案内
国連大学とはこの世界における人類すべての叡智を凝縮させた場所と言ってもいいだろう。すべての国が歴史から魔術、異能、科学を共同で提供し、すべての国から一定数生徒が集め学ばせる。当然選ばれる生徒はみな”普通”ではないだろう。
そんなことを考えているとすぐにアメリカからスイスに来ていた。基本、師匠と行動を共にしているので俺にとって国と言う概念は何の意味ももたない。毎日のように正規のルートを使わずに世界中回るし、パスポートは当然偽造。いや、ほんと常識ってなんだろうね。
「進藤蓮斗様ですね?」
荷物もほとんどないので飛行機を素早く降りスイスの空港を出ようとしたら不意に背後から声をかけられる。振り返るとメイド服を身に纏う女性が立っていた。
「...どちら様ですか?」
十中八九考えられるように今回俺がIUに入るように仕向けた奴の従者であるので、警戒心を持ちつつ丁寧に返答した。
「私はメイコフ様に仕えるメイドのアリスと申します。進藤様を学園までお連れするようにと。」
メイコフって学園理事だろ...
師匠がによくもまあ貸しを作れたものだとは思ったが、相手が世界の叡智と呼ばれる学校の理事ならと納得もする。
ため息をつき心底めんどくさい表情を見てか一つ間を置いてメイドは口を開いた。
「では、IUまでお連れします。」
程なくして目的の場所に到着する。
「さすがだな...これは」
入る前からわかっていたが...
大きな門からただ広い通りが一本通っておりその先には城とも呼べるものがある。
両脇はきれいに木が並んでおり、城のような校舎の前にでかい噴水まであった。
けれど、気になることがある。同時に嫌な予感。
「あの...人が全くいないんですけど。」
メイドが立ち止まる。そして
「はい。今から主人がお見えになりますので。」
瞬間、メイドが目の前から突如消え、
俺に雷の矢が降り注いだ。
地面を蹴り舌打ちひとつ。身体強化を発現する。本当はオリジナルの方ならすぐ終わるのだが、
それだと殺してしまうかもしれない。
「しかたがねぇな。ちょいと痛いけど。」
俺は”わざと”矢に貫かれる。左肩が焼け、痛みが脳に伝わる。そして指をならす。
___損傷”因果反転”
攻撃がやむ。
「はぁ。服が破けちった。」
俺の学生生活の雲行きは思ったより暗いらしい。
最初から明るい未来なんて期待してなかったけど...