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これが最後の後始末、のはず

 ―――夜半、みんな寝静まったころ。

 あたしとルシファーはこっそりベルゼビュート王子と織さんの部屋を訪ねていた。

 小さくノックする。

 すぐベルゼビュート王子が開けて、あたしたちは中に滑り込んだ。

 奥には織さんと社長が待ってた。

「社長、こんばんは」

「はい、こんばんは」

「修正プログラムver.2はどんな感じです?」

 早速要件に入る。

「よっぽどショックが大きかったんだろうねえ。ブツブツ独り言つぶやいてるよ」

 パソコンの画面に映ってるのはぐったりして縮こまった灰色のシルエット。

 燃えつきてんな。

 ルシファーが眉をひそめた。

「なんだか形が変わっていませんか?」

「あ、それあたしも思った。背中丸めて向こう向いてるから分かりにくいけど、どう見ても下半身ドラゴンじゃなくなってるよね」

 翼はそのまま。

「これは馬科……でしょうか」

「っスよねぇ。でもしっぽのあたりは鳥の羽根が生えてる」

「さっきちらっと見えた前足?手?はライオンぽかったぜ」

 色んな動物がごちゃまぜ?

 みんな社長に問うような視線を向けた。

「たぶん複数の人間に憑いてたのが集まってできたからだと思うよ。それぞれ元の人間の性格や心が反映されてる。バラバラのが集まって固まった結果、ごちゃまぜになっちゃったんだろうね」

 泥団子こねる動作する社長。

「ほら、色んな色の粘土合わせたらマーブル模様になるじゃない? それと同じだよ」

「父のは一人だけに憑いてたんで姿もそっくりで、ある意味安定してたんスね」

「では反発しあって分裂したり暴走する恐れがあるのでは?」

「いや、それはない。影響を受けたとはいえ、元はどれも同じコピーだから。それにだとしたらとっくにそんな事態が起きてるよ。入力されたコード通りの使命を果たすって強力な目的を核として合体したんで、結びつきが強すぎて分裂できないみたいだ」

 うーん、強すぎる意思ってのも問題ですねぇ。

「存在意義を賭けた行動ですもんねー。そりゃ強力だわ」

「ただ本人もドラゴンの形態は嫌で、どうにか変化したくて必死みたいだよ。なにせ元のゲームにおいてドラゴンは悪役の象徴だ。でもどんな姿に変わればいいか、色んな人の影響がありすぎて定まらない。で、こんなごちゃまぜになっちゃったんだろうね」

「なんかかわいそう……」

 そう思えてきた。

「そうだねぇ。ちょっと行ってみる?」

 社長は立ち上がると目の前にドアを出した。

 開けると向こうにver.2を閉じ込めてる空間が。

「すぐそこに見えるけど、アレがいる空間は別だよ。念のためね。お互いの姿は見えるし会話もできるようにしてある」

 もう何をどうやってんすかね、社長。

 質問すんのはやめよ。どうせアホなあたしにゃ理解できん。

 あたしらは中に入り、ver.2に呼び掛けた。

「―――ねえ!」

 ver.2がビクッとする。

 でもこっちは振り返らない。

「ええとさ、もう間違ったとこに来ちゃったってのは理解したんだよね?」

「……」

 無言かい。

「理解はしてるよ。さっきまで何度も根気よく説明したからね」

「あー、じゃあなおさらガックリきてるわけだ。存在する意味の否定だもん」

 修正プログラムは命じられた場所においてエラーを修正し、正しく作動できるようにするためにある。その行く場所を間違え、筋違いのことしてたとなれば。

 あたしは辛抱強く問いかけた。

「ねえ、これからどうすんの? 例えば二度と戻ってこないんならこの世界の外に出してあげるし」

「!?」

 がばっと勢いよく振り返るver.2。

 その顔は魚・鳥・動物・人間・想像上の生き物が混じった、とても表現できないものだった。

 おわ。

 迫力にぎょっとする。

 織さんもさすがに身をすくめてた。

「け、消さないのか!? 逃がしてくれるのか?」

「そりゃ無罪放免てわけにはいかないよ。相応の罰は受けてもらう。ね、ベルゼビュート王子、社長」

「うん。僕のとこで働いてもらおうかな」

「博士んとこか。それが一番安心だなあ」

 ver.2がいぶかしげに、

「……そこの、除霊士なんかじゃないんだろう? あんた何者だ……?」

「僕? 僕は元人間だよ。死の間際に意識を電脳空間上に移動しただけのね」

 しれっとえらいこと言う社長にver.2の口があんぐり開いた。

「……は?」

「電脳空間上を自由に動ける、自我と意思を持った存在ってとこかな。それを生かして見回りや管理人みたいなことやってるんだ。そうだなぁ、例えていうならサイバーポリス?」

 ちょっと違うと思います。

「ちょっと困った人の発見や通報、トラブル処理にエラー修正なんかもやってる。だからどう? 君に合った仕事だと思うけど」

「…………」

 迷ってる。

 社長はにこにこしてきいた。

「あれ、どうしたの? 君はエラーを修正するために生まれた。その役目が果たせるのに」

「……確かに。でも」

「でも、何? どうして迷ってるのかな」

「………………」

 社長、分かっててきいてますね。

 ver.2にも自我ができかけてる。オリジナルとは別物の。

 だから思うんだろう、それでいいのかって。

 間違えて来たところで自分の行動は正しいと言ってやったけど、それは勘違いだった。一回やらかしたのに、これで社長についてって同じような仕事をしたとして、それも間違いじゃないとどう言える?

 自分の考えと違うものは悪であり、消去すべし。そう教わった。他の考え方なんて知らなかった。だけど失敗して色んな考え方に触れて……はたしてそれは本当に『正しいこと』なのか、疑問がわき始めた。

 自分で考え始めた。

 社長は笑みを浮かべたまま重ねてきく。

「消去や修正はもうやりたくないってことかな」

「…………」

 ver.2は悲しみととまどいの混じった瞳を上げ、ゆるゆるうなずいた。

 ごちゃまぜの体だから瞳の色も色んな色に見えた。

「……正しい、はずなのだ。われらの行いは正しく、正義のはず。……だが、違った。わたしは『正しさ』から外れてしまった……それどころか『悪』と同じ姿になっていた。いや、『悪』そのものになっていたということだ。……ああ! 『悪』は消去せねばならない。ではわたしは消えねばならぬということか? でなければ『正義』が執行できないのだから……!」

「ちょ、極端なこと言い出した」

 おいおい。

「ある意味純粋だから一気にいっちゃうんスね」

「盲信ですね」

 ベルゼビュート王子だけはなぜか分かるような顔してた。

「……なんつーか、昔のオレと似てるな」

「ベル?」

「『バグ』から自我を持った何かになりたての頃さ。まだベルゼビュートに入る前の」

 …………。

 あたしは一歩踏み出した。

 しゃがんで目線を合わせる。

「ね、じゃあこの世界で普通に暮らしてみる?」

「―――」

 沈黙。

 あれ、どした。

 みんなあっけにとられてる。

 消音モードになったのかと思ったよ。

 あ、みんなじゃなかった。社長だけはくすくす笑ってた。

「君なら言うと思ったよ」

「あ、そうですか?」

「ちょ、リリス女王サン?!」

 ベルゼビュート王子の一時停止解けた。

「アンタ何言い出してんだよ!」

「え? だって、この子っていわば生まれたばっかの子供みたいなもんでしょ?」

「……そうかぁ?」

「うん。修正プログラムから生まれた、もう一つの新しい命。一つ目の『正義の王』のほうだって受け入れたんだから、この子も入れたげようよ」

「あっちは元々いた人間と融合したんで、そのまま居続けてもいいのは当然だろ。でもこっちは違う」

「そんでも現にこの世界に存在してる命だよ」

 ver.2を指す。

「生まれがどうあれ、ここにこうして生きてるんならいたっていいじゃん」

「そりゃ……」

「姿かたちのことなら魔物の一種ってことにしとけば。キメラあたり」

 異形といえるデザインの魔物いるじゃん。

「まぁキメラの一種ってことで納得するだろうけどさ……」

 あたしは色んな生き物が交じり合った姿に手を差し伸べた。

「どうすればいいか分からないんなら、好きなだけ悩みなよ。この世界で生きてみて、たくさんのもの見て経験して、色んなとこ行っていっぱい知って、考える。知らないならこれから知っていけばいい。そうやって生きてみればいつか何か分かるかもしれないよ」

 ver.2は信じられないような目で差し出された手を見つめた。

「……なぜ、そんなことをわたしに言う。わたしは『悪い』ことをしたのに」

「うーん。その『正しい』とか『悪い』とか一旦やめない? そういうのって単純に決められるもんでもないしさ。立場が変われば何が良い悪いなんて変わるもんだよ」

 それにまぁ未遂だったわけだし。

「……どうすればいいか、分かるだろうか?」

「さあ? 断定はできないよ。あたしはそんな偉いやつじゃないし、未来は誰にも分んないもん」

 未来は分からない―――か。

 あたしからこんなセリフが出てくるなんて不思議だな。

 ずっと未来は分かってるものだった。シナリオと言う名の未来が。

 でもこれから先は未定の真っ白だ。

 誰にも分かってない。だからいい。

 そこで励ますでもないあたしにver.2は毒気抜かれたっぽい。

「……ここは肯定して激励するところではないのか」

「無責任に断言? ムリムリ。つーかそこはあなたががんばるとこだし、どうするか決めるのもあなたでしょ。あなたの人生なんだから」

「わたしの人生……か」

 ver.2の顔がふっと柔らかくなった。

 フィルムが丸くなり始める。

 それは笑っているようにも見えた。

「……ありがとう。元『魔王の母』」

 ver.2が前足?手?を持ち上げ、こちらに伸ばした。

 社長がパチンと指を鳴らした。たぶん間の空間をつなげたんだなって本能的に悟る。

 あたしとver.2の指先が触れた瞬間、場が光に満ちた。


   ☆


 ―――目を開けると元の部屋に戻っていた。扉は消えてる。

 代わって前にあったのは……生物ごちゃまぜの姿じゃなくてゼリー状の物体。

 半透明でつるんとしたフォルム。ぷにぷに。

 RPGでおなじみのこれは。

「……スライム?」

 んっ? あれれ?

 おかしい。

 あたしが眉ひそめたのは、この世界にスライムはいないはずだからだ。

 基にしたゲームはあくまで恋愛メインだ。敵を倒すアクションがあるといってもRPGほどの作りこみはない。

 織さんとルシファーは初めて見る謎生物にびっくりしてた。

「何これ?」

「これは生き物なのですか?」

「どうやらこの形で落ち着いたみたいだねぇ」

 社長がステータス画面ぽいのを開いて調べてる。

そんなんもできるんすか。

「うん、やっぱり安定してる。もうごちゃまぜフォルムになることはなさそうだよ」

「ほえー。これがスライムってやつかぁ」

 つんつんつつくベルゼビュート王子。

「や、やめてくださいぃ」

「わあ、しゃべった。……ってさっきもしゃべってたか」

 声もすごく小さい子供の声になってる。2、3歳くらい?

「ベルゼビュート王子はスライム知ってるんだ」

「ああ、この世界どうにか変えらんねーかと手あたり次第にゲームだの小説だの漫画だの調査しまくったんでな。博士が手伝ってくれた」

「今は必ずといっていいほどネット上に情報転がってるからね。簡単だよ」

 著作権とか大丈夫?

「つってもとんでもねー量なんで、メジャーどころだけだけどな」

「それでも相当でしょ」

「ま、時間はたっぷりあったし。オレもそんだけ必死だったんだよ」

「ベルえらい! よくがんばった!」

 織さんがベルゼビュート王子の頭をなでた。つーかぐしゃぐしゃかきまぜた。

「ちょ、おい。ヘアセット乱れる。あっ、織もセット乱れてるじゃんか。ほら櫛でとかすから」

 ベルゼビュート王子は櫛いつも持ち歩いてんのかな?

「もー、いいっスよ。ああ、リリスちゃんや姉さん方式のほうがいい? おけ。はい」

 織さんはベルゼビュート王子に抱きついた。

「のわああああああああ!」

 真っ赤になって叫ぶ向こうの王配。

「あっはっは」

「なに 叫んでんのさ、ベルゼビュート王子。抱きついてんの自分の妻じゃん」

「キミはいつものことでも普通は違うよ!?」

「そうですよ、ここは落ち着いてうれしいと思っていることを態度で返すものです」

「だからキミらみたいにはできねーっての!」

 意外と照れ屋でピュアだな。

「んで社長、なんでスライムなんですかね」

「無視!? なあ、スルーやめて!」

「心が未完成だから不定形生物になったんじゃないかな。この世界に存在しないっていうのもあると思う」

「これはスライムというのですか」

「うん。バトル系ゲームだとよくいる、一番弱いモンスター。初心者のレベル上げに使われる奴」

「ひい、やめて。倒さないで~」

 ブルブル震えるスライム。

「いや戦わないってば。ところでえーっと、男性?女性? 声じゃ分かんない。なんとなく『正義の王』に憑いてたやつのイメージから男性だと思ってたんだけど」

「あっちは一人の男性に憑いてたから性別男になったけど、こっちは複数の人間に憑いてた。性別も決まってないんじゃないかな」

「どっちになるかこれから決まるってことか? じゃあ形も今はこれで落ち着いてるだけで、今後変化すんのかな」

「さあ。このままかもしれないし、それは未知数だね。ただ一つ今確実に言えるのは、魔力が全然感じられないってことかな」

「え?」×4

 それってどういう。

 一斉にスライムを見る。

 ほんとだ、確かに魔力0。

「博士が封印したのか?」

「いいや、僕は何も。この子本人が放棄したようだね」

「……はい」

 スライムがちょっと動いた。うなずいたっぽい。

「この世界で暮らすなら魔法は必要不可欠なのに、どうして手放したの?」

「……だからこそ、です。力がなければ何もできない。勝手な思い込みで暴走して迷惑かけるって愚かなことを繰り返さずに済みます」

 みんな納得した。

「でも自衛もできないのはきついんじゃ」

「構いません。最弱の生物でいいんです」

「じゃあ、今後ほかの形態になったとしてもすっごい力手に入れるなんてのはないんスね?」

「はい。力なんかいりません」

 あたしたちは視線を交わした。

 安心……か? でも自分の身を守る術もないんじゃあ。

「……とりまあたしが引き取ろうか?」

「ああ、こっちと交代でみよう。保護っつーか」

 監視兼保護ね。

「当座はそれで、今後どうするかゆっくり考えて決めようぜ」

 社長もうなずく。

「それがいいだろうね。……さて、それじゃあ僕はそろそろ帰るかな」

「ありがとな博士」

「社長っ、また来てくれますよね?」

 急いで袖を引いて引き留める。

 社長はあたしにとって昔の自分との唯一のつながりだ。これでさよならなんて寂しすぎる。

 菊花だった頃のことも忘れたくない。

社長はあたしの心を見透かしたように柔らかく微笑み、あたしの頭に手を置いた。

「もちろん時々遊びに来るよ。友達を訪ねるのは当たり前だよね」

「はいっ!」

「ベル君も、スマホの回線とかそのままにしとくし。何かあったら、なくてもたまにメールしてくれるとうれしいな」

「ああ。ダチだもんな」

 社長はあたしとベルゼビュート王子に一枚ずつカードを渡した。

「もし何かあったら使いな。もっと強化した封印だよ」

 Ver.2としてまた暴れ出したらってことか。了解っす。

「じゃあね、また」

 のんびり手を振りながら社長は消えた。

「うーん、やっぱ博士には勝てねーわ。勝とうと思ってもいないけど」

「レべチすぎだもんね。ところでこのスライムの名前どうする? 呼び方ないと不便だよ」

「ver.2ってのも長いっスもんねぇ」

 うーん。

 あたしと織さんは交互に、

「ばっちゃん」

「つっちゃん」

「ばーつー」

「すらちゃん」

「しばっち」

「むっつん」

「待て待て待て二人とも」

「ちょっと待ってください」

 すごい勢いでストップかかった。

「え……そういうのはちょっと……」

 スライムも困ったみたいな声出す。

 なんで。

「もちもちぷるぷるは?」

「つるりんゼリーはどうっスかね」

「コラーゲンたっぷり」

「ぷにょりん形状記憶」

「だから待って!? 長いし!」

「ネーミングセンスが独特すぎます。お願いですからやめてください」

「えー、なんでー」

「巨人族の悲劇を繰り返すわけにはいかないんですよ」

 悲劇っつった?

「ベルゼビュート王子! ここはひとつ、貴方が名付け親になったらどうでしょう? この世界を作る発端になった人がつけるのが妥当かと」

「そ、そうだな! つっても、オレもそんなセンスは……。……あー、じゃあ、『レイ』は?」

「レイ?」

「魔力ゼロだから。それに将来男女どっちになっても平気な名前だろ? 女ならレイナとか、男ならレイモンドの略称だったっつーことにできる」 

 ほう。

「いーんじゃない?」

「短くて呼びやすいっス」

「よかった。つーわけでオリジナリティあふれる名前つけんのはやめてやって?」

「決まってよかったですね! 君もいいですよね? ねえ?」

「は、はいっ! ありがとうございます。マトモで真っ当で、はるかにマシ……じゃなかった、気に入りました!」

 なんで必死なのさ三人とも。一人ってカウントしていいのかどうか単位謎なのがいるけど。

「では当分レイはこっちで預かるとして、仕事はどうしましょうか」

「仕事ですか?」

「タダ飯ぐらいを置くつもりはありませんよ。自分の食いブチは自分で稼いでもらいます」

「まぁそりゃそーだな」

 レイも納得した。

「ちょうど選挙で人員配置変わるタイミングだなので新人が入ってきても自然です。問題はどこの部署にするかですが」

「住み家もね。このメンバー以外素性秘密だもん」

「そこはいくらでも偽装できますよ。地方からやって来た新種の魔物ということにします。実際そうやって出稼ぎに来る魔物が増えてますから」

 魔物が出稼ぎ。

「何の仕事が向いてるんスかね? 見るからに力仕事とか細かい作業は無理そう」

 重い物持ったらつぶれそうだね。手がなくて細かい作業も厳しい。

「動くスピードは?」

「全力で動いてみます」

 のそのそ。

 遅かった。カメにも負けるわこりゃ。

「ありゃりゃ」

「形は変えられるので、狭いところに入るのは得意ですが……」

 壁をのぼって家具とのすきまにすぽっと入る。出てくれば元の形に戻れた。

「とりあえず庶務課に配属しますか」

「庶務課?」

「掃除や備品のチェック・補充に各部署の助っ人まで幅広く対応している課です。多種多様な依頼がありますから、合う仕事があると思いますよ」

「そっか! それに庶務課なら色んなとこ行けてたくさんのこと経験できて、色んな人と知り合える。何として生きていくか考えるのにうってつけじゃん」

「あの……それですけど、ほんとに自由に動いていいんですか? 何やらかすか分かんないって投獄されても当然なのに……」

「そりゃGPSはつけてもらうよ。でもそんくらいかな。だってもうなにかするつもりないでしょ? 信用するよ」

「…………」

 レイは信じられないってこっちを見上げた。目ないのにどうやって見えてんだろ?

「では、そのように手配しておきます。職員なら従業員用宿舎がありますしね」

「ルシファーさんって有能執事みたいっスねー」

「王配って何でも屋だもんな。なぁ今度、酒飲みながら色々話さねえ?」

「お断りします」

 まぁまぁ。王配同士の懇親会、いつかやったら? お互い学ぶところが多いと思うよ。

 うちらも女王同士のお茶会するしさー。

 その他ついでにあれこれ話し合って、あたしたちは織さんとこを後にした。

 新しい仲間を連れて。


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