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これ、うちの畑で取れたスライムです  作者: 林檎酢
バージョン2【歴史の暴走】
7/98

チーム設立の結果…

 【プロジェクト:タウン】。それは真琴が考えた【チーム】機能の応用である。このプロジェクトの費用は金貨25000枚超え。そう、真琴は馬鹿である。

「まずは…【スライム商店】の設置かな」

_____________________________________

【スライム商店】

このアイテムに農作物を入れ値段を設定すると、他のプレイヤーが購入できる。手数料なし。使われたお金は出品者のポストへ行く。

_____________________________________

「これを25個ください」

「おう!嬢ちゃん、大人買いするね〜」

「いやー大人ですからぁ」

「「はっはっは!」」

 このおじさんはまーちゃんがいつも行っているお店の店長さん。見た目は怖いが仲良くなるとめっちゃいい感じのおじさんである。

「はい、金貨4枚だよ!」

「え、金貨5枚じゃ…」

「サービスだよ!嬢ちゃんは常連だからな!」

「ありがとおじちゃん!」

「また来てなー!」

 ふたりはいつもこんな感じである。




「おっと、そいえばメンバー集めなきゃだね」

 いくらお金を使ったとしてもメンバーがいなくては意味がない。ということで、

「【チーム】入りませんか〜、農家さん募集中でーす!入ってくれたらボス戦手伝います!」

 数分間呼びかけていると、一人の少女がやってきた。

「あ、あの…私一応農家で…レベル1でもいいなら…その…【チーム】入れてください!」

「うん、いいよ。一緒に頑張ろう!」

「はい!」

 一人目のメンバーはこの少女になった。

 それからは意外とあっさりと集まった。

「じゃあまず、家もってる人は売っていいです。私が奢るんで」

「「「えっ…」」」

 家を奢るとはこんなに容易く言えることではない。しかしまーちゃんの所持金ではそれが可能だった。たとえ24人でも。

「じゃあこの地区に立てます。えーと、目的言ってなかったか。私はまーちゃん。【DEX】の値がすごいのが売りかな。で、目的は、()()()()()()だよ」

 先程まで賑やかだった【チームチャット】が静まり返った。それからまーちゃんは続けて言った。

「みんなが仲のいい街にしたいから、喧嘩とかなしね。あと、なんで農家を募集したかというと、これ!【スライム商店】を使ってみんなとやり取りしたいから。相場は普通の市場より安いくらいにしたいな。そうしたら初心者だって買えるしね。なんかあったらみんなで相談しよう。ということで、何か質問は?」

 静寂の中、一人の男が言いにくそうに言葉を放った。

「すいません、私はTATSU(たつ)といいます。質問とかじゃなくて、あの、【DEX】低くてもいいんですか?」

「もちろん、というか、これは農家のみんなを助けるためにやってることだから!あと、そんなに話しにくそうにしなくてもいいよ。みんな仲間、家族みたいなものだから」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃ、もういいかな。じゃ、みんなおやすみ〜」

 このように新たな歴史の1ページ目が終わった。

 この後、猛者たちが集まり宴を開いていたことをまーちゃんは知らなかった。




「あれ?また早かった」

 何故か真琴はいつも早めに来てしまう。そして運悪く、苦手な茉莉と二人だけとなった。

「あ、橘さん。おーい」

「あ、おはよ」

 次に茉莉が言った一言に真琴はびっくりした。

「あの、まーちゃんってあなた?」

「え、なんでそれを」

 ゲーム内で本名を言っていないのにと疑問に思い、聞いてみると、

「私がはじめに仲間になった少女だからかな」

 声のかけ方、チャット内での雰囲気、それを考えてわかったのだという。

「というか、すごい金持ちなんだね。家奢るとか」

「【DEX】が8000超えたらそうなるよ」

 軽々とこんなことを言うが、もちろん普通ではない。

「え、人間で?マジで?」

「もちろん!よかったら見る?」

「いや、大丈夫…」

 色々と個性的な人と関わってしまったと茉莉は思った。そしてこの二人の会話を途切らせるものはなかった。ちなみに爽鈴は風邪で休んでいるという。




「【スライム商店】は各家に一つずつ、クワは言ってくれたらすぐ買います」

 本格的に()のスタートである。

「まーちゃんさん、この街の名前は?」

「まーちゃんでいいよ。チーム名もこの町の名前も【農家の翁】だよ。「翁」っていうのは気に入っている言葉だからつけてるだけ」

「あざっす」

 この中にはレベル100の猛者や【AGI】がめっちゃ高い人などひとりひとり違った人がいる。

 街誕生から何週間か経ったとき、こんな話があがった。

「どっかのダンジョン【開放】しません?」

「私はいいけど…」

 まーちゃんは自分が行くと楽勝になるだろうと思い、今回は見るだけとした。

「こんなスキルもあるしね」

_____________________________________

地形ノ回復雨(フィールド・ヒール)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【INT】の回復魔法と同じだけ一定時間継続的に回復する。範囲魔法。範囲、効果時間は【DEX】依存。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

自身のペットがモンスターの魔法を利用し、回復する。

_____________________________________

 いつものことだが、チートである。これを使うだけで死ななくなるのだから。

「よし、行くぞー!」

「「「オー!」」」




 結果は言わなくてもわかるだろう。今回倒した(犠牲となった)のはモグラだった。時間こそかかったが、【農家の翁】にとっていい経験となったことだろう。レベルが上がったという意味でも、【チーム】としてボスを倒せたという意味でも。

「よし、みんなお疲れ!どうだった?強かったでしょ」

 皆の顔を見ると、頷いているものはいない。なぜなら死なないのだから。しかしその顔は達成感でいっぱいのように見えた。その後、解散となりまーちゃんはログアウトした。




「あー、やりすぎた。わっ、39度。こりゃ当分このままだな…」

 そういうのは現時点最高レベルプレイヤー…の中の人。そう、爽鈴である。この人はレベル上げに夢中になりその結果、睡眠不足、栄養不足、吐き気、高熱、食欲がなくなるなど、かなりの具合の悪さに目を回していた。一応反省はしているらしい。

 1週間の総プレイ時間51時間。そのレベルは…

 前代未聞の()()()に到達しようとしていた。

読んでいただき、ありがとうございます。

今回、会話多めです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 地形ノ回復雨の説明文で使用した時だけ回復するのか、一定時間回復するのか書いて無いですがどちらでしょうか?
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