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勇者パーティーから追放された最底辺職業〜絶対に錬金術で成り上がってやる〜  作者: 鏡石 錬


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18話、炉に挿入する

 どうにかシャルルが泣き止み、カイトは炉の火炎石の補充作業に取り掛かる。

 錬金術師ギルドの炉よりも二周り程大きい。一基に付き掌サイズの火炎石を二個使う。


「よし、【挿入】」


 左手で炉の側面に触れ、右手に火炎石を握る。自分の体を通すように火炎石の火属性の魔力が炉に充填されていく。

 炉一基に付き数分で充填が終わる。本来は、付与術士に頼む仕事だが、その付与術士はレア職で希少だ。頼むだけで莫大なお金を請求される。

 属性付きの魔石でさえ希少なのに、それに加え付与術士に頼んだら経営が火の車と化す。経営破綻だ。


「なっ!道具も無しで補充した?!」


 炉に限らず火炎石以外にも他の属性の魔石が必要なところはかなりある。

 属性魔力を補充するには、専用の道具が必要だ。それをカイトは魔石を片手に補充出来てしまう訳だ。


「あのぉ、おいくらでしょうか?」


 急にしおらしくなるシャルル。付与術士でないカイトが火炎石の補充をやって見せたものだから驚愕とお金をぼったくるのではないかと内心ビクビクと怯えている。


「お金なんて、サービスです」

「なっ!それはダメだ。金の切れ目が縁の切れ目、ちゃんと金は払う。足りなきゃ、オレの身体で」

「いやいや、それダメです。それじゃぁ、これくらいで」

「えっ?!や、安過ぎないか?!」

「そんな事ないですよ」


 本当は安過ぎるのだが、シャルルに無理矢理納得してもらった。カイトが提示した金額は一回の属性魔力補充に付き銀貨一枚。

 本来の付与術士なら、この千倍の金額を請求される。それだけレア職なのだ。


「なら、頼む。ここにある炉に補充をしてくれ。この通りだ」

「顔を上げてください」


 俺が幼女を虐めてるみたいだ。ただ救いなのが、ここには土精族ドワーフしかいない事だ。カイトと同じ人間がいたら確実に勘違いされている。


「やりますから」

「本当か?!やってくれるのか?!」

「はい、やります。やらせて下さい」


 カイトとシャルルの会話を聞いていた周囲の土精族ドワーフから感激の雨霰がギルド内に響き渡る。

 鍛治師ギルドにとって炉が使用停止になったら死活問題だからな。気持ちは分かるが、俺をみんなで胴上げは止めて欲しい。

 鍛治で鍛え上げられた筋骨粒々な肉体で胴上げされるのって意外に怖い。


「ハァハァ、まだ終わった訳ではありませんから。喜ぶのは早いです。ゲホッ」


 作業を開始する前から足がガクガクだ。天井近くまで投げられ落ちて来たところをキャッチされ、また上空へ投げられてはガクガクになっても仕方ない。


「すぅーはぁ、よし。【挿入】×6」


 掌に収まるサイズではなく、顔面よりも大きい火炎石を【収納魔法】から取り出すと頭上に掲げた。

 火炎石から赤色のラインが伸び炉へ繋がった。これでまとめて一気に【挿入】が出来る。ただし、それ相応の大きさの火炎石でないと失敗し、暴走する。


「ふぅ、終わりました」

「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!」」」」」

「ギルド代表としてお礼を言う。ありがとう」


 シャルルが頭を下げお礼を言う。他の土精族ドワーフは炉の性能を確かめるべく早速武器を作り始めた。


「おぉぉぉぉぉ、凄ぇ。こんなに早く武器を作れるなんて」

「おぉぉぉぉぉ、前よりも柔軟さと切れ味が上がったんじゃねぇか?!」

「よし、これで試し切りじゃ」


 試し切り用の鎧を着せた木人形に打ったばかりの鉄剣を構え切りつけた。

 途中で止まったものの、半分程まで切れた。木だけなら兎も角、鎧までも切れるなんて相当な切れ味だ。人間なら腕を持っていかれてるだろう。


「なんという切れ味なんだ!」

「どれどれ【鑑定】」


 《アイアンブレード》

 アイアンソードの上位版。アイアンソードよりも切れ味と柔軟さを増した一品。鉄の鎧程度なら難なく切り裂ける。

 これを作れて一人前の鍛治師なった証となる。


「凄いな」


 アイアンソードよりも数段切れ味が増しており、素人でも当たれば鉄の鎧なんか簡単に貫通してしまう代物だ。

【付与】なしではカイトにも安易に作れない。ここまでの代物を作れたのは炉の性能もあるだろうが、土精族ドワーフの技術の賜物だと言っても良いだろう。


「ギルマス失礼します」

「何だい?騒々しい。こっちは今、歓喜に浸ってるところなんだが」

「それよりもこちらを」

「これはカイトが納品したインゴット?」


 手渡されたインゴットを手に【鑑定】をするシャルルは、慌てて入って来た土精族ドワーフの気持ちを理解するように驚愕を隠せないでいた。

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