。
「まぁまぁ問題ないから良いじゃないか。カーラ、技能は使えるかい?物を浮かせたりするやつだ」
「うーん、やってみる」
カーラは両手を前に突き出し念じるように目を瞑る。そうすると、壊れてる椅子が宙に浮いた。
「【 念動力】ハァハァ出来た」
「うん、よく出来たね。どうやら、技能は受け継がれてるみたいだ」
「カーラちゃん凄いです」
幽霊の時は無意識で出来ていただろうけど、人形に移り生前と変わらない姿になってから使い難さが見て取れる。
「魔法もだけど、イメージが大切なんだ。カーラの腕の先に目に見えない手が伸びてるとイメージすると良いかもしれない。後は練習だな」
アドバイスをした後、カーラは数回練習した。そしたら、あっという間にコツを掴んだようだ。
2個から5個くらいの破片を浮かべ動かせる程度だらうと思っていたら十数個じゃきかない。数十と浮かべ自由に動かしている。
アドバイスとか切っ掛けがあれば化けるアスリートとかたまに聞くが、これは予想以上の拾い物かもしれない。
「うわぁ、私も飛べる」
「何か身体に異常はないか?魔力が急激に減ったりは」
「ないよ。これ、楽しい」
クルクルと建物内を自由に飛んでる。落ちてケガをしないかセシリーはハラハラしてるが、見た目は人間に見えるが人形だ。
それも俺が作ったものだ。そこんじょそこらの魔法や剣ではキズをつけるのも難しい。防御面でも完璧だ。
「もうそろそろ降りて来なさい。今から凄いものを見せてあげるから」
「はーい」
「まだ何かやる気なんですか?」
「何って、そんなの1つしかないだろ。この建物見て思った事はなんだ?」
そう、ボロボロだと第一印象を感じたはずだ。ただ、その前にカーラの問題に直面したから後にしてただけだ。
今から、新築同様にリノベーションする。本来なら倒壊させ、一から作り直した方が早いが、俺は錬金術師の最上位職業である黄昏。
「今から俺の職業の真骨頂を見せてやる」
「カイト様の職業って錬金術師よね?」
「えぇそうです」
正確には、その最上位職だが、今はまだ黙っておこう。
「では、行きます。【 改築】」
ドンと右足で足踏みを1回すると、不思議な事が起きる。散らかっていた家具の破片やら割れた食器が宙に浮き直ぐ様にお互いに吸着し直っていく。
元にあった場所を覚えてるかのように整理整頓されていく。軋んでいた板や穴が空いていた屋根も新品見たく元通りになっていく。




