私生活
神谷君のように去る者あれば、再び会う者も。ナレ原で四苦八苦した翌日の月曜日の夜。舞田尚之から久しぶりにメッセージが届いた。
『元気にしてっか? 色々話あるからさあ、男同士侘しく忘年会なんてどうだい?』
今まで音信不通だったじゃねえかよ……相変わらず軽い。でも元気そうで安心した。しかし女ったらしのあいつが男同士って、どんな風の吹き回しか。
12月上旬の金曜日。
「もし良かったら、引越し、お手伝い願えないでしょうか?」
『ルーム――』の会議終了後、陣内さんに打診した。
「プライベートで先輩を駆出す気?」
笑顔だが、じろっと見詰められた。
「不躾なのは承知してます」
ここまで話を持って行くにも、随分勇気がいった。約10分前……。
「家を出ようと思ってるんです。もっと都心に近い所に」
「そう。でも23区内は厳しいでしょ?」
「ええ、郊外で探してます。自分の経済力の範囲で。年明けから(レギュラーが)2本増えますから」
1ヶ月前に坂木社長から、『カフェラテ』と同じ局の音楽番組と、某キー局のお笑いコンビのラジオ番組への構成を命じられた。
そんな事もあり、先月から暇を見付けては、不動産屋をあちこち回っていたのだ。
「仕事に合わせるのは良いけど、どうして急に?」
「自活したいんです。もう二十代半ばですし」
本心でもあったが、小枝子から逃げたい……の方が強かった。




