告白
「イケメンって、あんなのですか?」
二人きりになったところで毒を吐くと、彼女は下を向いて肯定した。
質問したことを後悔し、逃げれる場所を探してレジの残高処理を始める。
ダメだ、頭に血が上っている。
一人になりたいが、さっき休憩にいったばかりでそれも叶わない。
ため息を吐いたとき、宮川さんが俺の神経を逆なでした。
「榎本、ヤキモチやいてる?」
なにいってんだ、この人は!
ここで「はい、そうですよ」と肯定出来ればどれだけ楽だろう。今まで抱えていた気持ち、もどかしい恋心をぶつけることが……
出来るわけがない。
だって気持ちを伝えることは同時に、この関係が崩れることを意味する。
「ヤキモチ、ですよ?」
だけど口から出たのはそんな言葉だった。
「ヤキモチやいてますよ。俺、あんたのこと好きだから」
ついでに余計な一言まで加えて。
表情を読まれないよう、指先以外の動きをとめ、小銭を数える。
無言。
なぜだ、おかしいだろう。どうして宮川さんはなにも言わない?
反応らしい反応も見せない。
勢いとはいえ告白されたんだぞ、あんた。それに対する返事はすべきだろう。
あぁ、くそっ、また数がわかんなくなった。
これでもう何度目だ、再び残高計算を始める。
静寂が長すぎて、雑念を払おうと楽しことを考えようとした。
ダメだ。
楽しいことを思うと、その殆どが宮川さんに結びつく。
ホント、俺、情けないほど彼女が好きだ。