最強【DEX】の道は…
翌朝登校した真琴は寝不足であった。なぜなら昨日は真夜中までゲームをしていたからである。そんな真琴の耳に目の覚めるような声が届いた。真琴の財布を空にした張本人。三菱爽鈴である。
「おっはよーう、真琴!ゲームどうだった?職業は?レベルは?」
「そんなに急ぐなって、職業は農家でレベルは25だよ。なんか【守り神】?みたいなのを倒したって聞こえたけど」
「え、マジ?昨日のあれって真琴だったの?まさか購入初日に【開放】するとは」
真琴が異常なペースでゲームを進めていることに驚いた爽鈴であったが、その実力を見てみたいというのもあって、今日帰ってから一緒にゲームすることとなった。
その後真琴は寝たり寝なかったりしながら授業を受けた。
「えーっと、広場の噴水に5時ってここで合ってるよね?」
「おーい、まーちゃん!」
「あ!爽り…じゃなくてさばじろう?だったかな」
このゲームは一応オンラインであるため、実名を呼ぶのは良くない。そのため爽鈴はこのような名前にしたのだという。
「よし、今日は金策だね。私はこれでもレベル40の先輩だからちょっと強いところでも大丈夫だよ」
…移動していてさばじろうは違和感を覚えた。
遅い。まーちゃんがかなり遅い。
「ねえまーちゃん?」
「ん?」
「【AGI】いくつ?」
「確か50?だったと思う」
「えっ?レベル25で?農家だとしてもおかしくない?」
さばじろうの職業は【曲芸師】で【AGI】に特化しているが、そしてまーちゃんが農家で【AGI】の基礎値が0というのもあるが、
何がなんでも遅すぎる。普通【開放】したプレイヤーなら報酬などもふまえて100はいっているはずだが、50は低すぎる。しかしそのことに関してはもう言及しなかった。
「よーし、狩るか」
このあたりはレベル30付近のモンスターが集まる森の中。まーちゃんはさばじろうの作った小屋の中、一人で農業をしていた。この小屋はさばじろうのスキル【建設】で作られたもので、なかなかに広く、畑まで用意されていた。この畑が広いと言っても、【農業効率増加MAX】フル装備のまーちゃんにとっては小さすぎた。そのため、あとの時間はひたすら装備に装備を喰わせていた。
その結果、装備の【DEX】を全て足した値はなんと、1000になっていた。そして追加効果で【農作物強化確率増加MAX】【植物モンスター友好化MAX】【植物同化化MAX】などがついた。そういったわけで、植物モンスターを仲間にできるようになった。
金策の結果、2時間ほどで金貨50枚ほどとなった。その分、まーちゃんはできた【強化野菜】をさばじろうに寄付した。実はこの野菜の相場はこの量だと金貨150枚以上のため、さばじろうに損はなかった。
「じゃあまた明日」
「じゃあね」
そう言って今夜は寝た。
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