それはそれ、これはこれ
4月下旬の土曜日。『カフェラテ』の打合せを終え、局の出入口を目指して加藤さんと廊下を歩いていた。人気が少なくなった時、
「奈美ちゃんの病気……」
加藤さんが徐に口を開いた。
「……癌なんだってさ」
「癌?」
「何処の部位かは解らないけど、さっき下平さんから聞いた」
「……そうですか」
「二十代って、そんな大病とは縁がないって勝手に思ってたけど、本当はそうじゃないんだな」
「……」
何を考える訳でもないが、自然と俯いてしまう。
「しけた顔すんなよ!」
加藤さんはオレの右肩に手を回し抱き寄せた。
「必ず元気になって戻って来る。そう信じようぜ! 今の事は他言無用だからな。SNSとかにも出すなよ」
加藤さんは笑顔で言った。オレも笑顔を作り、「はい」と答えた。
夜、『ルーム ナイト』の本番が終わり、24時過ぎに帰宅した。ポストを開けると、ミドからパーティの招待状が届いていた。部屋に入り封を開けると、中には場所と時間、地図が印刷された紙と手紙が入っている。
『毎日お疲れさまです。忙しいだろうけど、時間があったらぜひ来てね』
手紙を見詰めて考えた。マリッジブルーもあるかもしれないが、心根は幸せなのだろうミドと、希望を持ちつつ、病と闘っているのであろう村上。同じ時を生きているのに、運命って、不公平だな……。今の自分が出した結論。




