【第2話】しゃべれねぇ!?いや当たり前か!
ウマレタヨー
転生の術を受け、意識を飛ばした俺が次に意識を戻すと、目が見えなかった。
一体どういう状況かと聞くために声を出そうとすると…
「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」
口から出たのは赤ん坊の泣き声。
赤ん坊の泣き声!?何で俺の口から!?と焦り、声を出すとまた「おぎゃあ!おぎゃあ!」と赤ん坊の泣き声しか出てこない。
気が動転しながらも理由を考えていると、そういえば自分が異世界に転生した事に気付いた。
(そうか!転生したから俺赤ちゃんだわ!くっそ…1年くらい何も出来ねぇーじゃねぇか…)
転生だから仕方ないとはいえ、暫く何も出来ない自分を呪いながら遠くの方で「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」と言うお祝いの言葉を聞いていた_
_時は経ち
俺は五歳となり、神から慈悲で貰えたそこそこ強い魔力のお陰で寮付き魔法学校に入れることとなった。
「カイト、大丈夫なの?貴方はまだ五歳よ?本当に魔法学校に行くの?」
この人は俺の母親。俺が生まれた家は城の城下町で花屋を営んでいる。父は俺が生まれる前に死んでしまったらしい。母はとっても優しいけど、かなりの心配性。
「大丈夫だよ母さん。この世界じゃ五歳で魔法学校なんて普通だろ?」
「それはそうだけど…」
まぁ心配になるのは分かる、母は魔法が使えない。この世界では魔法を使える者はそう多くないのだ、生まれつき魔力を持っている者しか使えない。
当然魔法が使えない母は魔法学校なんて入ったことないから俺の事が心配なのだろう。
しかし…
俺は早く魔法を習得して旅に出たいのだ!!
魔法学校で旅の仲間(出来れば可愛い女子)を作って、旅に出て、魔物を倒して、報酬たんまり貰って異世界で良い暮らしがしたい!!
チート能力が無理ならハーレムが作りたい!
って、これ五歳児の発想じゃないな…
「……ト?カイト?」
「はっ!何、母さん!」
「意識がどっか行ってたわよ?」
危ない危ない…意識飛んでた…
まぁ…後はすることないし…とりあえず魔法学校にいくか!
「それじゃ、母さん。行ってくるよ!」
「え、えぇ…頑張ってきてね?辛かったら何時でも連絡してね?」
こうして母さんに別れを告げ、俺は魔法学校に向かった…
あ、そうそう。
俺の異世界での名前を言ってなかったや。
俺の名前は_
『カイト・ヴァレンシア』
なかなか良い名前だろ?
それじゃ、次からは魔法学校だ!