1話-1
初執筆です。至らぬ点もあるかと思いますが、温かい目で見てくださると幸いです。
――異世界転移。この素晴らしい言葉をあなたは知っているだろうか。
ファンタジー作品が増えている今日、知らない人は少ないだろう。
異世界に憧れを抱き、異世界転生・転移を夢見る人は少なからずいるはずだ。
そして私は今、見様見真似で魔法陣を自宅の床に描き、発動させようとしている。
空想の世界に思いを馳せ、時間を割くのは馬鹿げた事だと罵られようが構わない!
私は―――必ずや、異世界に…!!!
温かい陽の光…ではなく冷たすぎるほどの冷気を纏う風が吹いている。
体があまり動かない。眠っていたのだろうか。
「ここは、どこ…?まさか、」
成功した、そう言おうとした瞬間、何かが首に当たる感触がした。
明らかに金属だとわかるその物体が一体なんなのか、理解するまでに時間はかからなかった。
やらかした。
何故思いつかなかったのだろう。転移に成功したとしても、その地の生き物に敵対されない保証などないということを。
「貴様…人間か?」
「……(言葉を発するべきか)」
首に当てられた刃がどんどん肉に食い込んでいく。
普通に痛い。叫びそうなくらい痛い。
何か言わないと死ぬ!!!
焦っていると刃を突きつける男とは別の声が聞こえてきた。
「…殿、ここで殺してしまうと、少々まずいかと。」
(…殺す!?殺すって言った!?死ぬの!?私死んじゃう!?どうにかして誤魔化さないと…)
深呼吸してなんとか口を開く。
「……すみません、ここがどこか分からなくて、じ、自分が誰かさえも……」
首の刃が少し緩んだ気がした。
記憶喪失演技、上手いかもしれない。
「…、魔水晶を持ってきてくれ。
お前、後ろを向け。くれぐれも逃げようなんて思うなよ。」
(なんだ?なにをされるんだ…!?)
「手を出せ」
そう言われて振り返り見た景色は、信じられないものだった。
後ろを向いていたので知らなかったが、刃を突き付けていた男は、角が生えている明らかな人外だった。しかも高身長イケメン。
(この見た目ならアイドルとかできそう)
そして目の前には、ファンタジーモノお馴染みの魔水晶とやらが差し出されている。
(やっぱりここは異世界。そして私は転移に成功した…んだよな…?)
そんなことを呑気に考えていると、早くしろと言わんばかりに男がひたすらこちらを睨み付けてきて、かなり恐ろしいので、大人しく指示に従った。
魔水晶に手をかざした後、何か驚いたような顔をして、男は直ぐ様仲間と何かを話していた。たぶん私を殺すか殺さないか相談しているのだろう。
逃げないようにするための対策なのか、私は禍々しいオーラを放つ縄で木に縛り付けられている。
(さすがにこの状況で逃げないでしょ……。というかさっきあの男が使ってたの魔法だよな。かっこよすぎないか!?)
男はこちらを見たかと思えば、スルッと縄を解き、代わりに手錠を付けた。
これも魔法なのだろうか。
「貴様には魔力反応があった。このまま野放しにすることもできぬ故、拘束させてもらう。」
扱い酷くね?と思ったが、多分どの世界でもこれほど怪しい人物がいれば拘束するだろうなと納得してしまった。異世界ファンタジー脳である自分が憎い。
(ん?魔力反応?私が?…マジで??)
「不審な行動をするな。命が惜しくないのか貴様」
連行されていた頃の私は魔力という単語に浮かれ、2次元でしか見ないような、宙に浮いた城に案内されるとは思っても見なかった。
異世界ブラザーズ〜なんとなくで異世界転移〜
第1話読んでくださりありがとうございます。
初の小説執筆でかなり緊張しておりますが、楽しんでいただけていれば嬉しいです。
異世界ブラザーズの世界を、是非とも最後まで見届けてください。
今後も不定期で執筆予定です。




