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女王様のネーミングセンスは破壊的

 とは言っても、全部あたしが作るのは無理があるわけで。

 仕立て屋をごっそり呼び、分担して作らせることにした。

 デザイン提供はあたし、実際作るのは各店。これなら一気に大量生産できる。

 黒を使うのはやめ、せいぜい紺にした。なるべく暖色系を使い、視覚的に明るさを出す。

 男性の服はもちろんこだわった……というか、着せたいデザインをこれでもかと描きまくった。

「この職はあのアニメのあのキャラのでー、こっちはあれのマンガのあのシーンのでー。うふふふふ」

 深夜にまにま笑いながら描いてたあたしは不審者っぽかったかもしんない。

 少なくとも夜中、城から不気味で陽気な女の笑い声が聞こえてくるって新しい七不思議になってた。

 いいじゃん。だってここ、ゲームの世界だもん。村人Aに至るまでイケメンor美少女ですよ。

 彼らに好きな服着せて楽しむっていう夢が合法的に叶うじゃないかー!

 うはははは。

 違法じゃない。違法じゃないよ? 犯罪じゃないよ?

 女性の服は侍女たちとものすごく盛り上がりながら作った。

 女性は自分の着るものにはこだわるからね、実際着る人たちの意見も求めたわけ。

「ここ、フリル追加したらかわいくない?」

「そうですねっ。こっちはピンクに変えたらどうでしょう?」

「ここは刺繍入れたり……」

「ナイスアイデア!」

 きゃいきゃい。

 幼少時、さんざん嫌がらせされまくってた頃が嘘のようだ。ま、あの当時やらかした人はみんないつの間にかいなくなってたけど。どうやらルシファーと兄たちが暗躍したっぽいなぁ。

 殺すなとは言っといたよ。

「ハートのワッペンつけよっか」

「いいですね! リボンもどうです?」

 完成した女物はどれも好評だった。男性陣にもね。

 というか、男のほうが喜んでた気がする。「ありがとうございます、女王様、どこまでもついてきます!」って集団で拝まれた。

 うーん、そこまで喜ばれるとは思わんかった。

 反応がまるで好みのコスプレイヤー見た時みたいだな。あ、こらそこ、写真撮影は禁止。ちゃんと許可とんなさい。

 ま、みんなどっかのアニメかマンガかゲームの衣装がベースなんで、コスプレですけどね?

 あたしたちが率先してカラフルなのを着るようにすると、一般庶民も元に戻りだした。

 服屋には色とりどりの服が並び、街も雰囲気が明るくなる。

 兄たちのおかげで物流も滞らなくなり、市場にはふんだんに食べ物が届くようになった。

 恐怖政治は過去のものとなり、少しずつ平和な国に戻っていく。

 あたしは同時に城の模様替えも命じた。

「こんないかにもラスボスがいますって城はダメ! それ以前に怪しいオカルトグッズとか拷問器具なんていらないし! そこらへんに死体がナチュラルに転がってるのとかもーヤダ!」

 これだけは譲れない。

「もっともですね」

「とはいうものの、いわくつきの物が多そうだぞ。ただ捨てるんじゃまずそうだな」

 ルキ兄さまが待ったをかける。

 確かに「手に入れると不幸になる」とか「持ってるだけで呪われる」とかが多い。あたしは『魔王の母』だし、兄弟や父も効かないけど。

 元々この国は『悪』の設定だから、国民はそのテのものに耐性がある。ただし限界はあり、昔うっかり触っちゃった使用人が発狂したって話も聞く。

 ルシファーは『魔王の父』だからかなりの耐性があるだろうけど、だからってほったらかしていいもんじゃないわ。

 とはいえ、きちんと適切な方法で処分しないと危険。

「つっても、オレらはそういう処理できないしなぁ」

 ナキア兄さま、その包丁は大量殺人犯の凶器らしいんで、台所に持ってかないで。

 どっちかというとうちは呪いのアイテムを作る側だ。そっちの才能のほうがある。真逆だ。

「国内にいるかな。調べてみようか」とレティ兄さま。

「ツテを頼ってプロに連絡してみようか」

 アガ兄さま、顔広そうだもんね。

 ルキ兄さまが手を振って、

「いや、プロを知ってることは知ってる。ただ、うちとはあまり友好的じゃなかったからな。隣の国だ」

「あ」

 隣の国―――つまり『ヒロイン』の生まれる国のことだ。

 ヒロインはまだ生まれてない。あたしの子供と同世代だからね。『ヒロインの父母』もまだ十代のはずだ。

 こっちが悪ならあっちは善。そういうのを浄化する能力を持ってる。

 逆立ちしても、あたしにはできない。

 『魔王の母』は絶賛回避中だけど、持って生まれた魔術の性質は変えられない。どうしても攻撃や呪いのほうが得意なんだ。

 だから父にあんな呪いをかけられた。

 そういや、まだ牢獄でしぶとく生きてるんだよねー。父にひどい目に遭わされた被害者の会は定期的に見に行ってるみたいだけど、「かーゆーいーっ!」ってお尻ボリボリかいてるのが一番ブザマでうけるそうな。

 それを笑ってみてるって神経も大丈夫かしらん。

 それはともかく。

「隣の国かー。父のことを堂々と批判してた国の筆頭よね」

 あたしが女王になり、さらに権力放棄してもまだ「嘘なんじゃないか」と信じてないと聞く。

「頼んでもやってくれるかなぁ」

 ネビロスが椅子の背もたれによりかかりながら言う。

「こういうのをほったらかしていいのかって誘導すればやってくれんじゃない?」

「……対価で何を要求されるかだな」

 ボソッとつぶやくルガ兄さま。

 うん、そこだね。

「あたしに対して何か要求してくるかな? でも最大の懸念である権力は放棄しちゃったし」

 政略結婚も不可能だ。もう既婚者だからね。

「といって、兄の俺たちを要職から外せと要求したら、内政干渉になる」

 ルキ兄さまがあごをなでる。

「まして一年後に選挙で入れ替えの可能性あるって公表してるしな。ま、オレはただの料理人なんで関係ねーけど」

「出来レースかもしれないって難癖つけられるか? けど誰か派遣して他国の選挙を監視するなんて、それも内政干渉だろ」

 アガ兄さまが不快そうに眉をしかめる。

 そこまでやったらやりすぎだね。他の国もそう考えるだろう。

 監視を名目に兵を送り込み、属国化するつもりだと解釈されてもおかしくない。となれば、諸国も黙ってないだろう。

「やりすぎだ」「ならうちも」とかって口出してきて、最悪うちの領土を取り合いか、分けちゃえってことになるな。

 下手した戦争になる。

「仮にも『正義』を名乗る国がそこまではしないと思うけど」

 あの国の人間は正義・秩序・正しいこと・ルールを重んじる。なにせ『善』の体現だから。内政干渉は「やってはいけないこと」にあたると思う。

「普通に代金を請求してくるんじゃないですか」

「それはいいんだけど、支払いのアテがない。財政難だもん」

 アホ親父のせいで国庫は減りまくってた。売っぱらえるものは売りとばしたけど足んない。

 じゃあ制服の代金はどうしたのかって話だけど、いくつかあたしがデザイン画を売った。

 早い話が著作権放棄。売れても配分を受け取らず、全て店に渡すってことでチャラにしてもらった。

 これはあたしのデザインが外の世界のものだからできた裏技だ。斬新、この世界にはないものってことで代金相当とみなされた。

 父のせいで国民みんなまっ黒けな服しか持ってない。そのうち買いなおすだろう。だからかなりの売り上げがあるはずだ。

 正直惜しい気がしないでもないけど、仕方ないね。それが一番手っ取り早かったから。

 それに、売ったのはそこまででもないデザインだもん。ほんとにいいやつはまだあたしの頭の中よ。

 はっはっは。

「ま、とりあえず処分してくれるか連絡とってみよっか。あいさつも兼ねて」


     ☆     ☆     ☆


 その日のうちに連絡が取れた。

 前から各国王室には有事の際のホットラインがある。

 テレビ電話みたいなやつで、動力が魔力なだけ。

 こんなに早く動くってことは、他国もうちの動向を注視してるってことだ。

 画面に映った向こうの国王は『ヒロインの祖父』だった。まだ祖父の代なのね。

 好々爺、いかにも人のいいおじいさんだ。ゲームには出てきてない。

 すでに正式文書で各国へは王制廃止と民主政治への移行を通知してある。だからこそ余計に何の話かと不審に思ってたらしく、アイテム処分と聞いて納得してた。

「ご存じの通り、うちには処理できる者がいません。そこで依頼したいのですが」

 向こうの王族はプロ中のプロだ。父が集めた物を全部処理できるだろう。

 これも武装解除アピールの一環だ。「危ないもん使って、他国に呪いかけたりしないですよ~、大丈夫ですよ~」って。

 案の定、歓迎された。

「よいご決断ですな。しかし、料金がかかりますよ」

「知ってます」

 隣の国では処理業者がいくつも存在する。一番レベル高いのは王族だが、いちいち王族が全部やってらんないからね。レベル低いのは民間業者が処理してる。

 ただしえげつない値段つけられないよう、料金体系は法律で決められてるんだ。なにしろ料金のかかり具合がよく分からないから、どう計算したらいいか明確にしないと。

 これにのっとってくるはず。

 でももし例外だとかいって法外な値段ふっかけてきたら……。

 さてどっちだ?

 後者のほうだった。

「げ」

 上限の十倍じゃないか。いくらなんでもひどすぎだなぁ。

 あたしは大げさに眉をつりあげてみせる。

「あら。お国の法律では処分するアイテムのランクごとに料金の上限が決められてるはずでは? 国王自らが破るなんて思いませんでした」

「ええ。でも、それはうちの法律。国外では適用されませんでしょう?」

 残念。こんなこともあろうかと、ルシファーに過去他国から依頼されたケースを調べといてもらったのよ。

「A国からの依頼ではきちんと料金体系にのっとっていたようですが?」

 いくつか挙げてやれば、王は泡くってた。

 ふん、小娘とあなどってふっかけるのが悪い。

 うちはお金ないんだよっ。

「そ、それは……友好関係にあった国ですから。割引料金というやつですよ」

「そうですか。では、このお話はなかったことに」

 あたしはあっさり引き下がった。通信終了しようとする。

 王は慌てて、

「ちょ、ちょっと待て! どうするつもりだね?!」

「使いはしませんよ。とりあえずどこかの倉庫にでも全部ブチこんどいて、鍵かけときゃいいんじゃないですかね」

 使わないと言っても向こうは信用しないだろうし、保有し続けることが一番危険だと気づいたらしい。

 だからちゃんと適正価格にしときゃよかったのに。欲を出すからだ。そうでなきゃ、こっちも素直に払ったのに。

 『正義』の国の王が欲深とはねぇ。

 ヒロインは『善』でも、祖父はそうじゃなかったか。

「あとは他の国にも頼んでみます。誰かできる人はいないかって」

 そんなこときかれれば、どこもなぜ隣の国に頼まないのかと不審がるはずだ。すぐ隣にプロがいるんだから、何でわざわざ他に頼むのかと。

 となりゃこっちとしては、「実は料金体系無視した高額請求されまして」って言わざるを得ない。

 あのバカ父のコレクションだから例外として多少大目に請求されるのは仕方ないとしても、十倍はやりすぎたね。

 諸国は不信感を抱くはずだ。正義を重んじ、法を順守するはずの公平で有名な国の王がそんなことしたって。

「つまり気に入らない相手なら約束を破ってくるんじゃないか?」

「これまでは無条件に信用してたけど、今後は見直したほうがいいかも……」

 下手したらそんなこと思われるかもね。

 それにしてもほんとにおかしいな。ヒロインの祖父だからそこまで善人じゃないっていっても、ここまで欲深って。度が過ぎてる。

 意図的に払えない値段つけた? なぜ?

 払えない、あまりにもひどいってあたしが子供だから怒らせようとしたとか……?

 王はやっと失策に気づいたようだ。遅いっつの。

「いやいや、申し訳ない。ちょっとした冗談ですよ」

 訂正してきた金額は上限ギリギリだった。

 法律では最低料金と最高料金が定められていて、その間ならどの金額でも違法ではない。

 だからって上限ギリギリを要求する業者が最初多くて、客はあっさり離れてったそうな。中間~最低料金の金額設定のとこにみんな流れたって。結果、欲を出したとこはいくつも廃業に追い込まれたらしいよ。

 それを知らないとは思えない。

 好々爺に見えて欲深じいさん。コブを増やされるか、灰まみれになった殿様一行にボコボコにされるかだよ、行きつく先は。

 やっぱりこれはわざとあたしを怒らせようとしてるな?

 その手には乗るか。

 あたしは無邪気に笑ったまま、

「いえ、ご心配なく。他に頼みますから。それでは」

 ぶちっ。

 容赦なく回線を切った。

「……いいんですか?」

 手配を終えたルシファーがきく。

「もちろん。弱みにつけこんでふっかけてきたのはあっちだし。ちゃんと適正価格なら払おうと思ったんだけどね」

「リリスも腹黒い……というか交渉上手だな」

 いざとなれば代わろうと傍にいたアガ兄さまが言う。

 ま、本来『魔王の母』ですから?

「他の国に問い合わせますか?」

「ああ、いいよ。どうそのうち、最低料金でいいって連絡来るだろうから。向こうにしてみれば、うちが呪いのアイテム持ってることほどまずいことはない。手放すって言ってるんだから、金をせしめるより処分させたほうが得策と考えるでしょ」

 あたしは頬杖ついて、

「それにわざと払えない金額言ってきた気がするんだよね。あれじゃ他の国でも払えないよ。意図的に怒らせようとしたとしか思えない」

「怒らせる? それであちらに何の得があるんです」

「あたしのヘマか失言を狙って、上手く証拠とれたらそれを広めようと思ってるんじゃないかな? やっぱりあの国は愚かだって。放置しておけない、最悪戦争してでも滅ぼすべきだ……とか」

 あたしが一番恐れてることだ。

 破滅ルートになってしまう。

 本来のシナリオでは戦争になったのはヒロインの代になってから。その下地になってしまう。

 ―――破滅ルートは回避しなきゃならない。

 とっさにそうカンが働いたからこそ、あそこであっさり引き下がった。

 たぶん間違ってない。さっきは破滅フラグだったんじゃないだろうか。

 もしあたしがこの件で選択を誤れば、破滅へのコマが一つ進む。それだけは回避しなければならない。

「政権交代したのに、そこまで疑ってるってことか。嫌になるな」

「地道にイメージアップしてくしかなさそうですね」

 どうすれば回避できる?

 クーデターみたいに、ぶっとばすわけにはいかない。これは人と人との心理戦だ。

 どうすれば、安全に……。

 しばらくして予想通りの連絡があった。

 はじめからちゃんと規定内にすればよかったのに。

「では、物はどうします? こちらに来て作業? それともそちらに運びます?」

「もちろんこちらに持ってきてください」

 即答だった。

 来るのが恐いんだね。

 実は処理依頼は口実で、おびき寄せ、人質にしようとしてると思ってんな。

 やんないっつの。

「あ、でもあんまり持ち込まれると……そうだ、そちらも運搬が大変でしょうし、中間地点ということで国境付近はいかがでしょう?」

 なるほど。ヤバいもんを首都近くに持ち込まれるのも勘弁と。それは分かる。

 さらに運搬作業員と見せかけて兵を送り込み、攻めるつもりかってことね。

 どんだけ悪役なんだ、あたしは。

 父ならやりかねないが、あたしはやらん。いや、父もしないか。大事なコレクションを囮になんかしないな。

 そこでこの王様は何かあっても大丈夫なよう、だぁーれもいない荒野にしようと考えたのね。

 このぶんじゃ、見えないとこに軍隊潜ませそうだな。

 やれやれ、まったく。

 信用回復は難しそうだ。

「それで構いません。なんなら諸国の代表者も一部始終を見てられるよう、通信機器を置いといてもいいですよ?」

 諸国も監視してくれるとの案に、王はあっさり乗った。 

 他にも目があれば、下手なことはできないってことね。それはそっちも同じだよ。

 軍隊潜ませるのはいい。いざって時もあたしがふっ飛ばせるから。

 そうじゃなくて、濡れ衣で攻められるのはごめんだ。逆にこっちも監視してもらいたいぐらいだ。何されるか分からないのはこっちも同じ。

 破滅フラグ折るために、いざって時は証人がほしい。

 通信を切り、う~んと伸びをする。

「これで一度に武装解除アピールできるしねー」

「ここまで疑われると、さすがにうんざりしますね」

「まったくね。ま、各国も見てるってのは好都合なのよ。他にもある理由でね」

「何です?」

「不用品処分にかこつけて、ファッションショーやるからよ!」

 し―――ん。

「………………」

「………………」

「………………」

 場を支配する沈黙。

 なんでやねん。

「……今、何て言いました?」

「ファッションショー」

「どうしてそんなことになるんです?」

「金をかけず、大勢に見てもらう機会じゃない」

 コスプレ衣装を作る……もといブランドを立ち上げると決めたあたしだけど、宣伝する金はない。

 この世界にはインターネットもSNSもなく、せいぜい新聞の広告が限界だ。でも広告料払えないし。

 モデルもどうするかって問題がある。男物はルシファーと兄たちでいいとして、女物がね。

「だってさ、とにかくお金がたんないじゃない。せっかく各国王族クラスが見るチャンスなんだもん、利用しなきゃ」

「……理屈は分かりましたけど」

「そんなわけだからルシファー、隣の姫のスリーサイズ調べて」

 再び沈黙。

 しんしーん。

「………………」

「………………」

「………………」

 もう一体何なんだコイツって目された。

 ひどくない?

「すみません。もう一度言ってもらえます? 何を?」

「スリーサイズ」

「セクハラだぞ」

 天を仰ぐルキ兄さま。

 失礼な。非常に真面目な理由なのだよ。

「真面目な話よ。ドレス作るのにサイズが分からないと困るの」

「ドレス?」

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。隣の国に服を売りこむなら、姫をとりこにするのが手っ取り早い。若くてきれいな女子なら、絶対良い服は欲しがる。親も娘のためなら金出すもんよ」

「あ、なるほど。そういうわけか。さすがにトチ狂ったかと思った」

 やだなぁ、はっはっは。

「あと、ルシファー、姫の好みとお気にの仕立て屋も調べといて。どストライクな服にしないとね」

「分かりました。そういうことなら」

「これは姫にプレゼントする。姫の好みでかつ斬新、オリジナルものにしとけば、かなりの確率で今後の注文が見込める。王もさっきやらかしたのに娘に一着もらっちゃったら、その後何も頼まないってわけにはいかないだろうからねえ」

 ふっふっふ。

「リリス、黒い黒い」

「これくらいでなきゃあの親父のもとで十五年生き延びられなかったってーの」

 みがいた処世術ナメるな。

 ふん。

「よーし、そうと決まればデザインを考えないと。あ、その時ルシファーと兄さまたちは全員着るのよ。モデルなんだから」

 タイプの違うイケメンが七人もそろってりゃー、女性ファンはゲットできる。

 うむ。この機会に着せたい服をみんなにだな。

 ふふふふふ。楽しみだわー。

 ニヤニヤ。

 怪しげな笑み浮かべて妄想に突入してるあたしをルシファーと兄二人はスルーした。

 いかんいかん、現実に戻ろう。

「問題は女物よね」

「リリスが着ればいいんじゃないか?」

「ルキ兄さま、それだと一着だけでしょ。女物はとにかく数出さないとダメ。いやね、ドレス作るのはいいのよ、アイデアいっぱいあるもん」

 そりゃもう腐るほど。

 え、なに? 腐ってんのは頭じゃないかって?

 あたしは腐女子じゃないですよ。

 違うからね!

「作っても着てくれる人がいないと。つまりモデルの手配」

「雇う金はありませんね」

 侍女たちにそこまで頼むのは職務外だし……。

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 全員しばらく考え込む。

 なるべく金をかけずにモデルを集める方法……。

 それもいろんなタイプの女性を……。

 …………。

 ぴこーん。

 頭上に豆電球。

 おっと古典的。

 チョベリグなアイデア思いついたわ。

 チョベリグも死語だっつの。

「よっしゃ、いいこと思いついた! 簡単じゃん! これでいこう」

「何ですか?」

「後で話す。まずモデル候補を探そう。タイプ分けないとね」

 えー、ざっくり言うと……

 正統派美少女。内気なメガネっ娘。スポーツ少女。ボクっ娘。ツンデレ。ロリキャラ。優等生タイプ。不思議ちゃん。天然ドジっ娘。

 年下妹系。セクシーお姉さん。真面目な年上の女性。優しいお嬢様。きついお嬢様。男装の麗人。

 ぽっちゃり女子。末摘花。ギャル。

「あのー、やたらある気がしますが?」

「まだあるんだけど」

 なるべく全方位をカバーしてだな。

「末摘花って何だ?」

「あー……」

 分からない人は源氏物語を読んでみよう。

「ようするにブス」

「………………」

「………………」

「………………」

 こらぁ! そこで黙るな!

「ブス迫害反対! 美人なんてわずかだっつーの、世の中の女性大多数は美人じゃないわい! でも何が悪い!」

 声を大にして言いたい。ブスで悪いか。

「何でそんなに必死なんですか」

 そりゃ前世あたしがブスだったからですよ。ええそうですとも。

 小中高とブス・デブと言われ続け。友達は「男子なんて美人のクラスメートにすらブスって言ってんじゃん。大丈夫だよ、そんなひどくないよ」って慰めてくれたけど、自分がブスに入るのは知ってらい。

 ブスだってねぇ。ブスって言われりゃ傷つくのよ。乙女心くらいあるんだから。

 そこで失笑すんなっつーの。

 しかも男子より女子のほうが悪口えげつないしね。どんだけ言われたことか。

 ま、そういう奴らにゃ逆襲してやったけどね。そういうの我慢したり放置してると、エスカレートしていじめになったりするのよ。

 今ここにあいつらいたらブン殴ってやるのになぁ。

 ルキ兄さまがハッとして、

「ちょっと待て。リリス、誰かにそんなこと言われたのか!?」

「なんだと?! どこのどいつだ!」

「調べてきます」

「ちょ、調べなくていいから」

 ルシファーの服をつかんで止める。

 この世界にはいないよ。

「そうですか? それにしても失礼な輩ですね。リリス様はブスなんかじゃないですよ」

「ほんと?」

「ええ。世界一美しい妻を持てて僕は幸せですから」

 ぱああっ。

 瞬間的に周りに花が咲く。

 あ、幻覚じゃなくて本物出しちゃった。

「ルシファー、大好き―――っ!」

 ぎゅ―――っ。

 抱きついてスリスリする。

 ルシファーを兄二人が殺しかねない目でにらんでた。

 テメェ、ルシファー許さん。後でシメる。ふふふ、残念ですね、僕らは夫婦なんで。的なアイコンタクトしてる。器用だね。

 あたしは無視してスリスリしてた。

 はうう、今回もいい香り。

 ん、香り?

 そうか、香水とドレス組み合わせるのもアリかも。さっそく香水会社に話を持ち掛けてみようかな。

 その時足音がして、

 ドカドカドカ。

 ガチャッ。

「おーい、リリス。兄ちゃんちょっくら出かけてくるか……」

 やって来たレティ兄さまが固まった。

 無言でルシファーを思いっきりにらみつけ、やおら抜刀する。

 ガッ!

 ルシファーは仕込んでたナイフを使い、片手で止めた。

「……これはこれは。どうされました、フルーレティ様」

「てんめェ。オレのかわいい×∞リリスといちゃついてんじゃねーぞコルぁ」

 めっちゃ巻き舌。

「先に抱きついてきたのはリリス様ですよ。夫婦ならこれくらい当たり前では?」

「オレは認めてねーからな、このヤロォ」

 ぐぎぎぎぎ。

 ねー、人の頭上で何やってんの?

「レティ兄さま、出かけるってどうかしたの?」

「ああ、郊外に魔物が出たらしくてな。つっても、アホ親父がペットとして飼ってたのが逃げ出したやつなんだけど」

 オカルトグッズ収集家だった父は色んなモンスターも集めてた。死んだのも、生きたのも。

 標本やはく製なんか並べてたら、気味が悪くて仕方ないってーの。

 父の自慢の博物館でたまに連れてかれたけど、もーその日はさすがに何も食べられなかったわ。

 生きてるのもやだよ。結界張ったオリの中とはいえ、見た目すごいのばっかだったし。

「クーデター後、管理人がやっと逃げられるって消えた隙に何匹か逃げたんだっけ」

 残ってるのはどうするか検討中だ。

「そう。そのうちの何匹かが見つかったんで、やっつけてくる」

 んー……。

 はいっ!

 あたしは元気よく挙手した。

「あたしも行っていい?」

「え?」

 一斉に反対された。

「駄目です! 危ないですから!」

「ああ、色んな意味で危険だからやめろ」

「リリスはほら、服作るのに忙しいだろ?」

「うんうん、兄ちゃん一人で十分だから。な?」

 この危険ってさ、あたしが何やらかすか分かんなくて危ないって意味だよね?

「いやね、役に立ちそうなモンスターなら働いてもらおうと思って」

「働く?」

「一口に魔獣って言っても、色々いるでしょ? 異種族だからって問答無用で抹殺するんじゃなく、共存できるやつとは共存しようかと」

「魔獣を手懐けて戦力にしようとしてる、って思われるんじゃないですか? 特に隣の国とか」

 かもね。

「でもさ、見かけから誤解されてる魔獣っていると思うのよ。悪いイメージついて差別されてる。同じでしょ? だから一緒にイメージアップしようってこと。隣国がケチつけてきたら、黙らせる方法はあるわ。異種族=悪と決めつけて皆殺しにするのははたして本当に正義なのかってね。問答無用で自分たちの価値観にそぐわないもの抹消するのが善かと」

 ふふふ。

 暗い笑みを浮かべるあたし。

「リリス、悪役っぽいぞ」

「あはは、やだなあ、レティ兄さまってば」

 本来悪役ですけど、何か?

 むしろラスボスの母ですが?

「ていうか、人手も資金も足んないじゃん。猫の手も借りたい状況でしょ。だったら魔獣の手も借りるわ」

「うんまぁ、分からないでもないが……」

「大規模工事や輸送。特に人間が入れない場所での作業をしてもらいたいのよ。毒ガス地帯とかさ」

 さすが『魔王』が生まれる国だけあって、危ないポイントがいっぱいあるんだ。そういうとこでの作業をお願いしたい。

「分かった。でもいいか、大人しくしてるんだぞ。倒すのはオレがやるからな」

「はーい」

 素直に返事するあたしだった。


     ☆     ☆     ☆



 郊外の街。

 人々は警察が避難誘導し、今のところそこまでの被害は出ていなかった。

 警官隊が交戦してて、すごい音と光。

 暴れてるのは巨人族だった。身長数十メートルはありそう。ジャックと豆の木の人食い鬼を思い浮かべてもらうと分かりやすいかと。

 巨人族って言っても、大人しい者がほとんど。ここにいるのは巨人の国で何かやらかして追放されたか、捕まる前に逃げてきたかだ。

 犯罪者を喜んで迎え入れて手下にしてた父のコレクションだ、マトモなわけがない。

 ここにいる巨人がみんな男性なのは、そういう危ないやつばっかだからだ。

「さ、まず一撃かますか」

 レティ兄さまが大ぶりの剣を背から抜き、振り下ろした。

「はッ!」

 ドガアアアア!

 一撃で大地が割れる。

 レティ兄さまも王家の魔力持ち。ちょっと力入れただけでこれだ。

 ぱちぱちぱち~。

 巨人と警官隊の間に大きなミゾができた。

 ま、巨人の体格なら簡単に飛び越えられるだろうけど。インパクトは十分だ。

 あたしとルシファー、レティ兄さまは巨人の前に立ちはだかる。

「長官! やった、助かった!」

「女王様、女王様がいらしたぞ!」

 なんかシュプレヒコール起きとる。

 レティ兄さまは警官隊に下がるよう指示し、物騒な目を巨人に向けた。

「大人しく捕まるか、チリになるか、どっちがいい?」

 本気だねー。

 巨人たちは自分よりはるかに小さいレティ兄さまにビビってた。

「なあリリス、人に危害を加える連中なら、やっぱ消していいよな」

 巨人に聞かせるためにわざと言ってる。

 そりゃ、どうしようもないやつならやむをえない。

「それは仕方ないけど……。ていうかさ、一つきいていい?」

 巨人にきいた。

「なんでパンイチなの?」

 し―――ん。

「………………」×?

 全員沈黙した。

 真っ先に我に返ったのは、もはやあたしの奇行に慣れてきたルシファーだった。

「何を言ってるんですか?」

「だってパンイチじゃん」

 スドン。

 精神攻撃二発目。

 巨人の格好はみんなパンツ一丁だった。

 デカい裸の王様だな。鬼のパンツ的な腰巻しかしてない。

「う……っ」

 巨人たちが号泣し始めた。

「だってこれしかくれなかったんだ!」

「布がめちゃくちゃ必要だから、金がかかりすぎるって!」

「パンツだけとか恥ずかしいいい、お嫁に行けないいい」

 ……好きでその格好なんじゃなかったのね。

「あー、まぁそうでしょうね」

 人間の何倍もの布地必要だろうなぁ。

 つか、寒そう。何人か震えてるのは武者震いじゃなく、単に寒いのか。鳥肌立ってる。

 ……ん、待てよ?

 あたしは勧誘してみた。

「罪を犯したぶんはちゃんと服役してもらうけど、うちの国に仕えるなら、ちゃんとした服支給するわよ」

「マジで!?」

 大半の巨人が目を輝かせた。

 速攻釣れた。

 そんなにパンイチ嫌だったのか。

 なるほどこの事件は『巨人たちの抗議行動~パンイチは嫌だ~』だったと言い換えることができるわけね。

 うんうん、服って大事だよねー。

「ほーら、こんなの着てみたくない? こういうのもあるよ~」

 ササッと描いて掲げてみせる。

 フラフラ吸い寄せられる巨人。

「おおお……かっこいい……!」

「やっぱねー、女子はイケてる服着てる男のほうが好きだしね。身なりよくすれば彼女できるかもよ?」

「うおおおお、彼女ほしいいいい!」

「結婚してええええ!」

 ウオオオオオ。

 悲痛な叫びあげとる。

 仲人は他作品で別の人がやってるんで、それは彼女に頼んでくれ。

「ふっ、懐柔成功」

 キラーン。

 ものぐさ太郎がマジメに働いたのも、彼女ほしさだったもんねぇ。ものぐさ太郎作戦成功。

「……いいのかこれで? オレ、出番なくね? 来た意味なくね?」

「レティ兄さまが威嚇してくんなきゃ、放しも聞いてくれなかったと思うよ」

 ところが一人だけエサにくいつかなかった巨人がいた。

 見るからに強面。わあ、いかにも悪い巨人っぽい。

 でもパンイチ。

「待てい! 俺様はそんな策には乗らん!」

「嫁ほしくないの?」

「筋肉こそ正義! 筋肉万歳! むしろ俺様はこの美しい肉体を見せたいのだ!」

 ああ、ナルシストマッチョだったか。しかも露出癖あんの?

「一番前王が使ってたやつですね。巨人一決定戦と称してとにかく人にケンカ売りまくり、29人ほど殺して警察に追われ、国外逃亡したようです」

 ルシファーがどっから出したのか、報告書読んでる。

「国際指名手配されてますね。引き渡し条約は結んでませんが、引き渡しますか」

「そうね。そうしたほうがいいのはそうしましょ。こっちで裁いていいやつはこっちで服役させる」

「裁判の裁くじゃなく、魚をさばくとかの意味に聞こえるな……」

 それはナキア兄さまの仕事だね。

「ガンガン働かせよう。うん、捕まえてくる」

「あ、ちょ、リリス、待っ……」

 ダンッ!

 無視して大きく跳躍した。

 上空まではいかなくていい。半分くらいで十分だ。

「バカめ、そんなちっこい体で何ができる!」

 巨大な拳が降ってくる。

 ひょい。

 あたしはそれを華麗によけ、みぞおちに魔力こめたグーパンをたたきこんだ。

「はあああああッ!」

 ドガアアアッ!

 天高く真上にふっ飛ぶ巨人。しばーらくして重力に従って落下。

 ……ひゅるるるるる~、ズッシ―――ン!

 あ、地面にめりこんだ。

「遠くに吹っ飛ばすと持ってくるのめんどいから上に飛ばしたんだけど。これ、掘り出すのもめんどいなぁ。水入れたら浮力で浮いてくるかな」

「うつ伏せだから水死しますよ」

「……だから大人しくしてろって言ったのに……」

 レティ兄さまげんなりしてる。

 なんで? ちゃんとやっつけたよ?

 手っ取り早く魔法で地面盛り上げて、ぺいっと排出。呪術かけたロープでぐるぐる巻きにし、警察に引き渡した。

「はい、逮捕完了」

 なんでか群衆から拍手が巻き起こった。

「女王様、ありがとうございます!」

「さすが勇者様! 我々を守ってくださった!」

 ……んー、だからあたしは『勇者』じゃないんですけど。

 どうやらこの巨人は一番強かったらしく、残りの巨人たちも平伏して従った。

「一応規則では逮捕時に姓名を記載しないとならないのですが……」

 警官がおずおずきく。

「あ、そっか。ねえ、あなたたち名前はあるの?」

「いえ。『雨が降った月の十日に生まれた子』とか『南の家の三番目の子』とかいう呼び名しかないです」

 個人名はないわけか。

「じゃあ、あだ名でもつけとく?」

「あだ名ですか?」

「誰だか分かればいいんでしょ? 特徴押さえとけばいい」

 手近の巨人を指して、

「あんたは『すね毛リーダー』」

「すね毛リーダー?!」

 巨人が目を回しかけた。

「何ですかその異次元なあだ名は!」

「すね毛ボーボーで、すまきのあいつの次に偉そうだからリーダー」

 あとは。

「あんたは『どすこい日和』」

「太ってるってことですか?! 事実だけど!」

「そっちは『ほくろうさぎ』」

「何ですかそれ?!」

「ほくろが三つ並んでて、ウサギみたいに見えるから。そっちのは『きゅうり58円』」

「きゅうり!? 細長いってこと?!」

「58円はチラシに載ってた値段ね。新聞に入ってた。こっちは『だるんだるせーにょ』」

「発音できません! 腹肉だるっだるだってか!」

「それからあんたは『暁の兆し』」

「ハゲか! ハゲてるってかあああ! って、なんか逆にかっこいい?!」

 ルシファーとレティ兄さまがものすごい青汁でも飲んだような顔してた。

「もし将来僕らに子供ができたら、その時は絶対僕が名前つけます」

「そうしろ。まさかここまでネーミングセンスが破壊的とは思わなかった。服作りは得意なのになぁ」

 えー、そんなひどくないでしょ。

「なんか楽しくなってきた! もっと面白いのを……」

「考えなくていいです」

「やめろ」

 二人に必死で止められた。巨人たちは感謝してた。

「なんで。つまんないー」

「リリス様は服作りがあるでしょう?」

「そりゃそうだけど……。……あっ、そうだ、いいこと考えた!」

「もう珍名発表はやめてください」

「違うって。そうじゃなくてファッションショーの時、ついでにいいこと発表しちゃおっと」

 ふっふーん。

「発表?」

「諸国は一年後の選挙が出来レースじゃないかって疑ってるんでしょ? だったらみんな招いちゃって、見てる前でやればいい」

「どうやって?」

「お祭りにしちゃえばいいのよ!」

 お祭りはみんな大好き。恐怖政治で落ち込んでたみんなの心も上向くしね!

「一年かけて、大学や芸術センターも準備しとく。お祭りなら各国からたくさんの人が来れる。いっそ一週間くらい祭り続けて、うちの国の良さを分かってもらおう! 祭りなら経済も活性化する。服屋も準備しとくし、食べ物屋だっていっぱい屋台出そう。目玉になる料理やスイーツも用意しとこうね! 色々コンテストやったり、とにかく楽しく!かつ諸国にアピール!」

 これなら破滅フラグも立つまい。

 大きな楽しいお祭りやるって言ってるのに、攻め込んでくる国はないだろう。他国の大勢の人が見てる前でそう発表すれば、隣国が何か仕掛けてきにくくなる。みんなが楽しみにしてるお祭りを潰すやつは無粋だ。

 これでどうだ!

 ルシファーもアガ兄さまもうなずいた。

「お祭りですか……いい案ですね」

「宣伝にもなるし、他の国からたくさんの人に来てもらえば、安心安全もアピールできるか」

「でしょ? みんなで一年後に向けて準備しよー!」

 群衆を振り返れば、久しぶりのお祭りと聞いて、みんなうれしそう。

 うんうん、まずはファッションショー。次の目標はお祭りだ!

「がんばるぞー!」

「オ―――ッ!」

 合図せずとも、みんな声を合わせて拳を突き上げた。

 破滅フラグをへし折るかのように。

『仲人は~』云々は別作品のネタですね。

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