俳句集
鎌田彩海
結局は水際となる浜に春
ドーナツに穴のぽっかり終戦日
油絵に天使の起源りんご捥ぐ
口論のあとの無言や落葉掃く
成人の日の姉なんと言えばいいのか
鍋倉悠那
懐手快速切符と訃報練る
逝く祖父のゆびのやわさの初湯かな
事始介護ベッドをたたむ宵
ゆづり葉や母趾球すりて通勤す
しとしとと胃下垂に落つる七日粥
まれすけ
うぐいすや一日署長振り向きぬ
就活に横文字多しすみれ草
朝ドラの再放送や冷奴
耳鳴りの始まりしとき紅葉散る
天の川の中へ点滅する機体
和田詩織
文通の絶えるときまで花水木
石垣の隙間に歴史清和かな
読点の多さで君の秋思知る
バスに肉震わされたり夕時雨
待つ迎えなどないマフラーきつく締め