5.手ががり
「見つけました、アル様!このふざけた手紙はなんなんですか。理由を聞かせてくださいまし!納得が行くまで許しませんわ!」
俺を見つけた途端に黒髪蒼眼の美少女が飛び込んできた。
「アリシア、その手紙のことは俺は知らないがその話は今のアルには分からないと思う。」
どうしようか悩んでいると隣から助け舟が出た。
「レオ様それはどういうことです?」
アリシアと呼ばれるこの少女は怪訝そうな顔をした。
「アルのやつ、自分のことについて何も思い出せないらしいんだよ。ソフィ先生によると記憶がスッカスカらしい。」
「……。」
こっちを見たアリシアになんとなく目を合わせることができなかった。
「そ…そんな…嘘…じゃあ、この手紙は」
アリシアというこの少女は顔面蒼白になってへたりこんでしまった。
「…アリシアの気持ちは俺では少ししか分かってやれないがまずはアルのために自己紹介でもしないか?俺もさっきまでこのアルが魔物が化けた偽物じゃないかと疑ってたから自己紹介まだなんだよ。それで記憶も多少は戻るかもだし。」
と、赤茶の髪の少年が提案した。
「わかりましたわ。記憶が戻ったら伝えないといけないこともありますし。」
アリシアは少し不機嫌そうに言った。
「伝えないといけないこと?」
赤茶の髪の少年が聞き返した。
「この手紙を見たらレオ様なら多分なんとなくわかると思います。」
アリシアが持っていた手紙を渡した。
「ん?これ?」
手紙を受け取ると読み始めた。
軽く目を通して、『…あぁ、アルらしいけどこれは…アリシア一言だけですむ?』と言いながら手紙をアリシアに返した。
「ノーコメントです。」
アリシアはとてもいい笑顔で言い放った。
「ははは、じゃあとりあえず自己紹介といくか!まずは、俺からな。と言ってもさっきからさんざん呼ばれてるから名前はもう知ってるだろ?」
「あぁ、レオンハルトだっけ?」
俺は思い出しながらいう。
「おう、俺はレオンハルト・フォン・シャンドリア。レオでいいぜ。
一応公爵家の3男で跡継ぎは優秀な兄がいるから、卒業後お前と一緒に冒険者として旅に出る約束をしているから置いてくなよ。
始めてあったのは六歳の年の秋頃だったな。
この国に来たお前に父上が魔物から助けられたと聞いてめっちゃくちゃびっくりしたのを覚えてるぜ。
とまあ、だいたいこんなとこだな。」
(…なんだろう、さっきから何かが引っかかる気がする)
「その話なら私もお父様から聞きました。学校入学前の六歳の子供が魔物の群れから公爵一行を救ったって。アル様の事だったのですね。」
何か思い出せそうな気がする。
が、あと少しというところで出てこない。
「あれ?レオ?…レオ…なんか、俺は…いや、僕は?…そうだ僕だ…僕は、言うことがお前に…うぅ、ダメだはっきりとわかんない。あ、頭痛い。」
俺は、何かあった気がするのだがこれ以上は思い出せなくて思い出そうと考えると頭痛が襲ってきた。
「アル様!?思い出せそうですか?でも、顔色がどんどん悪くなって。」
と心配そうにアリシアがいう。
「おい、アル大丈夫か?すごい汗だぞ。」
同じく心配そうに赤茶の髪の少年ことレオがいう。
「大丈夫。アリスの自己紹介お願い。」
頭はガンガンと痛かったが、そう見えないように笑って言った。
さっき少し思い出した記憶によると、僕は演技は得意だったようだ。
この二人を誤魔化せるかは分からないが。
「えっ、アリスって思い出したんですか?」
アリシアが期待の眼差しで見つめてくる。
「あっ今の僕が勝手に読んだらいけないよねごめん。」
そう、それで以前怒らせて、仲良くなるのに時間がかかったんだっけ。
「さっきレオとソフィ先生といた時にアリシアって聞いてアリスって呼び方は思い出してたんだけど、あとはさっぱり。まだ記憶は少ししか戻ってないけど、それでも"アリス"って呼んでもいい?」
俺がそう言うと、『もちろんです!』と目に涙を溜めて笑った。
(あぁ、アリス可愛い。)
「ごめんね。泣かせちゃったね。」
俺はアリスの涙を手ですくいとった。
(記憶が無くても一緒みたいだ。僕はアリスが大好きだ。)
「アル様…」
アリスとじっと見つめ合いまた、何か思い出しそうになったその時。
「ごほんっ、お前らそういうのは二人きりの時にやってくれ。そしてなんで、そういう記憶ばっかり思い出すんだよ。」
甘ったるい雰囲気が出だしたとレオのストップが入った。
「忘れてるかもだけど先生もいるからね~。」
と白衣の女性ことソフィ先生。
「そ、そそそ、そうでした。わ、私の番です!私は、アリシア・フォン・グランリーフこの国の第一王女です。そ、その、アル様の婚約者です。アル様は平民だから駆け落ちしか無理だと、正式なものは諦めていたのですが、アル様がお父様と話をつけてくれて、平民であるはずのアル様との婚約を何故か認めてくださいましたの。」
と、後半から早口で嬉しそうに語りだしてしまった。
「えっ、あれってアルが陛下を説得したのかよ。俺はてっきりアリシアが陛下に、駆け落ちして出ていくとか、アルならすぐ上位貴族になるだけのことをするから大丈夫!とか言って説得したのかとばっかり思って―――いや、何でもないです。すみませんでした。アリシア様。」
途中でアリスからの無言の圧力に負けてレオは黙った。
「私も詳しくはアル様が教えてくださらなかったから知らないのですけど、あれ以降お父様のアル様に対する態度が手のひらを返したように好意的になって驚きを通り越して恐怖すら感じましたわ。でも、本気になったアル様の怖さや私への愛を実感してますます―――「ストーップ」」
レオが止めた。
良かった。まだ、記憶がないはずなのに少しほっとした気がした。
「アリス、その持ってる手紙少し僕にも見せてくれない?何か引っかかるんだよね。その手紙。」
僕はアリスに頼んだ。
「いいですわよ、これで記憶がまた戻るかも知れませんし。」
そういい、アリスは手紙を渡してくれた。
(やっぱり…これ)
さっきからこの手紙に違和感を感じる。
この感じは、森で読んだあのふざけだ手紙と似た感じだ。
あの手紙には、魔力で声を込めてたからあれが魔力の違和感ならこの手紙も多分破けばあるいは何か手ががりがあるかもしれない。
そう思い、僕は手紙を読んでみることにした。
読みにくかったらすみません。
小説を書くのは難しいです…。