金貨1000枚の先は…
今回長めです。
あれから数日後、まーちゃんの所持金はついに金貨1000枚を超えた。
「よーし、これで家が買える」
家を立てるためには土地がいる。土地は、結構な広さのある地区毎に10個~25個ある。地区の種類はたくさんあるが、どこも出口は同じである。
まーちゃんがほしい家の土地が金貨500枚、家本体が金貨500枚のため、家を手に入れることができるようになったのだ。
「ここで手続きをして…」
手続きが終わり、ついにまーちゃんの家ができた。土地の3分の2が畑であり、あとの家のスペースも十分にあるため、困ることはなさそうだ。
「これからが私のスタートになるのかな?」
守り神をレベル1で倒したこと以外はそのとおりである。守り神をレベル1で倒したこと以外は。
それからというもの、まーちゃんは自由に農業をしていた。それを売ってお金にしてということを繰り返し、懐も温まってきたので買い物をすることにした。
「何を買おうかな♪」
すっかり上機嫌になったまーちゃんは、心を踊らせながら商店街を歩いていた。すると、とある店の中で面白い道具を見つけた。
「【粘着王との絆】?何だコレ」
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【粘着王との絆】
スライムを1体仲間にできる。捕獲難易度は使用者の【DEX】を10で割った値。
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「私の【DEX】は1000以上あるから…え、100%超え?わぁーお」
早速それをすべて買った。
「…金貨1枚が300個で…金貨300枚ですね…」
「はいっ!どうぞっ!」
ジャラララララ…
「えー、【粘着王との絆】は売り切れました…ありがとうございました…」
こうしてこの店に1つの歴史が生まれた。
歴史が生まれた直後、まーちゃんは何でもいいから1匹だけスライムを捕まえようとしていた。
「どこかなー?あ、いた!」
まーちゃんは【AGI】50で全力疾走する。そして…
「スライムゲットぉぉぉぉぉ!」
名前を【農家の弟子】として家に帰った。
家に帰ってから、事件は起きた。なんと突然、【農家の弟子】が畑にはいったのである。スライムが小さいため、まーちゃんは見逃してしまった。そして【農家の弟子】のことを忘れ、農業をすることにした。
「あ、【黄金のじょうろ】使えば【農家の弟子】も大きくなって見つかるんじゃない?」
そう言って範囲を最大にし使った直後、
「え?」
大きなキャベツができた。他の農作物は収穫しているし、キャベツを植えた覚えもない。つまりこれが【農家の弟子】なのである。
ビクッ。
「うわっ、生きてる」
まーちゃんは一応収穫した。
「【野菜スライム】?になったのかぁ」
これはバグではなく、一応プログラミングはされていた。しかし【DEX】2000超えなど出てきたこともないため、実質これが初めて【野菜スライム】が誕生した瞬間だった。
「あ、これ開く」
どっさぁ…
その中から、また未発見の【種スライム】が出てきた。
「こんなに多く…あ、ゲットすれば良くない?」
数時間後、無事全ての【種スライム】をゲットした。
「うあー、もう疲れたぁー」
その中には【種スライム:裏】というものもいて、色違いだった。そんなこと気にしないまーちゃんは、一旦ログアウトした。
翌日、まーちゃんはその【種スライム:裏】を食べてみることにした。スライムと言っても農作物なので、食べることは可能だ。そもそも【裏】が何かというと、普通の農作物が【強化】されたときにまれに出るもので、食べると何か特別な効果が現れるというものだ。さらに、3つまで重ねがけすることができる。そのため、市場で高く売れる。しかしそれはまーちゃんにとってはただの野菜であるため、何のためらいもなく食べた。
その直後、
「【種スライム:裏」を使用しました。自身の一番大きな能力値を30分間の間2倍にします。
称号【裏世界の作物】を獲得しました
スキル【表裏一体】を獲得しました」
という声が届いた。
「またこの声か、で、スキルはっと…」
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【表裏一体】
スキル使用後10分間、自身の1番低い能力値を1番高い能力値と同じにする。1番低い能力値が複数の場合、使用直前に選択。60分後再使用可。
『獲得条件』
自身の栽培した【裏作物】を使用する。
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「今私の【DEX】は、わっ、3018だ」
つまり指定した能力がこの値になるということだ。
「つまり…最強?」
現段階、プレイヤーの中で最大の【STR】は1096,【VIT】は2024なので、まーちゃんの言うとおり、ほぼ最強であった。更に今使うと【種スライム:裏】の効果の加わり6036になる。
「うーん、よくわかんないけどまぁピンチのときに使えってことだね」
まーちゃんは考えるのをやめ、一旦農作業をやめることにした。
その後まーちゃんはずっと歩いていた。次の大きな街へ向けて。
「いやぁ、みんな早いな…」
周りの人は自分の2倍以上のスピードで過ぎてゆく。
数十分後、やっと街についた。だからといって何かするというわけでもなく、そのまま街を素通りして、ある場所へと向かった。
「あそこまではこのスピードで行くと60分はかかるかな?どうせログアウトするし【表裏一体】!【AGI】を3018に!」
まーちゃんは滑るように草原を駆け抜けた。しかしそんなスピードでも大きな神輿には気がつく。
「何だ?」
それは近づくと逃げる。
「モンスターか、倒そっと」
そのモンスターはたしかに速かった。しかし【AGI】3000超えのまーちゃんに勝てるわけもなく。
「討伐成功!」
『【担ぎ手】を倒しました。
スキル【神輿】を獲得しました』
「これは…?」
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【神輿】
使用時、使用者の【AGI】を0にし、神輿を召喚する。【AGI】は300。その他の能力値は0。
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「移動めっちゃ楽になるじゃん!早速【神輿】!」
そう言うと高さ2メートルほどの箱とさっき倒したモンスターが4体出てきた。
「これに乗るのか。よし、しゅっぱーつ!」
それは思ったより速く、すぐに目的地についた。その目的地は…
森の館。このフィールドのダンジョンである。
「久しぶりだなー、ここに来るのも。あ、【神輿】解除っと」
まーちゃんは迷わず最初のダンジョンと同じような細い道を通った。その後次々と宝箱を開けては装備に喰わせていった。ボス部屋の手前、まーちゃんは衝撃の事実を目の当たりにした。
「【表裏一体】再使用できないじゃん」
このままではまた【黄金のじょうろ】を使ってハメ殺ししてしまう。それはものすごく時間がかかるため、【表裏一体】が再使用できるようになるまで待つことにした。
10分ほど経ったのだろうか。ついに【表裏一体】が再使用できるようになったのだ。
「良っと、【種スライム:裏】3つ使用して、【表裏一体】!【STR】を25744に!」
この値、いくら守り神でも耐えられないほどである。すなわち、
「麒麟さん、さよーなら」
しかし宝箱は出てこない。その変わり、鳳凰が出てきた。それは高度を下げ、こちらに突進してきた。しかしまーちゃんが軽く投げたクワの前では無力だった。続いて亀、龍も出てきたが、最強【STR】の前に儚く散っていった。そうするとついに宝箱が出てきた。その前に、
『守り神たちを倒しました。よってこのダンジョンは【開放】されました。
称号【快挙】を獲得しました。
レベルが34になりました。
SPを18P獲得しました。
スキル【麟鳳亀龍】を獲得しました
スキル【天佑神助】を獲得しました』
「めっちゃかっこいいじゃん。そして宝箱は…」
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【麟鳳亀龍の指輪】
自身のHP,MPをそれぞれ初期値にし、最大の能力値を+500する。
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「500って、ほんとに合ってる?私にとっては1000なんだけど」
ラッキーと思い、次はスキルを確認した。
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【麟鳳亀龍】
麒麟、鳳凰、亀、龍を召喚する。それぞれの強さは使用者のレベル依存。
【天佑神助】
プレイヤーのHPが20以下の場合、それぞれの能力値を2倍にする。常時発動。
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「わー、また強くなっちゃう』
こうして【DEX】がついに8000をこえたのであった。そのことをだいたい理解したまーちゃんはログアウトした。
その一方、
「ふう…レベル60まで来たか。でもまだまだ!」
自分が倒そうと思っていた守り神をあのように倒されてしまうとライバル心が湧くものだ。さばじろうはこの3連休でレベルを100まで上げることとなった。
読んでいただき、ありがとうございます。
このシリーズもついに5回目を迎えました。皆さんのブックマーク登録や評価のおかげで、今回はこのような少し長めのものを作ることができました。
さて、このお話ではまたまーちゃんが暴走していましたが、みなさんはこのスピード感、どう思いますか?ほのぼのした話にしては早すぎる、もっと早くしたほうがいい、などの意見は随時募集していますので、ぜひコメントしてください。
あと、1話の長さもどのくらいにしたほうがいいかも教えていただけるとありがたいです。
ちなみにこの小説はPCで作成しているので、線の長さがスマホの方などは違和感を感じるかもしれませんが、ご愛嬌ということで(笑)。
最後に、この本を読んでいただき、ありがとうございました。
ブックマーク登録、評価をしていただいた方々には大いなる感謝を!
では次回、【アップデートの先は…】 お楽しみに!