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短編大作選

ラブヒートアイランド

掲載日:2021/06/02

僕のココロは冷めきっていた。


それは少し前のこと。


冷たい氷水にどっぷりと浸かり。


血流の滞りを感じながら生きる。


人生の大半をそれで消費してきた。




でも今は違って真逆だ。


煮えたぎって煮えたぎって。


燃え上がって燃え上がって。


火照り切って冷めきらない。


恋というものに嵌まった。


美女という存在に陥った。


美しいものに一度浸かると。


もう脱出は困難になる。




彼女は他のひととは違う。


内面から溢れる麗しさ。


それが僕の身体にいる悪いものを。


焼き尽くしてくれている。


そう思うほどの恋だった。




この世界は僕の感情だ。


僕の感情を映したような世界だ。


悲しくなれば雨が降る。


喜びを放てば晴れ渡る。


怒れば稲光を引き起こす。


いつからかそうなった。


原因はよく分からない。


自然環境といつの間にかリンクしていた。




このままではみんなが干からびる。


みんながカラカラに乾ききる。


でも彼女のココロが綺麗な限り。


僕は熱エネルギーを排出し続ける。


そんな未来になるだろう。




彼女は僕にいつも話し掛けてくれた。


一人でいる僕を気に掛けてくれた。


他の人が僕に背を向けるなかで。


彼女だけがまっすぐにまっすぐに。


こちらを見ていてくれた。


クールさと暖かさを持ち合わせて。




彼女と深く交わるにつれて。


僕は氷水にも熱湯にも属さなくなった。


春の木洩れ日のようなココロ。


それをいつの間にか手に入れていた。


ラブヒートアイランド。


それは愛されてこなかった僕の。


妬みから生まれたモンスターだった。


今はごく普通の人間で生きられている。




「愛してるよ」


僕は彼女にそんな言葉を漏らした。


人生で初めてかもしれない。


僕が誰かに愛を投げ掛けたことは。


愛を投げ掛けたあと。


彼女は頬を僅かに赤らめた。




それから少し経ったとき。


生ぬるい熱波のようなものが。


どこからか襲ってきた。


少しの沈黙が流れたあと彼女は。


僕を優しく抱き締めてくれた。

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