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転生

目を覚ますと、そこはどこか吸い込まれそうな白い部屋だった。


窓の方へ視線をやると、カーテンが掛かっていた。

部屋に光は届かない。

この部屋で明かりを付けているのは、ランプだけ。


――その時。


コンコンコン。


ドアを叩く音が、暗い病院の奥底まで響いた。


部屋にいる子が返事をする前に、扉は開いた。


「おはよう」


「……うん」


少年はそう言いながら、首を縦に振る。


「元気?」


そう言われた少年は、首を横に振った。


「そっか」


暖かい口調で、看護師はそう言う。

彼女はどこか、悲しそうだった。


「な、ん、か、あ、た、の……」


その言葉は、彼の精一杯だった。


「うんうん」


その言葉を聞き彼は何かに気づきそう言った

「ふーん」


「あ! 絵本でも読む?」


「……うん」


看護師はその言葉を聞くと、本を取り、読み始めた。


「昔、昔、あるところに――」


――その時。


すごい音が聞こえた。


隣を見ると、心臓を抑えながら倒れている少年がいた。


「誰か! 誰か来て!」


病院全域に響くほどの、大きな声だった。

しかし、その日は自分しかいなかった。


「大丈夫、絶対に助けるから」


「……うん」


涙を流しながら、そう言った。


「はぁ、はぁ……」


「息が」


その言葉を聞いた瞬間、

迷わず首回りを楽にし、体勢も変える。


少年は、少し楽になったように見えた。


――その瞬間。


その頃、少年は――

生と死の、境目にいた。


看護師は少年の腕を握る、


「はぁ……はぁ……」

(そこにいるの)

(どこにも行かないで)

その少年の性一杯の言葉は看護師に届かなかった

意識が途切れかけたその時


「大丈夫、絶対に助けるから」

その声で少年の意識が再び戻った


「……うん」

そのか細い声が確かに聞こえた


看護師さんを見ると涙を流していた

「……っ」

(泣いてる?)

(何で)

(誰が泣かしたんだ)

そう思い、思考を巡らせた瞬間


「……っ」

(息が出来ない!)

「息が」

「はっ……は、ぁ……っ」

その声は確かに小さかったけど確かに通じた

「はぁ」

(息が出来る)


――その瞬間。


その時、胸に痛みが走る

その痛みはいつも感じてる痛みよりまし

だった

けど少年は何かに気づく

最後が近いと。


少年はそう思った瞬間

深く深くそう思った

死にたく無いと


まだ死にたくない。

死ぬ


いやだ。

いや。

いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや。


死にたくない。


その希望が天に届く事は無かった。


「……っ」

その時に気づく

看護師が少年の手を硬く握っていた


それが最後に見た景色だった。


---


「はぁ、はぁ、はぁ……!」


看護師は焦っていた。

彼の心臓に、必死に心臓マッサージをしている。


――そう、彼の心臓は止まっていた。


「はぁ、はぁ……!」


生きてるはず。

生きてる……?


いや。


生きてる。


「……っ」


彼女は泣いていた。


「生きてくれよ……お願いだから……本当に……」


「かんごし、さ……ん」


「ん?」


「ね、ね……」


ぴー ぴー ぴー


その音が、無情に鳴り響いた。


「生きて……な……い」


――その瞬間。


短い人生に、終わりが告げられた。

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