1話 異能の世界にようこそ
「早く、立ちなさい。蓮斗。」
ボロボロになった俺を見下ろしながら女は言う。
この女性は俺の師匠だ。名は進藤=レジーナ=聖華。世界で最も自由な異能力者であり、最も扱いづらいらしい。見た目は生粋の日本人なのに好奇心の塊みたいな人だ。
この人が俺を孤児院から引き取り10年間鍛えてくれた。お陰様で世界中のテロ組織や紛争を渡っても生きていける人間になった。......不本意ながら。
ジト目で師匠を見ていると不満に思ったのか悪戯に笑い絶望的な一言を放つ。
「もう一戦ね。基礎能力Cだけで乗り切りなさい。」
俺は今日、死ぬかもしれない。
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話は変わるが、この世界では異能がある。持ってる人は生まれながらに持ち、自分の能力をコントロールできれば能力者試験を受ける。能力者のレベルはS~Cに分かれていてCですら認められば一生生きていけるだろう。
異能力者が異能を使う為には魔力のような力が必要で一般的にMC値と呼ばれている。
MCを体内から体外へ放出、体外で変質、発現のプロセスを経て初めて異能という。また異能はMCを持つものなら全員が使える基礎能力C、家系や個人によって別れる基礎能力B〜Sがあり特殊技能と呼ばれる。特殊技能は属性系、変化系、オリジナルの三種に大まかに分類される。この話は追い追いやっていくとして......
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数分間という短い戦闘で俺は師匠に傷一つつけられないまま意識を手放した。