休憩 女王兄弟の弟嫁捕獲計画
ケータイ会社と連携し、あっという間にネットが搭載された。
機械本体に送致を物理的に組み込むと、新機種発売しなきゃならなくて時間かかるんで、既存のに魔法でシステムインストール。アプリだと思って。
便利だと瞬く間に広まり、かなりの売り上げを記録した。
よかったああ、これで資金できた。
『マンタ』のイメージキャラクター公募も応募が順調。現在審査中。
HP作成ソフトやブログ開設アプリも発売。うちの兄弟で真っ先に飛びついたのはナキア兄さまだった。速攻でブログ立ち上げ、閲覧者数がハンパない。
「いやぁ、いいなこれ!」
本日の逸品をアップしながら言う。ところでフォロワー全員女性だよね。
アガ兄さまは憎々し気に、
「軽薄すぎる内容しか載せずに、よく言えるな」
てことは一応見たことあるんだな。とはつっこまず、
「ここまで売れたのはアガ兄さまのプロデュースのおかげだよっ。ありがと!」
「ああ、かわいい妹のためならなんてことはない」
販促に関してはプロのアガ兄さまに一任した。
「あれ、アガはやらねーの?」
「誰がやるか。俺は貴様のような自己顕示欲の塊じゃない」
「お前も見かけだけはいいんだからさ、いい写真撮れるぜ」
「んー、でもやってるの兄弟ではネビロスだけだよ」
「兄貴とルガはやるわけねーよ。レティは男友達とつるむほうが楽しいって奴だしな。ネビロスはあれだろ、愛しのリリーちゃんにアピールしたいんだろ」
ナキア兄さまがリリーちゃん知ってたのは驚いた。
「知ってたの?」
「兄弟の女性関係は一応把握してるぜ」
ああ、主にアガ兄さまの後始末のためにね。
「孤児院時代からってことは、十年以上片思い。かわいそ」
「それはオレも思う。あんまグイグイ押すなって忠告はしたぞ? ま、後は本人次第だな。嫌われる原因はあいつの子供っぽい言動だった。がんばって地道に挽回するしかねーよ。ほら、リリス、タルト食うか?」
「食べる食べるーっ。ルシファーもアガ兄さまもルガ兄さまも食べよっ」
仕事中のルキ兄さまとレティ兄さま、ふらっと出てったネビロスの分はとっとこう。
「ふん、料理の腕だけは悪くないな」
「素直じゃねーの。正直に美味いって兄ちゃんに言ってごらん。ほれほれ」
「黙れ」
アガ兄さまはじろりと睨んで出て行った。でも完食してる。
「アガ兄さま、あんなんじゃせっかく見つけたお嫁さん候補逃げちゃうなぁ。アイリスさん」
「ああ、『盲目の美人ピアニスト』か」
さすがよく知ってるね、ナキア兄さま。
「…………?」
ルガ兄さまが無言で首をかしげる。ルシファーが写真入りプロフィールを出し、見せた。
「あの子、ピアノだけじゃなく歌も上手いんだぜ。落ち着いた清楚系美人だよな」
「そうなのっ。すっごく綺麗で優しくて。義姉にほしいなーって。ルキ兄さまが合うと思ったんだけど、ルシファーがアガ兄さまのほうがいいって言うから」
「そうだな、正解」
「大丈夫かな、触ったら壊れちゃいそうなくらい儚げな人だよ?」
「目が見えなくてもあそこまでのピアニストになれた女性だ、芯は強い。アガの不機嫌も柳に風と受け流すだろうよ。それから言っとくと、アガの奴は相当のメンクイだ」
歴代の彼女の写真を見せてくれるナキア兄さま。なんでケータイに画像入ってんだ、とは聞かないでおく。
「……すごいな」
美人ぞろいっぷりにルガ兄さまもつぶやく。
「気の強そうな人ばっかだね。肉食系っていうか、落としてみせる!みたいな気合がすごい」
「だから上手くいかねーんだよ。+と+じゃ反発するに決まってるだろ。真逆のほうが絶対いい」
なるほど。ルシファーもナキア兄さまもネビロスも言うなら間違いない。
「どうやって引き合わせる? 国家プロジェクトで演奏会やるんだろ、みんなで行くか?」
「うんっ。もう衣装も考えてあるんだー」
ふふふ。可愛い女の子って着せ替えがいあるわぁ。
「プロデュースならアガだって口実で何度も会わせられるぜ」
「うんうん、そこらへんの自然な持ってきかたはナキア兄さまに任せるね。あとはさりげなく二人っきりにするとか」
「…………」
ルガ兄さまがハードル高くてとまどってる。
「あ、ルガ、お前と兄貴は何もしなくていい。無理すんな。こういうのは向いてるオレとネビロスが動くから」
「……分かった」
「さーて、衣装作るぞ! 行こっ、ルシファー。次にネットにアップする紹介記事も考えないとねっ!」
妄想を現実にすべく、あたしは颯爽と仕事場へ向かった。




