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【単話】異世界転生交渉 ~それでも俺は転生したくない~

作者: Aです

もしあなたが、神様の失敗で異世界に転生することになったとします。

あなたは喜んでその転生を受けいれられますか?

そんな転生を受け入れられない少年と転生させようとしてくる神とのお話です。

とても心地がいい……。

身体が羽のように軽い、そして寂しくなるほど静かである。



ここはどこだ。



目を覚ますと知らない景色が広がっている。



雲のようにふわふわした地面、クリーム色に輝く空。



「(まるで小説の中の天界…、ダメだなんでここにいるか思い出せない。記憶はちゃんとあるのか?

名前ワイト、年齢16歳、誕生日1月1日、身長172に体重69、昨日の晩ご飯はたこ焼き食べ放題、しっかり記憶は必要以上に残ってる。ここに来る直前の記憶だけがない)」



周りを見渡す限りに続く同じ景色。



「おーい!誰かいないのか〜!」



声はこだますることなく消えていく。



「(俺以外に人はいないのか。ここがなんなのかはだいたい察しがつく。

何回か小説で読んだことがある。恐らく本当に天界、俺は死んだのか?

死んだとしても天国に行くわけではない、俺は人をそこそこ殺してる。なにか他のことでここにいる。

こういう時は大抵神が現れるはず、呼び出し方があるのか?

流石にそこまで小説じゃ書いてなかったぞ。そして大切なことがもうひとつ……)」



「目覚めたか、数奇な運命を辿る少年よ」



振り向くと先程まで何もいなかった空間には、最初からそこにいたかのように老人がたっていた。



「(ハゲ、髭、シワ、全身真っ白で動きづらそうな服に変な杖、間違いなくこいつが神だな。まあ間違っていたらまずい、一応聞いておくべきか)あなたは誰ですか?」



「ホッホッホ、儂は見ての通り神様じゃよ。」



「(ほんと見たまんま、絵に書いた神だな)なぜ神様が私の前に?」



神とやらは髭をいじると口を開いた。



「お主はいまさっき死んだのじゃ。」



「(まあそう来るよな、大抵このままいけば異世界に転生させられるのがよくあるパターンか。それだけは避けたい。)

何故、私は死んだのでしょうか?(ここからがもうひとつの大切なこと、俺の死にこいつが関わっているかどうか。)」



しばらくの静寂の末、神は口を開く。



「儂のちょっとしたミスじゃ。」



「(なるほど、こいつか。こいつが俺を殺したのなら敬う必要なんかこれっぽっちもないな。)死因は?」



「??」



神は不思議そうな顔をする。



「死因だよ死因。俺が死んだって言われても、はいそうですかって言えるかよ。死んだ証拠はあんのか?」



「お、お主急に態度を変えよって、儂は神じゃぞ!」



神は強めの口調で言う、が



「俺はお前に殺されたんだ、俺は被害者、お前は加害者。わかるか?

それでもお前を敬えって言ってんのか?あ?

開口一番に謝罪してたらまだしよ、謝ってもいないよな?

悪いことをしたら謝るなんて小学生でもしってるぜ?

それどころか俺の死をちょっとしたミスってよ反省してんのか?

神様とやらは人を殺しても謝らなくていいんですか?」



神は完全に面食らっている。



「すまなかった、確かに先に謝罪しておくべきじゃった。お主が死んだ証拠だが、ほれ下を見い。」



神が杖で地面をつつくと地面の雲が晴れていき、

そこには青く丸い地球が映っている。



「大丈夫じゃ、落ちはせん。ほれ好きなだけ見るがいい。」



「え、何を?」



「ほれあそこ、お主の遺体じゃ」



神は杖で地球を指す。



「見えるか!!人の目をなんだと思ってんだ!!!」



「なんじゃ見えんのか。つまらんのぉ。仕方ないこれでどうじゃ」



神が杖を地球に向けて回すと、世界がズームアップされていく。



「(あれが俺か、俺の部屋のベッドに横たわって気持ちよさそうな顔しやがって、、、)あれ、俺寝てるくね?

ていうか死因はなんだよ遺体にしたら綺麗すぎるだろ」



すかさず神は答える。



「そんなことはない。お主は儂の力で死んだ。本来別の人間を死なすつもりじゃったが、何故か儂の力はお主に働き肉体から魂を抜き取った」



「(あー死に方が思ってたより酷かった、こいつほんと最悪だな)これから俺はどうなるんだ」



「ではお主を異世界に転生させてやろう、安心せい既にお主の新たな身体は作ってその世界に置いてある」



「(最悪だ、本当に最悪だ。それだけは困る。)そんなことしなくていい、元の体に戻してくれ、神ならそれくらいできるだろ」



神は一呼吸おいていう。



「それはできぬ、死んだ人間を元の世界に戻すことはこの世界の理に反するのだ。

それにお主が今から行く世界は窮地に陥っている、お主は勇者となり世界を救っておくれ。」



「世界の理に反する?神が間違って人を殺すのはそれに反しないのか?

それに勇者なんてまっぴらゴメンだぜ?めんどくさい。

幸いここから見たところ俺の遺体に気づいているやつはまだいない、今こっそり俺を元の体に戻してこのことは無かったことにしようぜ?

誰にもこのことは言わねーし、それに1度殺されたことも水に流してやる、取引だ」



神の表情はあからさまに戸惑っている。



「勇者じゃぞ?富、名声、力全てが手に入る、本当にならぬのか?」



「それどっちかって言うと魔王のセリフだぞ。それにそんなもの無くても困らんだろ」



「異世界は素晴らしい世界じゃ、この世とは思えぬ絶景の数々にお主の世界では口にすることの無い美味が沢山ある、それにとても強力なスキルをやろう」



神は少し焦っているようだ



「絶景とかに興味はないし、いきなり異世界とか文化の違いに絶対疲れる。

それに世界を救うとかそれを堪能する暇無いだろ、あとスキルとか貰っても使い方とかわからんし困る。

言っておこう、俺は異世界転生物の話が嫌いだ、それに厄介事はもうこりごりなんだ。やっとできた平和を堪能させてくれ。」



「作った身体はどうするのじゃ、この世界の命運にも関わっているのじゃぞ」



「俺には関係ないだろ、元々ほかのやつを連れてくる予定だったんならそいつ連れてこいよ。ていうか神の力で助けてやれよ」



「それは無理じゃ。神が世界に手助けできることは神の使いをつかわすことだけじゃ。そしてこの身体はお主にしか適応せん」



「じゃあ作り直せよ」



「作るのに3週間はかかる、その間この世界はどうすればいいのじゃ」



神の頬に汗が滴る



「…………」



「おい、なんで俺は今さっきお前のミスで死んだのに、3週間かかる俺に適正した身体があるんだ」



クルンッ

地面の映像に動きがあったが、神は慌てて地面を雲で隠す



「いま……、俺の遺体寝返り打ったよな?」



「ただの気のせいじゃ」



「おいジジイ、ミスでもなんでもなく元から俺が目当てなんだろ、異世界に転生させるために。

あと俺の身体は理屈は知らんが生きてる、元の身体に戻ってもこの世界の理とやらには反しないじゃないか?」



神は深刻な顔をして口を開く



「お主には勇者の才能がある」



「このご時世クソほどいらねぇ才能だろ、考えて人に才能与えろよ」



「才能を与えるのはほかの神じゃ」



「誰がやったとかどうでもいいんだよ、あと戻れるのか答えろよ」



「確かに問題はない」



「じゃあ戻せよ」



「頼む!この世界を救ってくれ!お主にしかできぬのじゃ!」



神は深深と頭を下げる



「悪いけどな嫌だって言ってるだろ、その世界に転生させられても別に世界救ったりしないからな」



再び少しの静寂が訪れる



「仕方あるまい、お主を元の身体に戻そう」



「(ようやく戻れる、なんとか異世界転生は免れた)二度とこんなことは無いよう頼むぜ」



意識が遠のいていく


.

_

___

_______


眩しい日差しの中、小鳥のさえずりが聞こえる



「(朝……か、元に戻ってこれたんだな)あー空が綺麗だ、、、空?確か部屋にいたはずじゃ、」



目の前に広がるは見知らぬ世界



「…………」

「あんのクソジジイ!!!」

最後までありがとうございます。

実は再投稿なんですよね(汗)

続きを書こうとした時に少し問題があっていくつか訂正させて頂きました。

過去に色々と何かありそうなワイトくんでしたが、あなたがワイトくんの立場ならどうしていましたか?

コメントなどで教えてもらえれば嬉しい限りです。

この続きを今度は長編で書こうと思うのでその時はまたよろしくお願いします。

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