4話 クラスメイト
ーーーーーーーーーーーー時は戻りーーーーーーーーーーーーーー
爆発の衝撃で、クラスメイトが廊下に出てきていた。
「みんな落ち着け!」
「今の爆発って何だよーーー!」
「大丈夫だから、落ち着いて!」
「誰か助けて!!」
みんなが混乱していた時、駆けつけて来た一人の兵士が叫んだ。
「皆さま!落ち着いてください。陛下がお呼びです。すぐに『拝謁の間』にお越しください!」
そんな兵士の言葉が聞こえないほど、みんなはパニックを起こしていた。
「全員、落ち着けーーーーーーー!」
鼓膜が破れそうなほどの声で冬馬が叫んだ。
「冬馬の言う通りだ。今の僕らには何が起きたのかもわからない。まずは、王様の所に行こう!」
蔵馬の提案ということもあり、全員がそれに従った。
〜〜〜拝謁の間〜〜〜
拝謁の間では、王様の周りに甲冑を着た兵士たちが固まっている。まるで、何かから王様を守っているようだ。
「よく参った!まずは、現状から伝えるとしよう」
王様の横に居た老人が話し始めた。
「お主らと共に来た魔王が、つい先ほど脱走した。脱走の際には、錬金魔法や爆破魔法を使用したことも確認されている。私たちの見解では、手助けした犯人は魔族の者だと考えています。これにより、魔王を指名手配することを決定いたしました。それに伴い聖騎士様と聖女様も今回の事件に少なからず関わっている疑いがあるため、取り調べを受けていただきます」
クラスメイトの疑惑に満ちた目が2人に向けられる。
「お連れしろ」
老人の一言で、兵士が2人を連行しようとした。
しかし、これに反論するように冬馬が口を開いた。
「残念だけど王様、それはありえないぜ。さっきの話を聞いたら、あいつが牢屋から出たのは俺らが全員で集まって居た時だろう。だとしたら、この2人にあいつを逃すことはできない。それどころか、クラスの中にできる奴はいない。そもそもこっちの世界に来たばかりの俺たちに魔族と繋がって連絡を取ることなんてできるわけないぜ」
この言葉には、王様達も反論できないようだった。
「分かったら、2人を連れて行くなんて今すぐやめろ!」
少しの間、無音が続いたが老人が口を開いた。
「陛下、ご決断を」
「勇者様の意見を尊重し、聖騎士様・聖女様に罪はないとここに宣言する」
「イェーイ!」
「よーし!!!!」
「よくやった!冬馬!」
クラスメイトが歓喜に包まれている間、蔵馬と美佳は、安堵した表情で、見つめ合った。
冬馬は、嬉しそうな笑顔で美佳の方を見ていた。
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「皆が落ち着いたところで、今後の話をしよう」
王様が言うと、老人が前に出た。
「皆様には、これからいくつかの段階を踏まえて魔族に対抗する力をつけてもらいます。そのために、皆様を指導する者たちを紹介します」
扉が開き、そこから男女5人が入ってきた。
「それでは、自己紹介をさせていただきます」
屈強な大男が話し出した。
「私の名前は、ダルナ=ロウ。王国騎士団団長兼近衛部隊隊長を務めている。皆様の剣術指南を仰せつかりました」
次に、黒目で吊り目の可愛い女の子が話し出した。
「フィーナ=ロウ。王国魔術学園の学園長。あなた方の魔術指南を任されている」
次に、おっとりとした優しそうな女の人が話し出した。
「エルマ=ラドリスと申します。主に仕える神官です。私は、一部の人に神聖術をお教えします」
次に、小柄な男の子が話し出した。
「俺は、ハミット=ローランド。王国一の格闘流派セインソウ術の免許皆伝だ。お前らに体術を教えてやるよ」
最後に、やる気の無さそうな男の人が話し出した。
「僕は、ラミー=ジンです。皆さんには薬学や錬金術といった禁術にならない程度の危険な魔術を教えます」
「以上が、皆様をお教えする者たちです。修行は明日から始めますので、本日はお休みください。爆発が今後も起きないとは限りませんので、城の警備を厳重にします。そのため、廊下などで兵士が巡回していますが、お気になさらないでください」
「では、解散!!」
王様が叫んだ。
ーーーーーーーーーーーーその夜ーーーーーーーーーーーーーーー
「美佳。僕たちはこの後どうするべきだと思う?」
「晴哉が牢屋から出たのは何か意味があると思う。だから私たちがやるべきことは…」
「晴哉が帰ってきやすい状況を作っておくこと?」
「うん!!」
「それじゃあ、まずやるべきことは王様たちからの信頼を得て、発言力を高めること!」
「二人で頑張ろう!!」
ーーーーーーーーーーーーー翌日ーーーーーーーーーーーーーーー
「それでは、今日より訓練を始めますが、それぞれの職業に適した講師のところに移動していただきます。まず、剣を扱う職業を持つ方は私、ダルナ=ロウが指南をします。魔術に関わる職業の方は、フィーナの居る魔術学園に行ってください。剣以外の武器を使う方、武器を使わず拳で戦う方はハミットの居る道場に行ってください。神官など神職の方はエルマの居る大聖堂に。最後に戦うのに適さない職業の方は、ラミーの居る研究所に行ってください。魔術学園・道場・大聖堂・研究所に向かう方は兵士が案内しますので、ついて行ってください」
全員がその指示に従って移動を始めた。