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Femto Boy  作者: 弘田宜蒼
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孤立

 その少し前。中山家ではもう一つ大きな「事件」があった。父の譲一が、九月一杯で会社を依願退職した。まだ55歳である。


「オレは疲れた。もうお前達の面倒は看きれない」

 突然こう宣言された。給料をカットされ、尚且つ、入社以来の親友が上司とトラブルとなって退社した。この一件で、譲一も会社に不信感を持ったと、母の小枝子から聞かされた。


 家庭では家庭で、長男のうつ病は一向に改善しない。常に気に掛かり、歯痒くて仕方がない筈だ。

家庭にも職場にも、譲一の気の休まる場所はないのだと思う。この状況下にいて、譲一は何もかも一度リセットしたかったのかもしれない。


 辞めてどうするのかと思っていたら、小・中・高と同級生だった友人の農業を手伝いに行ったり、ふらっと一人旅に出たりと、悠々自適な生活に入った。

 小枝子は、譲一が退職した事に伴い、パートをフルタイムにした。それともう一つ。ママ友から習ったデイトレードに嵌り出したのだ。勿論高額な取引はしていないようだが、そこそこの小遣い稼ぎにはなっているらしい。


 弟の秋久は、心理カウンセラーを目指して国立大の心理学部に通っている。動機は、「兄貴のような子達を救いたい」からだそうだ。苛め・うつ病・引き籠もり……問題児な兄を、秋久は間近で見続けて来た。兄らしい事は何もして来なかったが、志という点では、兄貴も役に立ったという事か。


 3人はそれぞれの道を見付け、歩みを進めている。オレも何とかしなければと、アルバイトから始められる事務の面接を数社受けたが、悉く惨敗。

家族の中でも、オレは停滞してしまった。


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