2話-2
―梟の鳴き声が響く夜(テフォンドール視点)
「…魔王様、奴の所属部署ですが、こちらでどうでしょう。」
夜の会議室、一際豪華な椅子に座った魔物は資料を確認しながら眉間にシワを寄せた。
「他部署をサポートする"事務役"?ふむ…
奴が人間でないと保証できたとはいえ…人間に寄せたられた人工物であるという保証は?過去に人間からそういった物が送られてきたのを、お前は覚えていないのか?」
「心体検査をしたところ、心拍や血管など身体は人工物ではないと断言できるレベルでした。なのでその点は大丈夫かと。」
(性別が違うから女の魔物にやらせたが……報告書や見る限りではその可能性はないに等しいだろう。人間どもの技術は侮れんが、まだそこまで到達してはいないだろうしな…。)
「ならいい。では奴を事務担当として認めよう。だが資料を見る限りでは魔力はあれど技術が無い。だから…そうだな、1年間程魔法学校に入学させろ。細かいことはお前に任せる。……この魔力量と習得速度なら1年で足りるだろう。」
「はっ、承知いたしました。」
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―すごく鈍い鶏の声が牢までと届く早朝(主人公視点)
「……ということで、お前には事務役が決まった。だが一旦は魔法の基礎を学んでもらうため、学校に行ってもらう。質問はあるか?」
朝早く、日が昇り始めた時間帯…まだ牢の中の私に会いに来たのは…テフォンドール。
重い瞼をひたすら引き上げながら話を聞いた。
「はい…分かり、ました…。」
(眠い、眠すぎて瞼が今にも落ちてきそう。)
「よし。細かいことはそのプリントに載せている。確認するように。数日後が入学式だからな。」
テフォンドールは牢の机に優しくプリントの束を置き、颯爽と去っていった。
彼は忙しいのだろう。こんな時間から資料を渡しにくるのだから。
プリントには、通う学校の地図、授業一覧、選択科目…どんな制度なのか等、様々なことが書かれていた。
「ふーん、やっぱり授業は魔法がメインなんだ。完璧すぎる入学案内だな…。」
当面の目標は目立たず、人間だとバレることなく基礎を学ぶというミッションをクリアすること。
(ド陰キャの私に目立たないは簡単なこと…。なんか悲しくなってきた)
「学校は寮制度と自宅から通うタイプがあるんだ…!私の場合は…あ、寮……そして相部屋…」
同室の人が同じような陰キャか、話しかけないタイプであることを祈ろう。
数日後、私は牢から出され、制服に身を包み…
魔法で学校前のテレポート駅まで来た。
現実世界の駅とは違い、各地点のテレポート魔法陣を起動させる者がいる、バス停のような場所なのだそう。
「ここが…国立モーグアーク魔法学校…!!」
学校の大きな門に向かって、初々しい顔をした若い魔物たちが歩いていく。私と同じ新入生だろう。
「ほら、早く行けよ…!オレが注目浴びちまってるだろ…!」
門の近くまでついてきてくれたのは、あの時のドラゴニュート。
道は分かっていたのに、
「心配だからよ」
と最後まで付いてきてくれたのである。
(優しい人だなぁ…)
「ありがとうございます、行ってきますね」
ファンタジー世界の学校という期待を胸に、門へ続く橋を渡っていく。
だが…完全に見た目が人間だからだろうか、魔物たちからの視線が痛い。
「おい見ろよ、人間じゃねぇか?俺の父ちゃん人間達に殺されたんだぜ…?何もしてねぇのによ。酷いじゃ済まされねぇ…。殺してやりてぇよ」
「私の弟は人質として連れ去られたの…」
ヒソヒソと話し声が私の耳に届く。
魔物たちが人間を極端に嫌う理由、
それは多分、この世界の人間が魔物にとって害であり、悪であるからだろう。
(ファンタジー世界は人間が正義で、魔物は悪…そんなテンプレが一般的だけど、この世界は逆みたいだな…。)
「………」
(今は話しかけたりせずにスルーしよう)
門を超えた先、そこには魔王城レベルで広い学校があった。地図で見たときより明らかに大きい。
渡り廊下、移動用の魔法陣…そして空を飛ぶ人達。
The魔法学校だ。
「ここが入学式の会場…私の席は…ここか。」
右に魔物、左にも魔物。足がありえんくらい震えている。
だが、壇上で校長らしき人が挨拶をして、その他諸々を終え、入学式は眠くなるほど平和に終わった。
会場を出る時、一人の教師と目が合った。大きな帽子を被った、魔女のような女性。
彼女はニコッと微笑み、視線を反らして別のところへ飛んでいった。
「綺麗だったな」
入学式を終えれば次は寮へ向かう時間である。
できれば行きたくない。城の牢から通学したかったくらいだ。
「ちょっと待って広すぎる…私の部屋はどこだ?」
魔物たちの視線が痛いどころかかなりダメージを負ってるので早く部屋に行きたい。
この学校に寮は3つあり、種族、性別によって分かれているらしい。
私は人型なので、比較的人型な魔物が集まる女子寮に振り分けられたようだ。
「部屋は5階だと!?運動不足の足を殺す気か!!」
「あれ?君がボクのルームメイト?」
「!」
ドアノブに手をかけ、部屋に入ろうとした直前…後ろから声をかけてきたのは、白髪に黄色のグラデーションがかかった髪、ふわふわした耳持つ、一人の小柄な少女だった。
お読みいただき、ありがとうございました!
山と谷を作るのに苦戦しております
ありきたりなお話にならないか不安でしょうがない
ですが頑張ります…!




