プロローグ
え、と今度は違うジャンル書いてみようとおもって書きました
こちらもよろしくお願いします!
高校一年も終わろうという春
私、天野霞は誰もいない夕方の教室で泣いていた
「うっ、ぐっ、なんでっこんなことに、」
事の始まりは些細な事だった
一週間前クラスのグループチャットで起きた小さな出来事だった
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シンゴ(このクラス終わる前にみんなでどこかいこーぜー!
ミチオ(おーいいねー
サチコ(あたしデズニーランドとかがいいなぁ
シンゴ(デズニーいいじゃん
ミチオ(行ける人連絡くれよな♡
シンゴ(キモっw
ミチオ(www
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そこから先もグループのチャットは続き行ける人はみんな連絡したらしい
だけど、このグループチャットが行われていた時間帯に私はちょうどバイトの真っ最中で
来たメールに気づくことも返すこともできなかった、
そのメールに気づいたのはバイトが終わった3時間後だった
「な、なにこれ、、、」
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ミチオ(カスミから連絡こねーんだけど行かなくていいってことかな?
シンゴ(こんだけ時間たってんだからそういうことじゃね?既読もつかないし
サチコ(つか未読無視はないわー
ミチオ(じゃカスミ抜きでデズニー行くかw
シンゴ(こんなに返ってこないんじゃクラスなんてどうでもいいんだろ
サチコ(えっ、最低じゃんそれ
てか、前からさぁ〜〜………
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そこからは酷いものだった
有りもしない誹謗中傷を投げかけるクラスメイト
いつの間にか私はクラスの中で悪者になっていた
「まっ、待って!私そんなつもりじゃ、」
ふと漏れ出た言葉
気づいた時には画面がぼやけていた
もう、よく画面がみえない
いや、みたくない
見てしまったらもう立ち直れない気がしたから。
そう、そして今日も一日みんなの非難するような視線を一身に受けて過ごした
時々、こそこそと有りもしない悪口に怯えたりしながら生きた心地のしない一日を過ごした
「もう、いや」
後悔と自責の念に苛まれそんな言葉が口から漏れる
それこそ本当に自傷行為や早まった行動に出てしまうような思考が頭をよぎり始めた
全て、その時すぐ私が返信していたらこうならなかった
私が全部悪いんだ、とそう自己完結した
その時だった
この瞬間を、私はこの先忘れないだろう
ガララッ
突然、ドアが開けられ誰かが入って来た
だが机に突っ伏している私からは
「ん?天野さん何してんの?」
「雅野くん…」
雅野くんはクラスでもかなり目立つグループの男子の1人だ
特徴的なのは他の男子と同じようにバカ騒ぎすることはあっても
毎回テストで総合トップ5に入る秀才だというとこだ。
面識はあるにはあるが、
同じ環境委員会に所属しているというだけであまり話したことはない
雅野くんが心配そうにこちらを覗き込んでいることに気づき
私は、ぐしっと目尻をぬぐい
「なんでもないよ!」
そう強がりを言ってみせた
「もしかして、、」
と雅野くんが口を開く
やめて、言わないで
「クラスのグルで起きたあの事?」
あぁ、やっぱり、雅野くんも私のこと嫌いなんだ、
もう、だれも私の味方いないや、
そう考えていると
「俺はアレ天野さんが無視したわけではなくて何か事情があったんじゃないかって考えたんだけどなぁ、バイトとか家族の用事とか」
「え、」
「いや、だって天野さんいつもちゃんと返してるし何より、
未読無視なんか出来ないくらい優しい性格してるしね」
なんか、自分を見透かされてるみたいだ。
でも、そんなことより、まだ自分を悪者扱いしてない人がクラスにいるって分かっただけでとても救われたような気分になった
「そ、そうなの!私その時間ちょうどバイトで、、終わった頃に来てたのに気づいて、それで、、」
そこで言葉が詰まってしまってそこから先の言葉が出てこない
い、言わなきゃまた誤解されちゃうかもしれないのに、
出てよ!!!!
こんなにも必死なのに、言わなきゃいけないのに、
口に出すことでまた自分を傷つくことを恐れて言葉を出すことが出来ない
「天野さん」
いよいよ雅野君も呆れたのだろうか、
唐突に口を開いた
私はそこから紡がれる言葉が怖くて耳を塞ごうとした
でも、塞ぐ前にその言葉は私の耳に届いた
「助けて、あげようか?」
「え、?」
一瞬、雅野くんが何を言ってるのか理解できなかった
「あまり気は進まないけど、いつも天野さんクラスの見えないとこで頑張ってくれてるし、何より今回のは天野さんがあまりにもかわいそうだからね」
「た、助けるって、、そんなことができるの?」
「うん、ただし2つ条件がある」
「条、件?」
「そう、条件
1つは僕に天野さんのスマホを貸してもらうこと
そして、もう1つは僕が操作した履歴を全部天野さんのスマホから消すこと」
よくわからない条件だがそんなもので救われるのなら安いものだと私はその条件を了承した
「じゃあ、天野さんのスマホを貸してね」
「う、うん」
私は雅野くんにスマホを手渡す
スマホを手渡された雅野くんは一呼吸おいて一時思考するような表情をみせてから、その指でスマホのパネルを打ち始めた
何をしているのか私はわからないまましばらく待った
「、、!」
(雅野くんってこんな表情するんだ)
雅野くんの表情はいつになく怒っているように見えた
雅野くんがふっと息を吐いた
そしてそこからまた少しパネルを弾いて
少し和らいだ顔になった
「終わったよ」
画面をスリープさせた状態で私の手元にスマホが返された
「あ、ありがと」
実際、雅野くんがなにをしたのかがわからないのでお礼を言うのが正しいのかはわからないが
取り敢えず言わなきゃいけないような気がした
「うーん、あと4、5分くらいかな」
「えっ、なにが?」
「天野さんにとっていいことが起こるまでだよ」
雅野くんは晴れるような笑顔をこちらに向けて言った
それが何なのかを聞きたくて私は質問しようとしたがその前に
「あっ!いっけね、、筆箱忘れたから戻ってきたけどこのままじゃ塾間に合わない!じゃあ天野さん!」
「え、は、はい!」
「また明日ね!」
私が「また明日」と返したときにはもう雅野くんは教室のドアを開けはなって廊下を走っていた
「なにがいい事なんだろう、、、」
疑問に思った私は試しに4、5分まってみることにした
すると、、
ピコンッ
私のスマホが通知を知らせた
その通知画面が目に入った瞬間
「え、、」
ふと漏れ出た言葉
気づいた時にはもう画面がなにかで滲んでいた
だけどこれは悲しみで滲んだんじゃない
あり得ないほどの驚きによるものだった
それを目にした時
ここまで溜まってきた苦しみが許された気がしたから
湧いてきた通知は全てクラスメイトからの謝罪の言葉だった
サチコ(カスミ!ほんとごめんね!
私、勝手にイライラしちゃって、、、
ほんとごめん!
ミチオ(アマノ!マジスマン!
変に穿った見方したりしちゃって!
許せとは言わない、マジで悪かった!
シンゴ(俺があんな風に焚き付けなきゃこんなことなんなかったよな、
ほんとすまなかった
数分前まで自分を憎んですらいたクラスメイトが謝っている
この事実がどうしても自分の頭の中で結びつかない
そうか、
「これが、いい事なんだね雅野くん」
ぽそりと1人そんなことをつぶやく
ブーッブーッ
通知が滝のように溢れてくる
「あっ!いけない!早く私も謝らなきゃ!」
その後、私はクラスメイトと仲直りを果たしたが
こちらからの謝罪のメールを送ってるときも頭の中にずっといたのは
雅野くんだった
新連載(?)でまだ先がみえないのですが
読者の方々にお願いです
2017年一杯「迷惑だったメール&嬉しかったメール」を募集します
作中でつかえるメールは使っていくつもりなのでドンドンご応募ください!
あなたのメールが作品にでるかも!?(.図々しい作者(殴
応募の方法は作品にコメントする又は
活動報告にて毎週日曜日の夕方七時に募集する機会を設けるのでそちらにコメントいただければ幸いです!
ちなみに本作品は毎週日曜日の夕方8時に投稿されます