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5話、カイトの固有武装

「それがカイトの固有武装かえ」

「えぇそうです」


 端から見ると、何ら変哲もない手提げ鞄だ。だけど、中身がえげつない。


「キッヒヒヒヒ、見ても良いか?」

「えぇ良いですよ。見るだけなら」


 固有武装は、名前の通りに本人しか使用不可となっている。武器や防具だと本人以外だと持つ事も叶わない。

 ただし、アイテム型の固有武装だと本人が許可をすれば使用可能になる部類もある。

 カイトの持つ固有武装:【素材の次元鞄】もそういう類いだ。


「ふむ、やはり本人が許可しない限りタダの鞄じゃな。どれ【鑑定】」


 ・素材の次元鞄

 鞄の中は錬金術師が必要とされる全ての素材が揃うとされる次元世界が拡がってる。

 ただし、素材になる魔物もいるため注意が必要である。食べられても知らないぞ!


「キッヒヒヒヒ、これは凄まじいのぉ。カイトが許可すれば、入れるのか?」

「俺以外入った事がありませんが、おそらく入れるかと」


 容姿に似合わずギルマスがキラキラと瞳を輝かせている。年老いても知的好奇心は何時までも忘れないのが、長生きの秘訣か。


「はぁー、分かりました。入りましょう」

「話の分かる男は好きだのぉ」


 ゾォー

「…………!!」


 ギルマスの言葉を聞いた直後、背筋から寒気を感じた。何か帰りたくなって来たが、許可してしまったため【素材の次元世界】の持ち主であるカイトも着いて行く事になる。


「発動しました。何時でも入る事が可能です」


 発動する前の【素材の次元世界】は、普通の手提げ鞄の機能しかなく、幾つかの小物しか入れる事しか出来ない。

 だけど、発動後は中身は確認出来ず真っ暗だ。ここに入るに入る勇気が必要だろう。


「キッヒヒヒヒ、入るかのぉ」

「怖がらないですね」

「カッハハハハハ、なに怖がる必要がある。リスクなしでは儂ら錬金術師は務まらんよ」


【素材の次元鞄】の口にギルマスが足先を突っ込む。本来鞄に入る質量を既に越えている。なのに、鞄は膨らむ様子も破れる様子もない。


「どうですか?」

「キッヒヒヒヒ、収納魔法には生きてる者は入らん。実にはいるのが楽しみだ」


 収納魔法には、死体なら入るが生きてる者は入らない。よって、【素材の次元鞄】に入る事に子供のようにギルマスがはしゃいでる。

 ギルマスが入ったところで、カイトも【素材の次元鞄】にダイブする。


 ━━━━【素材の次元鞄】━━━━


「ここが鞄の中なのか?!」

「はい、ここが鞄の中になります」


 二人が降り立ったのは、ログハウスの中だった。窓から日の光が射し込み室内を照らしている。ここが鞄の中だとは到底思えない。


「外に出て見ますか」


 この中にいたままでは、鞄内の全容は分からない。ログハウスの外こそが【素材の次元鞄】の凄さがギルマスにも分かる事だろう。


「カッハハハハハ、こ、これが本当に鞄の中だというのか?!」

「えぇここは鞄の中になります」


 ログハウスの外に出た二人の目の前には草原が拡がっており、果てが見えない。

 上の眺めば、青空が拡がってる。ここが本当に鞄の中なのか疑いたくなる。


御主人様マスターお帰りなさいませ」

「ただいま。変わりはないか?」

「はい、素材の補充と家の掃除をしておりました。出迎え出来ずにすみません」


 二人が出て来たログハウスの扉が開き出て来たのは、メイド服を着た10代半ばの女の子である。

 カイトとは親しいそうでメイド服の女の子はカイトに出会えて嬉しく微笑んでいる。


「キッヒヒヒヒ、そのは誰かのぉ」

「ギルマス、紹介します。彼女は、サクラ。俺が作った人造人間ホムンクルスだ」

「なっ?!」


 人造人間ホムンクルスは、文字通り人間によって作られた人間。

 錬金術師の研究の到達点の一つとされ、人造人間ホムンクルスを作る事に成功した時には、富や名声が好きな分だけ得られるという文献がある。

 他にも到達点とされる研究があるが、それを話すのはまたの機会にしよう。


「フガァァァァァ、人造人間ホムンクルスじゃと?!成功したと聞いた事がないわい」

「それは誰にも話してませんからね」

「キッヒヒヒヒ、富と名声が思い通りになるのじゃぞ」


 確かに人造人間ホムンクルスの成功を発表すれば、たちまち有名になり富と名声は思い通りになるだろう。

 だが、カイトはサクラを売ってまで富と名声が欲しい訳ではない。

 それにこれは命の冒涜に等しい行為だとサクラを作った際に感じた。

 後、2~3体までなら人造人間ホムンクルスを作っても大丈夫だろうが、それ以上作ると何か良からぬ事が起きると錬金術師━━━いや、黄昏の声が俺の頭に直接告げてきたのだ。

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