第9話 土国の選ばれし者
作者です。読んでくださり、ありがとうございます。毎回のことですが、面白かったらお近くのご友人にも薦めて頂けると嬉しいです。
「アンタもしかして水の国の選ばれし者?」
「え?あっ、はい。そうですけど」
「なぜわかったんですか?」
「うちの王様から特徴を聞いてたからよ」
「任務のことは知ってますか?」
「えぇ。知ってるわよそりゃ」
「じゃあ、あなたがこの国の選ばれし者なんですか?」
「この話の流れでそうじゃないと思う?」
オラリアは驚いた。探していた人がすぐ目の前にいるとは。驚きのあまり足が仕事を忘れ、オラリアはその場に崩れ落ちた。
「ちょっと!あなた大丈夫?」
イレーネは気遣ってくれたが、オラリアはそれどころではなかった。
「ほぁ?へふ」
(こいつ絶対やばい奴だ。)
イレーネはおかしな言葉を発するオラリアを見て、確信を得た。水の国の王は変わっていることで有名らしいが、水の国の民は、それと同等。もしくはそれ以上の変人なのかもしれない。
「そんなことよりっ!アンタさっきまで普通にしゃべってたのになんでいきなりおかしくなったの?」
とりあえず、目の前にいる変人を一発ひっぱたいてみよう。治るかもしれない。
「ごめんねっ!恨むなら自分の国の王様を恨んで!」
パチンッ!という音が門前広場に響き渡った。
「ハッ!私はいったい何を?」
「あんたは私が土の選ばれし者だってわかったとたん、おかしくなったのよ」
(う~ん、そうだったかな?うまく思い出せない。)
「さっきの記憶がないのはなぜでしょうか」
「一体、なんでだろうね~アハハ…」
イレーネは下手くそな演技で知らない風を装った。
「そんなことよりっ!あなた、名前は?」
「あっ!そうだった。私の名前はオラリア=フェルツァといいます」
「私の番ね。私の名前は、イレーネ=クオラっていうの。これからよろしくね!オラリアっ!」
「はっ、はい。よろしくお願いします」
「さっきから気になってたんだけど、その敬語はなに?見たところ、オラリアって私と同じぐらいの年よね?年を教えてくれない?」
「十六ですけど…」
「なんだ、私と一緒じゃない。それなら、敬語はな~し」
「でっでも私は敬語が染み付いちゃってるから、そっ、そのうまくタメ口?っていうのを使えないんです」
「じゃあ、ついでに"でも"も無しにしまーす」
「えぇ!?」
「敬語ばっかり使ってると、そのうちナメられるよ~?」
「そっ、そんなことあるわけ…」
「ある。のよ。私だって好きでこのしゃべり方をしている訳じゃないんだから…」
「って!こんな話はいいのよ!とにかくっ!敬語は禁止!わかった!?」
「わっ、わかりました!」
妙な気迫に負けて、頷いてしまったが、本当にこれでよかったのだろうか。
「じゃ、自己紹介もほどほどに土の国の王様に会いに行きますか」
考える間もなくイレーネにオラリアは手を引かれ、城へと向かった。
作者です。読んでいただいた方々、ありがとうございます。
これからも書いていきます。
よろしくお願いします。