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これ、うちの畑で取れたスライムです  作者: 林檎酢
バージョン2【歴史の暴走】
6/98

アップデートの先は…

 まーちゃんの【DEX】が8000を超えた1ヶ月後、

「うぁー、アップデートで今日はできないのかー」

 そう言うのは中学1年生の(たちばな)真琴(まこと)である。最初は友人である三菱爽鈴(みつびしそうりん)に流されいやいや始めたが、今では毎日やるほどハマっている。

 今回のアップデート【バージョン2.0.0】の目玉は、プレイヤー同士で作る【チーム】の実装だろう。この情報を爽鈴に聞かされた真琴は何故か悪いことを考えている目をしていた。

「でも明日、この【VARIOUS STORIES ONLINE】に新たな歴史を残すこととなる…フッフッフ…」

 このために真琴はゲーム内で金貨25000枚以上を集めていた。これは全て農作物を売って集めた額だが、意外とあっさり手に入れることができた。ちなみに、農業をしても経験値が入るため、レベルもかなり上がった。もっとも、異常な【DEX】のおかげだが。




「よーし!歴史作るぞー!」

 と、その前に、まーちゃんは気になることがあった。

「そういえばうちのペットちゃんってどうなったんだっけ」

 まーちゃんの持ち物(インベントリ)には大量の【種スライム】がいる。正確にはそれぞれがペット用の【飼育ケース】に入っているわけだが、そうしている間にも経験値が貯まる。そんなスライムたちのレベルは…

「レベル37!?しかもそれが214匹って」

 スライムは比較的弱い部類であるから、経験値は溜まりやすい。それがこの結果を生み出した。そしてまーちゃんは、その強さを確かめてみたくなった。

 来たのはまーちゃんが最初に【開放】したダンジョンの最奥部。基本的にこのあたりのモンスターはレベル40推奨のため、スライムたちには厳しいかもしれない。

 しかし数が違いすぎた。まーちゃんは自分の手を使うことなく、そのあたりを静寂にした。

「よしっ、スキル確認!」

 先程の事件の途中、まーちゃんはいくつかのスキルを手に入れた。

_____________________________________

地形ノ腕(フィールド・アーム)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【STR】の腕を作る。【VIT】は0。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

自身のペットだけでモンスターを10体討伐する。


地形ノ盾(フィールド・シールド)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【VIT】の盾を作る。盾は使用者の全方位に現れ透明。使用者は攻撃可。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

自身のペットが戦闘中、味方をかばう。


地形ノ魔法(フィールド・マジック)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【INT】の魔法を使用。属性は地形依存。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

自身のペットがモンスターの魔法を利用し、モンスターを倒す。


地形ノ的(フィールド・マーク)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【AGI】の的を作る。その的は壊れるまで戦闘中のモンスターのヘイトを集める。【VIT】は0。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

自身のペットがモンスター10匹以上からヘイトを集める。


地形ノ魔人(フィールド・ゴーレム)

使用者の【DEX】を100減少させた後、使用者のもとの【DEX】の値の【STR】【VIT】【AGI】【INT】の魔人を召喚。HPは使用者のレベル依存。属性は地形依存。【DEX】回復まで5分。

『獲得条件』

地形ノ腕(フィールド・アーム)】【地形ノ盾(フィールド・シールド)】【地形ノ魔法(フィールド・マジック)】【地形ノ的(フィールド・マーク)】を獲得する。

_____________________________________

「わ、わー。またすごいスキルだ」

 実際、【STR】も【VIT】も【AGI】も【INT】も8000超えというのは冗談もいいところである。

「って、私のスライムちゃん、やられちゃったの?うっそー」

 一度全て戻してみると169匹まで減っていた。つまり45匹もやられてしまったということだ。

「いいもん、いいもん!また育てるだけだし」

 まーちゃんは逃げるという意味でログアウトした。




 

 その頃、こちらでは伝説が生まれようとしていた。

「レベル150!まだまだ!」

 本当にこのゲーマーを本気にさせたら怖い。

「さばじろう、レベル200までここにこもると決めたんだ!」

 この目標は後に達成された。



 

「いやー、疲れるー」

 翌朝、真琴は少し早めに登校した。そんな真琴の耳に、

「私昨日から【VARIOUS STORIES ONLINE】っていうゲーム始めたんだー」

 という声が届いた。

「ん?あれは長谷川さん?ゲームするイメージなんてなかったなー。どうせまた…」

 彼女の名前は長谷川茉莉(はせがわまつり)。勉強では学年トップ、県のテストで5位以内を取ったこともある。スポーツは実はそうでもなく、むしろできないほうだ。そして何より真琴が気にくわないのが、

「茉莉、おはよー」

「茉莉ー、勉強教えてー」

「茉莉宿題写させて」

()()()()()()()()というところだ。身長が低く、運動ができず、勉強は全体で真ん中ぐらい。そんな真琴は自分より男子と仲良くしている茉莉がどーしても気に入らないのだ。

 ココだけの話、真琴も意外にモテているらしい。そのことを知らないから、茉莉は嫌われてしまっている。




「よしっ、気分転換にゲームの中にダーイブ!」

 目の前に浮かぶのはピラミッドの壁のような感じの壁画。それと同時にこんな声も聞こえてくる。

『この世界は創造神【アップルヴィネガー】様が作られた。

 その数万年後、1柱の神【ロープス】様が【剣士】【魔法使い】【守り人】とうい概念を作られた。

 そのまた数万年後、別の1柱の神【ポウサム】様が【忍者】【採掘師】という概念を作られた。

 そしてまた数万年後、下界に新たに姿を現した神【ホリルー】様が【薬剤師】【罠師】という概念を作られた。

 そこから数万年が過ぎ、創造神の右腕【ノマーラ】様が【一般人】という概念を作られた。

 それから時は経ち、新たに生まれた神【ハーパラント】様が【曲芸師】【農家】という概念を作られた。

 今も別の神が我々とは違う時の流れの中、新たなる概念を作り出そうとされている』

 それはこの前のアップデートで追加されたもので、職業の歴史がとても簡単に語られている。

「この感じ、好きだわ〜」

 そんなことを考えつつ、まーちゃんはついに()()プロジェクトを始動させようとしていた。

「【プロジェクト:タウン】の開始だぁ〜!」

 こうしてこの子はまた歴史を作る。

読んでいただき、ありがとうございます。

多分これからのお話はこのくらいの長さになります。

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