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二度目の正直  作者: 夏菜木
第一章 一度目の結末
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episode 2 『還元された身体』

俺の目を覚ましたものは八時を知らせる古時計の金属音だ。


俺はどこか懐かしい部屋のベッドに体を預けていた。窓からは近くの木によって、所々遮られた光が差し込んでくる。今の光は俺に差し込んでいる。


久しぶりに眩しい景色を見た。ここは現世ではないのだろうか。


一度結末を迎えた俺の人生に、再び火がつくことはないだろう。


だが、俺には感覚が残っている。今こうやって考えることもできる。戦争の終結後とは思えない空気が俺を包んでいる。



キシキシと音を立てながら黒い何かが俺に影を落としてくる。


これは、俺の迎えを意味するのだろうか。


「いたっ、何だよ。俺はもう死んでいるのに。」


落ち着いて見てみると、それは俺が最後まで使った愛剣、もちろん悪魔との戦闘でも主戦力だった、

黒剣ウラヌス。


「お前もついてきたのか。愛剣は最後まで一緒か。今思えば、まともに手入れしたことなかったな。」


そう思って剣筋を眺めていると、その剣はまるで使われたことがないように、綺麗な状態で、光沢も残っていた。



どことなく違和感を感じた。



この剣を最初に手に取ったのは、ロルの村で受けた邪竜の討伐の依頼だ。


報酬として貰ったその剣は、一見すると芸術品のようで、できれば使いたくないとも思ったほどだ。


しかし、様々な戦闘で相当に劣化して、悪魔との戦闘のときには、傷が無い面を探すのが困難だったほどだ。


今の状態はまるで貰ってすぐの状態のようだ。どこか懐かしい。


「最後に見る夢がこいつとの出会いかよ。正直もっと見たい夢はあったのにな。」


その直後、ただの飾りだと思っていたドアが、開いた。



「起きましたか。おはようございます。タロウさん。」



俺は言葉を失った。


そこにいるのは、ここにいてもおかしくない、いるべき少女。


俺の目を、悪魔との戦闘中に覚めさせてくれた少女。


白くて長い、そして芸術作品そのもののような、まるで天からの迎えが来たと言わんばかりの少女。



ユウリ。



もう死んでいるということすら忘れてしまいそうなその姿に、俺は涙を流した。


「なんで、泣いているんですか。夢を見たのですか。」


「ユウリ、いつから俺に敬語を使うようになったんだ。そうしないって、、、約束しただろ。」


「でも、まだ会ってから二日目ですし、、夢に私がいたのですか。」


「おい、俺とユウリ、ゼファー、スクルドは半年以上も一緒にいたじゃないか。まさか、死んだ後に記憶喪失でもしたのか。」


「どうしたんですか。まるで本当に体験したかのように話しますね。タロウさんって結構リアルな夢を見るんですね。」


さっきの違和感は、的中したのか。


いや、そんなことはない。半年といっても、毎日一緒に寝泊まりをして、ご飯を共に食べて、くだらない談笑をしていたんだぞ。


いくら死んだ後だからって、俺にこの光景を見せる神は中々にタチが悪い。


消去法的にこの今俺が見ているものが現実だったとして、それをどう説明できる。


少なくとも理論付けることはできないだろうな。


でも、可能性に賭けることは、悪いことじゃないよな。


「おい、ユウリ。この剣を覚えているか。」


そういって俺はついさっき俺の頭に落ちてきた剣を見せた。


「覚えているもなにも、昨日、私達が邪竜討伐の報酬にもらったものですよ。私は剣を使えないので、タロウさんに譲りました。タロウさん、子供みたいに目を輝かせて、私が止めるまで、試し切りをやめませんでしたよね。」


確かにその通りだ。思い出したくないことも一緒についてきたが、ウラヌスとの出会いを忠実に言い当てている。


だが、気になる点はあった。


「ユウリ、昨日って、おい、今の日付はいつだ!」


「5月15日ですけど。タロウさん体調でも悪いんですか。」


その日付を忘れる訳が無い、1日前の14日にお前と会ったのだから。


仲間と会った日を忘れる訳が無い。ユウリなら尚更だ。


「ユウリ、お前、今のお前は第2体系の魔法はどこまで使える。」


俺は次のユウリの言葉に被せるつもりだ。


答えは俺だけが知っている。



「25・高圧放水までです。」

「25・高圧放水はまだ命中率が低いだろ。」



最初の方が被った。これで確信した。


「タロウさん!なんで知っているんですか!、いつかちゃんと精度が上がったら驚かせたかったのに、、、、」


俺は一息ついて、様々な感情を必死になって抑え込んだ。


俺の願いが叶ったのは、いつぶりだろうか。




「ユウリ、俺は、、、長い正夢を見ていたんだ。」


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