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最弱魔王の転移  作者: 小森 優也
3/7

2話 クラスの決断

 「ま…魔王⁉︎」


 その時、僕を含めた全ての人が言葉を失った。

 次の瞬間、

 

「取り押さえよ!!!!」


 王の指示で、衛兵達が僕を取り押さえる。

 僕は、手を後ろで縛られ、正座させられた。


 「さぁ、正体を現せ!魔王!」


 そう言われても、僕も驚いていた。

 自分が『魔王』だなんて知らなかったし、信じられなかったからだ。

 それに、僕は『最弱の魔王』という、あまり嬉しくない称号を持っていた。


 「そうか。何も答えないのか。」


 雰囲気で分かった。

 このままだと、魔王として殺されてしまう。


 「すいません。僕も何で『魔王』という職業なのか分からないんです」


 他人から見れば苦しい言い訳にしか聞こえないかもしれないが、これが事実なので、信じてもらうしかない。


 「そんな嘘をついてまで逃げたいのか?」


 やはり、信じてはもらえなかった。

 もしかしたら、このまま殺されるのかな。

そう思っていた時、


 「ちょっと待って下さい」


 そう言って僕を庇ってくれたのは、蔵馬だ。


 「聖騎士殿、なぜ止めるのだ?理由によっては、お主も捕らえることになる」


 王のこの言葉にも怯まず、蔵馬は続けた。


 「ですが、彼は僕らと一緒に転移してきました。彼が魔王というのに、疑問があります」


 「そうよ。晴哉が魔王だなんてありえない。」

 美佳も、助けてくれた。


 確かに僕も不思議だった。

 なぜ一緒に転移した僕が『魔王』なのか。


 「そうは言っても、検査で『魔王』と出たのは、事実じゃ」

 王も反論して、このままでは俺と一緒にこの二人まで殺されるかもしれない。


 「ていうかさ、簡単な話だろ。

  こいつを殺せば俺らは元の世界に戻れる」


 冬馬が、言った。


 「そうか!そうだよな!」

 「そうだよ!」

 「冬ちゃん、頭良い〜!」


 クラスのみんなも冬馬に賛同した。


「ちょっと、待ってくれよ。

 みんなは、友達を殺すっていうのか?」


「俺は、殺す。ていうか、死ぬのが晴哉なら別にいいだろ」


 「なんだと。お前、人殺しは犯罪なんだぞ!」


 「こんな世界で、誰が俺を裁くんだよ!」


 蔵馬と冬馬が、今にも斬り合いそうな迫力で言い合う。


 「静まれ!!」


 鼓膜が破れそうな声で王が叫んだ。


 「聖騎士殿の意見も理解した。取り敢えず、彼の者は牢にて監禁させて頂く。よろしいな。」


 今の段階では、これ以上ないほどの打開案だ。


 「分かった。」

 「分かりました。」


 冬馬と蔵馬も納得したようだ。


 「では、彼の者を連れて行け。正式な処分はまた後日とする。」


僕は、衛兵によって地下牢に連れて行かれることとなった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 その日の夜。蔵馬の部屋にて。


 「みんな、集まってくれてありがとう。今回集まってもらったのは、晴哉のことについてみんなと話をしておきたいからだ。」


 「話なんて必要なのかよ。大事なのは、あいつが魔王で、俺らが帰るには魔王を倒す必要があるってことだけだろ。」


 「やっぱりそうだよな」

 「たった一人で、私らが助かるなら良いと思う」

 「正直、あいつが居なくなっても困らないだろ」

次々に、冬馬に賛成する奴が増えてきた。


 「ちょっと、待ってくれ」


 「もういいだろ。蔵馬。これ以上、あいつを庇っても何にもならないぞ」


 反論しようとした蔵馬も、勢いで押し返された。

 「よし、じゃあ結論は出たな。あいつは見捨てる。解散だ」

 冬馬の掛け声で全員が、部屋から出て行った。

 残ったのは、蔵馬と美佳だけだった。


 「なぁ、美佳。俺たちはどうしたら良いんだ?」


 「私にも分からないわよ。冬馬の言ってる事にも一理あると思う。それでも、晴哉を見捨てたくはない。」


 「俺たちは、何をするのが正解なんだ」

 蔵馬は、頭を抱えていた。

 すると、急に大きな音と大きな揺れが起こった。

 爆発が起きたみたいだった。


 急いで蔵馬と美佳が部屋から出ると、他のクラスメイト も、部屋の外に出ていた。

 「ねえー!何この揺れ!」

 「助けてーーーーー!」

 「みんな落ち着け!!」

 クラスメイト達は、完全に混乱していた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 この少し前、地下牢にて。


 「あ〜、この後どうしようかな」


 地下牢の汚れたベットに寝ながら考えた。


 今すぐにでも、脱獄すれば助かるのは間違いないけど、脱獄しても生きる事が出来ない。


 魔法も、『転生魔法』があるけど正直よく分からない。

 死んでみたら分かるかもしれないけど、そんな確証も無いことに命は賭けられない。


 スキルは『経験値アップ』があるけど、今の状況では使い物にはならない。


 あとは、称号だけ。

 これで生きていくのは、無理だ。


 「これから、どうしようかなー」


 「では、私と来てください。」


 僕の独り言に答えるように話しかけてきたのは、黒いローブで顔を隠した人だった。

訂正箇所があれば、教えてくれると助かります。

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