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第6話 ベルデの森撤退戦


  

 「すまないが君達はここでケガ人を見ててくれないか」


 「分かりましたスレイン様。お任せください」


 「まだ戦線が安定していない。このままでは・・・」


  スレインが思案していたその時茂みからリザードマンがスレインめがけて槍

 を突き出してきた。

   

 「くっ」


  スレインはすんでの所で槍を躱し、薙刀を浴びせかける。リザードマンは肩か

 ら切られ絶命する。


 「大丈夫か?スレイン」


  そこに京矢が駆け寄ってきた。


 「こんな事は大した事は無い。それより前線が・・・」


 「スレイン、多分この戦はもう負けだここからは撤退戦に移ったほうがいいと思

 うんだが」


  スレインは驚いた。京矢はこんな状況でも戦況をみれるのか。


 「私もそう思う。だが撤退となると父上がどう仰るか・・・」


 「そこはお前がどうにかしてくれよ」


  京矢はスレインの肩に手を置きながら笑って見せた。


 「何か策があるのか」


 「まあ撤退するまでは出来そうだな。しかし、皆がちゃんと命令に従ってくれな

 いと無理だがな」


  スレインは今一度戦場を見回して状況を考えし直した。それから京矢の両肩を

 掴んでおもむろに京矢の頬に軽く口づけをした。


 「この続きは生き残ったらな」


 「おい!今何やった!?このエルフめ油断がならねえな」


 「さあ、策を教えて勇者様」


 「勇者じゃあないっての!」


  そう言って内心ドキドキしながら京矢は作戦を話し始めた。


 「じゃあ、そう言う事で」


 「分かったわ。じゃあ私は前線に行って父上を説き伏せるわ。それで、足止めを

 行う時は合図をして欲しいわ」


 「ああそれな、うちの箱入り娘がそちらに行くからそれが合図だ」


 「箱入り娘?ああピッポだな」


 「後、俺の所にフォールンだっけ足止めやら工兵みたいな職の・・・」


 「フォールンなら先に彼らの所に行ってあなたの所に行くように伝えるわ。じゃ

 あ気を付けてね」


 「ああ。死ぬなよ」


  スレインは京矢の言葉を聞くか聞かないかという間に走り去っていった。しば

 らくすると4人のエルフが京矢の元にやって来た。


 「スレイン様に言われて来ました。勇者様」


 「勇者様は止してくれ。俺は勇者じゃあないし、まだ何もやっちゃいない」

  

 「分かりました。では何とお呼びすれば」


 「京矢でいい。それであんた達は工作活動が得意らしいな」


  エルフ達は京矢の言葉にちょっと首をかしげたが、一番の年長のエルフが答

 えた。

 

 「我々の仕事は敵の背後や側面に回り、罠を仕掛けたりして足止めや戦力を削ぐ

 事なんです」

 

 「なるほど。ではあんたらにちょっと仕事して貰いたいんだが良いか?」


  京矢はフォールン隊に前線の側面からの足止めを頼んだ。するとエルフ達はす

 ぐさま走り去って行った。


 「これで準備は整った。後は主役の登場を待つだけか」


  そう言うと京矢は背中に背負っていたピッポを降ろした。


 「おいピッポ起きろ仕事だぞ」


 「まだ朝になって無いじゃない、起こさないでよ」


 「馬鹿言ってんじゃねえ、生きるか死ぬかっていう時にもう!」


 「ピッポ、今はリザードマンと戦っているのよ。起きて」


  カタリナも傍にやって来てピッポに優しく諭す。ピッポはそれを聞いてやっと

 の想いで起き上がる。


 「しょうがないなあ。あれ?これはどうしたの?」


  ピッポは周りに多くのエルフの死体や、けが人がいるのを見て驚いた。


 「リザードマンに襲われたのさ。それでなこれからリザードマンにきついお灸を

 据えてやろうと思ってるんだが、手伝ってくれるか?」


 「お灸?まあキョーヤのお手伝いならやってあげてもいいよ」


 「よし!それじゃあお前さんは今から前線に行って、ちょっと戦場を掻きまわし

 て欲しいんだ」


 「掻きまわすってどうすれば良いの?」


  ピッポはキョトンとして聞き返す。


 「この油が付いてる布袋をリザードマンにぶつけるんだ。ひとしきり暴れながら

 リザードマン共を掻きまわして油をばら撒きまくる。出来るか?」


 「なるほど。そんなの簡単よ」


 「じゃあ頼むぜ。でピッポが暴れだしたら水魔法が使える連中とリザードマンの

 足元に撃ってぬかるみを作って欲しいんだ。暗くて見えづらいから間違っても味

 方に当てるんじゃないぞ」


 「足元を狙うのね、判った」


 「そうだ。じゃあ行ってくるぜ」


  そう言うと京矢はピッポを肩車しながら前線に向かった。前線では今もエルフ

 達がリザードマンを食い止めていた。 


 「ピッポ、前線の様子分かるか?」


 「うん見えるよ。エルフの工作部隊が足止めしてるみたいで、リザードマンの動

 きが鈍くなってるわ」


 「そうか、じゃあ今だ!行けピッポ暴れてこい」


 「らじゃあー」

 

  ピッポは今まで見た事も無い位の速さで飛びだした。前線に飛び込むと凄まじ

 い速さで暴れ回り始めた。ピッポが入った事によりリザードマンは完全にその場

 に足を止めた。


 「ここで水だ。カタリナ頼むやってくれ」


  京矢は後方にいるカタリナに大声で言った。


 「分かったわ行くわよ。皆撃ってー!」


  カタリナとエルフの魔導士が一斉に、リザードマンの足元に水魔法を放つ。途

 端に足元がぬかるみ始め混乱に拍車がかかる。そこにピッポが飛び廻りながら油

 をばら撒いた。


 「スエイン後は頼むぞ・・・」


  前線のエルフ達はリザードマンが突然の出来事に混乱しているのを見て、一斉

 に火矢を射かけ始めた。すると油に火が着きリザードマン達を炎が飲み込む。

 

 「潮時ね・・・」


 そこでスレインが撤退の指示を出した。


 「でかしたスレイン、でもここからが勝負だぞ」


  足止めは成功したがケガ人を連れながらの撤退は至難の技だ。京矢はフォール

 ン隊に殿を任せフォローに回った。エルフ達は統率されていて速やかに撤退が行

 われて行く。


 「凄いなエルフの戦士たちは、まるで風の如しだな。これならすぐにでも炭鉱に

 着けるかな」


 「凄いでしょ。あれはジンガーが歌うバフが効いているからなの」

 

 「確かにこれは凄いな。この歌によってケガをして居ても一時的に身体強化をし

 てくれるなんて最強なんじゃないか」


  前線を見るとスレインがケガ人を支えながら撤退を指示していた。京矢はそれ

 を見て手伝うためにスレインに駆け寄って行った。

 

 「何とか生き残ったようだなスレイン」


 「当然だ、あれしきの事でやられるものか。それよりもピッポは凄かったな、あ

 れのおかげで一気にリザードマンが沈黙したよ」


 「俺もあれには驚いたぜ。人助けはするもんだな」


 「そうだなあの子がいなければもう少しきつい状態が続いていたと思うわ」


 「肩でも貸そうか?」


 「え?いいわ一人で歩けるし・・・ってお、お願い肩貸して・・・」


  思わずスレインは拒否してしまった。すぐに撤回したが京矢は向こうを向いて

 しまってスレインはがっかりした。


 「さあ行こうかスレイン。撤退しようぜ」


  討伐隊の生き残りは何とか山の中腹にある炭鉱跡に逃げこんだ。しかし、まだ

 リザードマン達が辺りをうろついている。果たして京矢達は、エルフの里に帰る

 事が出来るのであろうか。




 

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