何も知らずダンジョンへ…
まーちゃんがこの世界で始めてみたのは、NPCとは思えないほど普通に話す人々、食料を購入するプレイヤーなど、現実と言われても違和感のない風景だった。噴水の周りに集まる人々は、真琴の近所の公園の光景に似ていた。そんなことを考えつつ、真琴は自分のステータスを確認しようとしていた。
「ステータス確認!」
その声とともに、半透明の白いパネルが出てきた。
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まーちゃん Lv.1
【HP】12/12
【MP】5/5
【STR】0【装備+5】
【VIT】0【装備+15】
【AGI】0
【DEX】50【SP+100】
【INT】0
【装備】
頭【初めての麦わら帽子】
体【初めての農家の服上】【VIT+10】
ズボン【初めての農家の服下】【VIT+5】
手袋【初めての農業用手袋】
靴【初めての農家の長靴】
右手【初めてのクワ】【STR+5】
左手【初めてのクワ】
アクセサリー【ナシ】
【ナシ】
【ナシ】
【ナシ】
【ナシ】
【スキル】【ナシ】
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「えっ、私のステータス弱っ」
誰がどう見ても悲惨なことになっている。装備のおかげで【STR】と【VIT】は少しはあるものの、農家という職業のため、基礎値が0である。最弱とされているスライムでさえHPが20のため、スライムより弱いとも言えるのだ。どんなにこのゲームのことを知らない真琴でさえ、このステータスが悪いというのはわかった。しかし真琴は気持ちを切り替え、レベル上げをすることにした。
真琴は目的地へ走る。しかし、【AGI】が0の真琴は周りと比べて比べ物にならないくらい遅い。そんなスピードでも気にせず突き進む。
そう言って真琴が来たのは…
「やっぱレベル上げといったら、ダンジョンだね」
自分のステータスがスライム以下だということも知らない真琴は、流石に初期ダンジョンなら大丈夫だと思っていた。道中のモンスターは、自分の前を走るプレイヤーによって秒殺されていたから、ダンジョンでの戦闘が、実質最初の戦闘になるというわけだ。
目の前の集団がサクサクモンスターを倒すため、まーちゃんはルートを変え、細い道を行くことにした。不幸なことに、この道は上級者プレイヤー向けのボスがいる部屋へと続く道だった。
「あれー、モンスターいないな」
ボスの部屋へと続く道は、モンスターがおらず、宝箱がいくつか置かれているというのがこのゲームの仕様だった。もちろんまーちゃんはそのことを知らないため、宝箱の数々に困惑しつつ、喜んでいた。宝箱には強力な装備が入っているがレベル制限があるため、まーちゃんの装備できるようなものはなかった。
「わー、大きな扉だ」
ついにまーちゃんはボスの部屋に来てしまった。ボスの存在を知らないまーちゃんは、また宝箱があるものと思い扉を開くとそこにいたのは…
「り、龍?」
このダンジョンの守り神だった。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回からは5回ごとに書きます。
 




