再会
ここレイディアンス国は魔法国家でありながら、魔法を使わなくても便利で快適な生活ができる現代国家でもある。
反面 語り継ぐ者と呼ばれる永い時を生きる一族も存在する。彼らはその正体を隠し普通に生活している。彼らがレイディアンス国の歴史を見て伝え繋いできたと言われている。
あたし エイル・ロンジェヴィはその永い時を生きる一族の一人だ。
「あー 今日も一日頑張ったぞ!さあ帰ろう」
仕事を終えたあたしは一度家に戻り、家の近くのお気に入りのカフェへ行った。
中に入るとコーヒーのいい香りが漂っていた。その匂いでちょっと落ち着き 頼んだコーヒーを飲んでホッと一息ついた。
(ああ〜やっぱりコーヒーは美味しい‥安らぐ‥)そう思った。ついでに食事もしちゃおうってメニューを見ていたら
「あれ‥エイル嬢?」
顔を上げるとそこに前に親友のフローラと行ったパーティで会ったフォルセティ・ラングレー氏がいた。確かフローラの彼氏のカイの親友だって言ってた。
(本当はもっと前に会ってる。)心が呟く。
「えーと 確かラングレー氏ですよね。」
「うん そう‥よく覚えていたね‥ここ座っていい?」
「どうぞ…フローラの彼氏さんの親友だって聞いてたから‥」
「それで覚えていたのか‥」
「はい‥ラングレー氏こそよくあたしがわかりましたね。」
「もちろん 可愛い子は覚えているよ‥」
「それはありがとうございます。」
あたしは一回 頭を下げた。そして続けて言った。
「でもラングレー氏 本当はあたしと一緒で親友の彼女の友人だから覚えていたんでしょ。」
「まあ そんなところかな…ところでそのラングレー氏って言い方やめて名前で呼んでくれないか?」
「わかりました。フォルセティさん」
「それでよし!」
「ところで エイル嬢はどうしてここへ‥」
「ここ あたしのお気に入りのカフェなんです。仕事が終わって安らぎを求めてここへ来てコーヒー飲んでたんですけど、食事もしちゃおうって思ってメニュー選んでたとこなんです。」
「そうか。俺も一緒に食事しちゃっていいかな?」
「どうぞ‥」
「ご飯 食べたら二人でカラオケなんてどうだい?確か歌うの好きだったよね‥」
「はい 歌うの大好きです。でも二人だと彼女さんとかまずくないですか?」
「大丈夫 彼女も恋人もついでに奥さんもいないから‥俺 フリーだから‥」
「えー本当ですか?だってパーティ時 女性に囲まれていたじゃないですか?」
「いや 囲まれていても いないものはいないから‥そういうエイル嬢は彼氏いるの?」
「いないですよ。あたしこそ正真正銘フリー‥いわゆる独り身ですから‥」
あたしは笑いながら言った。心の中で(これ以上はいけない‥ダメだ)と警告音が鳴っている。
「ところで 聞いたかな‥言っちゃっていいのかなあ‥」
フォルセティさんがちょっと悩んでいるようだったのであたしから言った。
「もしかしてフローラとカイの事ですか‥?」
フォルセティさんが頷く。
「婚約した事‥ですよね」
あたしが言う。
「そう‥やっぱり聞いたんだ‥」
「ええ 聞きましたよ。婚約したその日に‥」
「俺もだ‥」
二人は笑う。
そして食事を終えてフォルセティさんの車でカラオケにと移った。
(こんな風に会っていちゃいけない‥そんなのわかってる‥わかってるけど…もう少しだけフォルの側にいたい…想いが溢れてくる…)
カラオケで朝まで楽しい時間を過ごした。そして帰りは家の近くのコンビニまで送ってもらった。
「あのパーティの時から思ってたけど俺達って気が合うね‥」
フォルセティさんといると楽しいのも気が合うのもわかっているから
「そうですね。」
と素直に答えた。
「今度また一緒に行かないか?」
「いいですよ‥ではまたどこかで偶然会った時に‥今日はありがとうございました。それでは…」
あたしは車から降りて振り返らずにコンビニへと歩き出した。
部屋に戻って 一人 思う‥本当はフォルセティさんをずっと前から知っている‥彼は‥フォルは忘却の薬で覚えてないけど…
それからはお気に入りのカフェでフォルセティさんと合う事を避ける為に行く度に違うカフェに行った。フォルセティさんに会ってはいけないから‥会う事が多くなると彼に迷惑がかかるから…それはわかっていても会いたいと‥顔を見るだけでもと思うあたしがいる。




