ラスボスの先は…【ハーバラント編】
まーちゃんは飽きてきた。最近どハマリしていたゲームでの作業が単調になってきたからだ。
「あー、やりたいことがないー」
そこに現れたのは一人のフェスティという名前の少女だ。この少女は真琴が最近仲良くなった、クラスメートの茉莉である。
「まーちゃん、ストーリー進めてる?」
「えっ」
「その様子だとそもそもストーリーがあることを知らなかったみたいだね。じゃあ説明すると…」
かんたんに説明するとこうだ。まず、プレイヤーは【創造神】の力を得るためそれぞれの概念を作り出した神の分身を倒す。その前に、その神の使い魔を倒す必要がある。それらをすべて倒すと、やっと神の分身と戦える。しかしそれだけでは終わらない。その後、それを倒したものがそれぞれの職業から1人ずつ集まり、【創造神】と戦う。何度でも再挑戦は可能だが、その【創造神】の強さが異常らしいという噂が流れていた。
「えーとつまり、それを倒したら全クリ?」
「そうだよ」
まーちゃんは思った。「それはとても面白いんじゃないのか」と。
それから数週間後。まーちゃんのレベルは50まで上がり、ペットたちも成長していた。まーちゃんの【DEX】は8472、【種スライム:裏】を3つ使用すると67776である。
「えっとまずは【ハーパラン卜の風車小屋】に行くのか。【神輿】!」
それは意外と近くにあった。
「道中モンスターがいそうだね。じゃあ【地形ノ盾】使ってから行くか」
まーちゃんの周りに半透明の膜ができる。この膜の【VIT】は8500近くあるため、まずダメージを受けない。
そこからはまっすぐ最奥部の部屋へと行った。
「【種スライム:裏】を3つ使用!【表裏一体】で【STR】!【地形ノ魔人】!
【麟鳳亀龍】!ペットちゃんたち!これでいいかな」
そう言ってまーちゃんはドアを開けた。
「おい、お嬢ちゃん、ここは【ハーバラント】様がいる部屋だ。さっさと出ていけ!出ていかないのなら…」
「「「俺達が出ていかせる!」」」
そのセリフの直後、使い魔たちは光となって消えた。そうすると奥から一人の痩せた男が出てきた。その男は何も言わず襲いかかって来て…光となった。
「なぜ、この【ハーバラント】が負けたのだ…なぜ…」
まーちゃんは倒してから気がついた。
「これが【農家】っていう概念を作り出した人だったの?弱くない?」
それは間違っている。まーちゃんが強すぎるだけである。まーちゃんはそのことが分かっていないため、ゲーム内最上位モンスターに「弱い」と言ってしまったのだ。ちなみに今回、まーちゃんは何もしていない。ただセリフを聞こうと集中していただけだった。
「あーあ、もう終わっちゃった。なんかいいものないかなー。うん?」
そこに落ちていたのはキラキラと光るアイテム。拾うと金貨1枚を獲得できた。道にはそれがゴロゴロと転がっている。【プロジェクト:タウン】により金欠のマーチャンはこれを拾い続けた。すると先程よりも大きく、頑丈そうな扉が見えてきた。退屈していたまーちゃんはワクワクしながらそれをバーンと開けた。
「よく来た人間」
どこからか声がする。よく見ると、何か心臓のようなものから声が出ているのがわかった。
「我は【ハーバラント】の【心臓】。先程は急に襲いかかってしまい、申し訳なかった。しかしここに来たことは許せん。ここは我の隠し部屋だからな。いざ尋常に勝負!」
もう言わなくてもわかるだろう。そう、光になった。
「くっ、負けてしまったか。いいだろう、その力、認めてやる。我の跡を継いでくれたまえ…」
声が聞こえなくなるのと同時に称号【ハーバラントの跡を継ぐもの】を獲得した。
「結構広い部屋だねぇ」
まーちゃんはこの部屋を物色する。そしてこんなものを見つけてしまった。
「【臥竜鳳雛】と【自家薬籠】、それに【酷薄無慙】を獲得できる巻物かぁ」
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【臥竜鳳雛】
自身の能力値が1つでもゼロなら、使用後5分間、その能力値を自身の最大の能力値と同じにする。60分後再使用可。
【自家薬籠】
自身の能力値を1つだけ上昇させる薬を使用する。上昇値は【DEX】依存。10回まで使用可。10分で1回分回復。
【酷薄無慙】
自身の体をおぞましいドラゴンに変化させ、自身の【STR】を+1000、他の能力値をすべて+500する。1日1回まで使用可。
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「チートと、チートと、移動手段か。もっとえげつないのが来ても…これでも十分えげつないか。というか【臥竜鳳雛】と【表裏一体】の違いって何?」
【臥竜鳳雛】は自身の0である能力値を5分間全て自身の最大の能力値と同じにするチートで、【表裏一体】は自身の1番低い能力値を10分間自身の1番高い能力値にするチートである。5分間すべての能力値を8000超えにするか、10分間どれかの能力値を8000超えにするかの違いである。どちらにしろ言えることは一つ。
「チートだね、うん」
次々にチートが来ることに慣れつつあるまーちゃんは風車小屋から出た。そして目標を思い出した。
「あ、そういえば【創造神】さん倒さなくちゃだね」
こうしてまーちゃんは歩みだした。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回はラスボスとの戦いの前に立ちふさがる敵との戦いを投稿します。




