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勇者パーティーから追放された最底辺職業〜絶対に錬金術で成り上がってやる〜  作者: 鏡石 錬


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49話、商業ギルド

「ここが商業ギルド古都支店か」


 ギルドの頂点に立つのが商業ギルドとなる。その下には、冒険者ハンターギルドや鍛冶師ギルド、薬師ギルド等の様々なギルドが連なっている。序列も存在してるようだが、それは複雑で覚えてない。


 宿屋に2人を置いて来た用事が、この商業ギルドにある。オークションで手に入れた金貨で、自分の店になる家屋を買う事が目的だ。

 特に理想的な物件は、冒険者ハンターギルドや薬師ギルド等のギルドに近い事だ。外見や内装は特にこれといってない。


「えっと、受付は」


 キョロキョロと見渡すと発見した。他のギルドとは違って広く様々な部署が存在している。


「店を出したいんだけど、手続きはここで良いのか?」


 受付嬢のぴょこぴょこと頭上にある三角形の耳が動いている。おそらく狐人族なのだろう。


「はい、商業ギルドカード発行ですね。規模はどれ程でしょうか?」

「規模?」


 商業ギルドカードは、商う商売によってランクが決まる。露天商ならE、行商ならD、店舗ならC以上となる。

 それにランクによって年間に支払う税金が変わる。Eなら銅貨5枚、Dなら銀貨1枚、Cなら銀貨5枚、Bなら金貨1枚、Aなら金貨5枚、Sになると金貨10枚になる。


「そうだな。まだ店舗が決まってないんだ。何か良い物件はないか?それを決めてからランクを決める」

「何か要望はございますか?」


 要望か。


 黄昏である俺にとって店舗の外見や内装は後々でも変えられる。

 よって、冒険者ハンターギルドや薬師ギルド等のギルドから徒歩20分圏内を要望に加えた。


「それですと、こちらになります」


 店舗候補の物件リストの紙がカウンターに並ぶ。どれもこれも20分圏内で要望に叶っている。

 それでいて、店舗にするには理想的な物件ばかりだ。目移りしてると、1つ気になった物件があった。他の物件は、平均で賃貸銀貨5枚、購入だと金貨2枚が相場だ。

 それなのに、1軒だけ賃貸銅貨2枚、購入銀貨1枚だと破格な値段設定になってる。


「あのぉ、これなんですが」

「一応要望通りなので入れて置いたのですが、そちらは事故物件なんです」

「事故物件…………誰か死んだんですか?」

「いえ、それが…………」


 受付嬢が言葉を濁す。


「出るんです」

「出るって?何が?」

「そのぉ、ゆ、幽霊が」


 幽霊ぽい魔物モンスターであるレイスやアンデッド系魔物のゾンビやスケルトンは存在するが、幽霊そのものはいない……………はずだ。


「そこを案内してくれますか?」

「えっ!良いんですか!」

「先ずは自分の目で確かめたいんです。それに、その幽霊以外を除くと、ここは素晴らしい物件ではないですか」

「まぁそれはそうですけど…………担当の者を呼んで来ますので、少々お待ちください」


 受付嬢は苦笑いを浮かべ、急いで席を立ち奥へ引っ込んで行った。

 ここまで値段が下がり、最早子供のお小遣いを貯めれば買える程度まで下がってやっと買い手が見つかったのだ。

 俺が心変わりする前に賃貸なり購入するなり、契約を結んでしまえば万々歳だろう。


「お待たせ致しました。その物件のご案内を担当させて頂きますセシリーと申します」

「カイトです」


 勝手に男の人が来るかと思ったが、俺より3歳は年上の女性が来た。

 営業スマイルだろうが、素敵な笑顔でいて年の割には出るところは出てる感じで、つい胸元に目がいってしまう。


「さぁ行きましょうか」

「はい、よろしくお願いします」


 セシリーの背後を着いて行くと、商業ギルドから20分程度で、他のギルドからも同じ位だろう。立地的に申し分ない。


「こちらになります」

「資料で見るのと実際に見るのとでは随分違いますね」


 立地的には好条件だが、外見から見ると所々軋んでいる。至る所、壁に穴が開き、屋根も1部飛んでしまってる。これはまるで…………廃墟だ。


 誰が見ても廃墟だ。良くこんな大通りのど真ん中にあるものだと逆に関心してしまう。まるでじゃない、思いっ切り幽霊屋敷というべき物件だ。


「あのぉ、これは潰してしまった方が良いのでは?」

「私共も何度か潰そうとしたんですが、作業に取り掛かると原因不明の事故や病に侵される者が続出しまして、不気味な声を聞いた人もいます」


 なるほど


 何処でもこういうホラーめいた話はあるものだ。レイスやスケルトンが住み着いてるなら、まだ話が早かった。

 それなら聖水や光魔法で浄化すれば良い。が、今回はそういう単純な話ではないらしい。


「まぁ1回入ってみましょうか」

「えっ?入るのですか?!」

「自分の目で確かめたいのです」


 男なら誰だって、こういう冒険は好きなものでしょう。本来の目的よりも知的好奇心の方が勝ってワクワクが止まらないでいる。



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