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異世界もの習作

俺はアルフレッド、前世では魔神戦争で剣神ギルバートと呼ばれ最後まで活躍していた。

昔取った杵柄を活かして今世でも6歳にして熊殺しと呼ばれ、14歳にして首都でギルドランクの特別審査を受けるまでになったのだった。なったのだが…


「彼がギルドの高位戦闘ランク査定官のボッシュさんです」

「えっ、えっ?」

「ちょっと奇抜な格好ですか?まあギルミル族の方ですからね」

「いや、そうじゃなくて、魔族、しかも…」

1000年前に戦った四魔将ラズバーンにそっくりだというのだ。

「魔族…ですか?その差別用語は400年前に法律で廃止が決定されましたよ」

「こんにちはー」

ほがらかに四魔将のラズバーンそっくりの奴が挨拶してきた。

「え、こんにちは…」

「どうした?ギルドの紹介によれば明朗闊達、将来有望の少年らしいのに…元気がないな?相談なら乗るぞ?」

お前が相談のもとなのだった。

「えっと…ラズバーン…」

「ん?私の家名がどうしたのかね?」

「いや、なんでもないです…」

「…そうか…!…なるほど」

そういってラズバーンは鞄から紙とペンを取り出し、何かを書き込み、手渡してきた。

「じゃーん!」

サインだった。

「そんなにしどろもどろな君を見て、私の灰色の脳細胞は一つの結論にたどり着いた…つまり、君は私のファンだね?」

「ファンじゃねーよ!!!」

「お、元気が出てきたようで嬉しい、まあせっかく書いたから受け取ってくれ」

「あ、はい」

受け取ってしまったのだった。

「さて、と。それでは戦闘ランクの査定の準備に入るとしよう、ビシバシ行くから覚悟したまえ!」

「やるぞ…」

今はこの行き場のない疑問の感情を目の前の相手にぶつけたかった。




「すごいものを見てしまった…」

観戦したギルドの受付嬢とギルマスが感嘆している。

「ハハッ、文句なしのSランクだ!」

こいつはボコボコにしたのにテンションが高い。

俺の方はというと。

「死ぬかと思った…」

なんだよ模擬戦じゃなかったのかよ、ボコる度に力を解放しやがって、途中までは「これがAランク基準の力だ!」とか言ってたけど後半は「楽しい」とか「もえてきたー!」とか言ってたぞ、絶対本気で闘いたかっただけだろ…当時の魔王より強かったぞ…

一番驚いたのは本気の戦いでも傷一つないランク審査ルームだが。よく見なくてもオリハルコンで出来てるわ、頭おかしい。

俺が物思いにくれていると突然ラズバーンの声がした。

「やあ、互いの健闘を称えて今日の晩御飯一緒にどうだい?」

「まあ…いいですが…」

「よし、場所はこの地図の…ここだ!」

この町、いやこの国に住む誰もがよく知る最高級料理店だったが疲れた俺は特に何も思わなかった。




料理店に入ってすぐのこと、俺はラズバーンの第一声に衝撃を受けた。

「単刀直入に言う、君は1000年前の戦争の剣神ギルバートの転生者だね?」

どうしよう、バレた。

「えっ、いや…俺は…その…そう、明朗闊達、将来有望な若手冒険s」

「いや、太刀筋でバレバレだから、まれにあることだから。驚きはするけどそれだけだから」

「アッハイ」

「認めるの早いな…まあ楽だけど。1000年前といろいろ情勢が変わってるだろ?質問じゃんじゃんしていいよー」

質問…といってもわからない事だらけだが…

「どうして人間社会に溶け込んでいるんだ?」

「どうしてか…それはいつの日か人間どもに復讐を…怖っ、冗談だから!冗談!」

「ほんとのところは…戦争最後のあの魔神と女神様の戦いさ」

なぜ魔神側のこいつが女神様を様付けしているのだ…

「あのとき、私たち魔神軍の残党は遠くからその戦いを見ていた、そう、」

ラズバーンは顔を紅潮させ、次の言葉を放つ。

「ステゴロで魔神をボコボコにする女神様と、それに対し情けなくギブアップを連呼する魔神だ」

「えっ、ちょっと待って、女神様はなんか神々しい光を放って魔神を封印したはずなんですけど、そんなの見てないんですけど」

「それは女神様77の奥義の一つ、女神フラッシュだ、女神フラッシュは近距離の著しく格下の相手の時を止める」

なにそれこわい。確かに勇者だけ魔神を封印した女神様相手にものすごくびびってたけど。

「知っての通り魔族は力こそ全て、あのとき我らは真に信ずるべき相手を知ったのだ…」

もはやわけが分からない、料理がおいしい事だけはわかる。

「ライスうめえ。で、どうして人間社会に?」

「それは人間が女神様信仰の先駆者であり女神様の庇護者だからだ、先達は敬わなければなるまい?」

「お、おう…」

「確かに人間との融和には長い時間がかかったが、当時の教会に必死で入信を頼んだらお前達のパーティーの教皇が秘密裏に助けてくれた、信仰に貴賎はないとな」

「お人よしだとは思ってたが限度があると信じてたんだ」

「まあそんなこんなで我らギルミル族はいまや世界七王家のうちの四つに血が入ってるぐらい立派に融和したのだ、もちろん教皇もギルミル族だ。10年に一度、最も強いギルミル族が女神様と戦う権利を得る、人間が教皇だった頃は戦いなどなかったらしいが…これも我らの信仰の賜物だろうな、毎回ものすごい気迫らしい、魔神封印の真実を教典に書き加えたら更に気迫が増したとか」

もはや言葉も出なかった。とりあえず女神様には心の中で土下座した、もっと俺たちが強ければこんな事態には…あ、でもその場合俺たちがこの目に…

「女神様サイコー!」

「お、わかっているな、そう、女神様は最高なのだ、わはははは!」

こうして夜は更けていった…

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