48錬金目、奴隷を落札するその3
ゴクゴクと俺が手伝いながら万能薬を飲み干せた。
そうすると目が開けるには眩い程に光が一面に輝き、数秒後に目を開けると両手両足はおろか切り落とされた森精族特有のとんがった耳が再生されている。
そして、両目に巻かれてる包帯を先ず解いてやる。他の包帯は、まぁ目のやり場に困るので後で解く。
「どうだ?目を開けられるか?」
俺の言葉に首を傾げるが、ゆっくりと瞼を開けた。久しぶりの明かりで眩しかったのか?瞳を細めるが次第に慣れ、瞬きを数回すると驚愕の表情が見て取れる。
「あ…………り…………が」
手足と同じく万能薬により両目と声帯も回復したようだ。両目は光を取り戻し、潰れた声帯は声を取り戻した。
「ゆっくりで良い。話す事も久しぶりなんだろ。無事に治って良かったな」
ポンポンと頭を撫でると、イレイアの両目から涙が滝のように溢れシーツを濡らしている。
「えっ?俺、何かした!」
困惑した俺は、アワアワと慌てる様子を見たイレイアは、ブンブンと首を横に振った。
「う…………れ………ひぃ…………くって」
イレイアはベッドから立とうするが、まだ上手く立てずに産まれたての子鹿ようにヨロヨロとよろめき倒れるところであった。
あったが、カイトがガバッと前から抱き込むように転倒を阻止した。
「おっと、ゆっくりで良い。ゆっくりとリハビリをしよう」
だき抱え、ゆっくりとベッドに座らせる。リハビリよりもやる事がある。
先ずは着替えだ。包帯を巻かれただけで、服の1着も着ていない。
万能薬で一気に治した結果、予想以上に出るところは出ていた。
コンコン
「おーい、サクラ頼みがある」
カイトの固有武装である【素材の次元鞄】のかぶせを叩くと、まるで魔法が掛かってるかのように、かぶせが後ろへ倒れ開口部が開いた。
「はい、御主人様御用ですか?」
ひょこっと顔だけ出したサクラは、カイトに尋ねる。知らない人が見たら、まるでホラーだ。
「…………?!」
「あぁ済まない。驚かしてしまったね。この娘は、俺が作ったサクラだ。サクラ、この娘…………イレイヤの身体を綺麗にして着替えさせてくれ」
「かしこまりました」
「俺は外に出てるから、何かあったらこれで連絡を」
俺は、サクラに2つ折りの携帯電話を渡した。他の者なら初見で使用する事はまず無理だろう。だが、俺の作ったサクラは俺の考える事はお見通しで、初めて作った魔道具なんかも初見に限らず使えてしまう。
それだけじゃない。俺がノドが乾いたと考えた際にはお茶を即座に入れてくれるし、俺の固有武装である【素材の次元鞄】内のログハウスの管理は一通りこなしてくれる。
本来なら中世の文明に近いアークグラウンドでの連絡手段は、カイト製の携帯電話以外では手紙でのやりとりしかない。
本来なら人の脚での配達が一般的だが、1番の最速は飛龍による配達になる。
飛龍も竜龍種に分類される訳で、例外はあるが竜種を操る希少なレア職業である剣士系派生職…………竜騎士又は配達系最上位職であるライダーしか竜種は操れない。
配達系最上位職ライダーなら兎も角、折角の戦闘職である剣士が配達なんてと思われるかもしれない。だが、飛龍配達便は憧れの的となる就職先の1つだ。
それもその筈で、片道で1番安くて金貨10枚は飛ぶ。騎士で王国に仕えるよりも高給取りとなっている。それに貴族の間では飛龍便の使用が1つのステータスとなっている。
そのため、携帯電話は身内で使う分なら良いが売る積もりは更々ない。配達ギルドに目を付けられるからだ。
「おっ…………あれは飛龍か」
空を見上げると飛龍らしき影が見えた。
確か、ここ古都にも配達ギルドがあったはずだ。利用した事はない。何故なら、黒龍王クロウが嫉妬するからである。
クロウ曰く、飛龍は空飛ぶトカゲらしい。龍種なら口から【顎門】を放つ事が出来るが飛龍は出来ない。
それ故に飛龍を同じ龍種と認めたくない龍種が大多数だ。




