合流/転送
※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
物語構成・設定・最終調整は作者によるものです。
(……やっぱり、無理ぃぃ)
ロビーにいるだろう幼馴染二人と合流しようと、スポーン地点の人混みに行こうとしたが、再び壁際で頭を抱えていた。
(……そもそも、二人がいるとは限らないし……キャラメイク遅くなるかもとか言っていたし……)
晴海はおしゃれにこだわるタイプだから、キャラメイクをかなり作り込む可能性があるし……
空馬はRPGをよくやるから職業やスキルを選ぶのに時間がかかるかもしれないし……
そんなことを考えながら、隅で蹲っていた。
すると、
「……あの」
と声が聞こえた。
一瞬、肩がビクッとなったが、わたしではないだろうと顔を上げなかった。
(……これは、一回落ちてチャットで連絡しようかなぁ)
と、現実逃避じみたことを考えていた。
「そこで、頭を抱えてる白髪のエルフさん!!」
先ほどと同じ声が聞こえた。
(わたし以外にも……そんな人がいるのかぁ)
と顔を上げると、目の前に女性が立っていた。
顔を見ると、深海のような群青色の長髪のエルフが腰に手を当ててわたしを覗き込んでいた。
目は、澄んだ橙色をしている。
わたしの顔を見ると、その女性は少しホッとしたような表情を浮かべた。
「わわわわ、わたし……ですか?」
「そう、あなたよ。頭抱えてたからVR酔いでもしたのかなって心配になったの……」
「だだだ、だいじょぶでふ!!ししし、失礼しまふ!!」
わたしは思い切り噛んでしまった。
恥ずかしくなって、顔を手で覆ってその場から離れようとした。
すると、その女性はわたしの腕をソッと掴んできた。
わたしはその手を外そうとしたが、その前に彼女が口を開いた。
「あなた、ふわわよね?」
「……ゑ?」
なんで、この人は――わたしのプレイヤー名を知っているのだろうか。
PVOは頭上に名前が出ない仕様だし、
わたしはまだ名乗っていない。
なら、教えてない名前を知っているのは……現実の知り合いしかいない。
「……はる……セイ、カ?」
危うく本名を呼びそうになったが、咄嗟にプレイヤー名で呼ぶと女性は満足そうに頷いた。
「良かった!合流できた!!」
「う、うん。良かった」
わたしはホッと息を吐いた。
「おお〜見つかったか?」
セイカと話していると、その背後から男の声がした。
夕暮れのような深い橙色のウルフカットに、澄んだ蒼色の瞳をした人間の男性だった。
わたしは思わず、セイカの影に隠れる。
男性はわたしの様子を見て、頭を掻き、困ったように笑った。
「あ〜〜ふわわ?オレだよ、オレ、クウマだよ」
「……ふぇ?」
わたしの惚けた声を聞いたセイカがクスクス笑っている。
「クウマ、あんた現実と違いすぎてふわわに怯えられてるじゃん」
「セイカも人の事言えんだろ!ふわわに逃げられそうになってたじゃん!!」
「「何を〜(よ〜)!」」
二人が睨み合いを始めたのでわたしはセイカの背中から出てきて、二人の手を握った。
突然のことで、二人の睨み合いが止まったようだ。
「……二人とも、カッコイイし、かわいい……よ?」
わたしが首を傾げながらそう言うと二人揃って目を片手で抑えて、天を仰いでいる。
「??」
わたしが疑問符を浮かべているとクウマが顔を逸らしながら口を開いた。
「……そろそろ、受付に行こうぜ」
「……そうね、そうしましょう」
クウマは先に受付に向かい始め、セイカはわたしの手を引いて受付へと向かっていった。
二人の耳が赤い気がするけど、気のせいだろう。
わたしはふと思ったことを二人に聞いてみた。
「……よくわたしを見つけられたね?」
すると、セイカはなんてことないように答えた。
「ふわわの事だから人混みから離れたところにいるだろうと思ってたからね。
まさか、蹲ってるとは思ってなかったけど、分かりやすくて助かったわ」
「あれはちょっとビビったけどな〜」
二人の答えを聞いたわたしは顔を俯けた。
「……もしかして、目立ってた?」
恐る恐る聞いてみると、セイカは首肯した。
「多少はね?人がいない場所にポツンといたら、目立つのはしょうがないでしょ?でも、おかげで簡単に見つけられたわ」
「まあ、合流できたんだし、結果オーライってことで」
「……」
わたしの顔が熱くなってきた。
(まさか、目立ってたなんて……恥ずかしすぎる)
わたしはセイカの手を握る力が強くなる。
セイカはその様子に少し笑ってから言った。
「でも、ロビーの中央付近の人たちは気にしてないから、全員が見てたわけではないわよ。うちらみたいな待ち合わせの人たちが多少気にしてたくらいだよ」
「……その多少でも恥ずかしい」
わたしはさらに、小さくなった。
傍から見たら、連行中の犯人のような感じになっているだろう。
そんな話をしているうちに、受付に着いた。
クウマが受付の女性NPCに近づくと、すぐに声をかけられた。
「ようこそ、マグナリアへ!」
(……マグナリア?)
わたしは初めて聞いた名称が気になったため、セイカに小声で尋ねた。
「セイカ、マグナリアって?」
「マグナリアはこのゲーム世界の名称よ。一応パッケージとかにも書いてあったけど……」
そう言って、ジト目で見つめてきたので、わたしはその視線から逃れるように受付に近づいた。
クウマはNPCから簡単な地図とメモを受け取った。
わたしたちはみんなでそれを覗き込んだ。
地図の中央には大きなヨーロッパ風の城の絵があり、そこから東西南北にそれぞれ道が伸びている。
城の付近には「中央都市:セントリア」と書いてあった。
それぞれの道の端には町があり、赤く印がつけられている。
メモにはそれぞれの町の名前と簡単な特徴が載っていた。
【山麓の町:セプティス】
位置:マグナリア北部
特徴:鉱石・石材素材が豊富な山のふもとの町
難易度:★★
【落葉森の町:オリセヴァ】
位置:マグナリア東部
特徴:薬草やキノコが豊富な、木漏れ日の森の町
難易度:★
【常緑森の町:オキヴァラ】
位置:マグナリア西部
特徴:毛皮や牙素材が手に入りやすい静かな森の町
難易度:★★
【潮風の町:マリディア】
位置:マグナリア南部
特徴:海産素材に恵まれた、穏やかな海辺の町
難易度:★
わたしたちが地図とメモを確認するとNPCは言葉を続ける。
「こちらの四つのうちどれか一つの町からあなた達の生活が始まります。
なお、他の町に向かうには中央都市を経由する必要があります」
わたしたちはお互いに顔を見合わせた。
「どこにする?」
「【落葉森の町:オリセヴァ】にしましょう。クウマはガチガチの戦闘とかしたい?」
「程々でいいかな?イベントとかは参加できたらいいなくらいの気持ちだ」
「分かった。ふわわは?どこがいいとかある?」
「……わたしはのんびりできる場所ならいいよ」
「了解、なら【落葉森の町:オリセヴァ】にしましょう」
そう言ってセイカは受付に【落葉森の町:オリセヴァ】に行く事を伝えた。
受付の人が何か操作するとわたしたちの足元が光り出した。
「【落葉森の町:オリセヴァ】への転送を開始します
皆様の小さい一歩が大きくなりますように」
そう言って、NPCは手を振った。
小さい一歩が大きくなりますように。
……わたしの一歩は、きっと本当に小さいけど。
それでも。
この二人と一緒なら、悪くないかもしれない。
光が弾け――わたしたちの世界が、動き出した。
こちら、物語を再構成することにしました。
読んでくださりありがとうございました。




