女or男
ホテルを前に村田は色々チェックした。
何処に何があるか、特に出入り口が何箇所あり、それが何処に繋がっているのか。
ホテルに入るとやはり人が多く感じられた。
待ち合わせのティーラウンジはすぐに確認できた。
村田はあえてロビーカウンターでさっき確認したホテル内にある鉄板焼きの店の場所を聞いた。
ここに居る事を怪しまれない為に考えた事だった。
村田は携帯を取り出し、かけるふりをしようとした時に電話が鳴った。
「もしもし」
「JD、もうホテルに着いてる?」
「今、ロビーにいます」
「私もラウンジにいるけど、事態が変わったわ。どうやら着けられてみたい?」
村田は生唾を飲んだ。やはり危険があると感じた。
「私の事が確認出来る?」
ラウンジに視線を向けた。
オープンになったティーラウンジの入口付近に写真で見た検崎春香が濃紺のスーツでいた。
「確認しました。入口から二つ目のテーブルですね。」
「そお、あなたは?」
「ロビーカウンターの前です。ジーンズに黒ぽいジャケットです。」
「私も確認できたわ、以外に男前ね」
今の状況では礼を言う気にもなれなかった。
「私の斜め向かいのテーブルに男が二人居るのがわかる。黒のストライプのスーツと濃紺のスーツ」
村田はチラ見して確認した。ストライプは細身の男前、濃紺は四角い顔の柔道体型
「その二人に間違いないんですか?」
「間違いはないと思うわ」
検崎春香は地下の駐車場に向かうからそのエレベーターで渡す用に言った。
村田は了解し、一旦手洗水に足を向けた。