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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
3章 Crossing 重なる世界!

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第72話 A-YS

「へぇー!キミたち、異世界(別のゲーム)から来たんだ!すごいなぁ」


「すごいなぁって……ふつーめっちゃビビるっしょ」


「まぁ、【A-YS】は特殊な事情があるからね。プレイヤーは慣れてるんだよ」


「慣れてるって、それはまたすごい話ですね。どういう事情なんですか?」


「知っての通り、【A-YS】はクソゲーオブザイヤーにノミネートされるほどのゲームなんだ。だけど、それでも一部には熱狂的ファンがいる。どんなクソゲーでも満場一致で嫌いなんてことはなかなかないでしょ?」


「そうですね。逆にどんな神ゲーでも嫌う人は嫌いますから」


「でも、当時の【A-YS】は【パーティ】プレイ必須の環境で、残った熱狂的ファンだけでは遊ぶこともままならない状態だった。だから、新たなプレイヤーを呼び込むために、ファンはあるものを作った」


 あるもの……?紹介PV的な?


「VRMMOの中でVRMMOを作ったんだ」


「は?」


「【ロボットマスターズ】と【ロボットバスターズ】だったか。そちらはゲームオブザイヤーで優秀賞を獲得していたと聞いているが……」


「そう!優秀賞を獲得した神ゲーをプレイするには【A-YS】にダイブしなくてはならない。さらに、その神ゲーにおける課金は【A-YS】のゲーム内アイテムで行える。このパーフェクトな作戦でプレイヤーを呼び込んだのさ!」


 ファンの熱意が高すぎる……!プレイヤー獲得のために、そこまでやるんですか!?


 とはいえ、そんな背景があるなら、ある意味では他のゲームからのプレイヤーが訪れても、驚くようなこととは言えないですね。ゲーム内から別のゲームにダイブできる前例があるというわけですから。


「せっかくだしキミたちもプレイしていく?『VRステーション』は現在無料配布中だよ」


「ククク……俺はそのようなゲームより【A-YS】そのものに興味がある。このゲームのシステムはどうなっている?【フォッダー】でも活用できるのか?アイテムは【フォッダー】に持ち帰れた。ならば武器やスキルはどうなる!?検証のし甲斐があるではないか!」


「えっ!【A-YS】に興味があるの!?それなら大歓迎だよ。どうする?まず必須スキルを取得しよっか!【ウェポンドロー】と【ファストチェンジ】は装備に比重を置くこのゲームなら必須だよ。エンチャントを厳選してハクスラするゲームだからね。それと講習は受けないとね。この付近だと『ダンジョン学講座』っていう、ゲーム内のダンジョンの性質を学べる場所があるから、そこで基礎知識を得ておくのもおすすめだよ。ああ、受講料は僕が代わりに払うよ。新規プレイヤーさんのためなら資金は惜しまないよ。さすがに最前線の装備とはいかないけど、装備も提供するね。このゲームの面白いところは中層以降にあるから、序盤は飛ばしたほうがすぐにのめり込めると思うんだ。就職先はどうする?僕のコネで稼げるところは紹介できるよ。実利で言うならダンジョンセーバーっていう仕事がおすすめ。ダンジョン探索を仕事にできるからね。あ、どの装備が欲しい?序盤はこのMP自然回復装備がおすすめかな。戦闘してない時だけ装備して、戦いになったらすぐ変えればいいからね。こういう待機時間用の装備も集めておいて損はないよ。ダンジョンはただ戦うだけの場所じゃないからね。あー、もしかしたらそっちのゲーム世界での武器もこっちで使えるのかな。だとしたら装備はいらないかもしれないね。むしろ僕もそっちに行ってみたいなー。こっちの世界の戦術は装備を主軸としているから、キャラクター自体のスペック的にはあまり大きな変化がないんだよね。今も50層で詰んでる状態だし、新しい風を取り入れていきたいな。そうだ、アイテムの交換会をしようよ。Win-Winだと思うんだけど、どうかな? そういうことなら、こっちも最前線のアイテムを提供できるよ」


----

>やばいよやばいよ


>クソゲーに精神が侵されてる……


>かなりのガチ勢だな。【A-YS】って言ったらロボマスのために仕方なくダイブされるゲームって印象だけど


>これがプレイされるクソゲーとプレイされないクソゲーの差だ


>精神異常者の存在がクソゲーの差なのか……

----


「【フォッダー】は神ゲーですけどイカれたプレイヤーも多いですし、そこに因果関係はないのでは?……それはともかく。えっと、アイテム交換会でしたか?いいですね!ぜひやりましょう!」


「俺は装備の多様性だけは自信があるからな。期待していいぞ」


 ゆうたさんは、装備が本体みたいなところがありますからねー。


「おーけー!じゃあ【A-YS】プレイヤーが集まるところに案内するよ。この辺は初心者向けのエリアだから、過疎なんだよね。誰もいなくてびっくりしたかもしれないけど、密集地にはもう少し人がいるんだ」


 別に何も言っていないのにゲームの擁護を始める彼の姿に、どこか憐憫を覚える。結構気にしてるんだろうね……。


 とはいえ、クソゲーオブザイヤーに選ばれているゲームでありながらも、その内部でプレイできるゲームはゲーム大賞の優秀賞を獲得しているくらいだから、実際のところ過疎っているわけではないのだろう。そう考えると、このエリアの印象だけで勝手に過疎だと邪推されるのは本意ではない、という気持ちも理解できる。


「あ、ちなみに僕の名前は凸テトリス凹だよ。よろしくね」


 この世界のプレイヤーはアバターの上に名前が表示されないらしく、自己紹介されるまで彼の名前はわからなかった。逆にボクの上にはちゃんと卍荒罹崇卍と表示されている。この辺も地味に世界の違いを感じさせてくれますね。


 そしてテトリスさんに連れられて、テレポーターを経由して、【サウスエリア】という場所へ向かう。【サウスエリア】は先ほどまでの【ノースエリア】とは少々趣が異なり、こじんまりとした建物が多い。


 さらに道もろくに整備されておらず、大地がむき出しのままだ。ファンタジーものの【フォッダー】ならばともかく、現代ではありえない光景だろう。


 けれどそこそこの数のプレイヤーが道を歩いており、町並みは田舎っぽいものの、先ほどの現代的なゴーストシティよりもはるかに人の気配がある街のようだ。


「みんなー!大ニュースだよ!異世界から転移者が来た!」


「マジで?やっぱり異世界あったんだな」

「俺が異世界に行きたいのに向こうから来てどうすんだよ」

「1くん、嘘はいけないよ」

「異世界からの侵略者怖すぎ。【A-YS】引退するわ」


 テトリスさんが大声で呼びかけるとプレイヤーたちがボクたちのところに集まってきた。中にはボクのことを知っている人もいたようで、【フォッダー】がクソゲーだから逃げてきたの?なんて言われてしまった。


「あれ?小虎ちゃんじゃないか。お久しぶりブリーフだねー」


 そんな視聴者に混じって、ボクに話しかけてくるプレイヤーが1人いた。


「そ、その呼び方、絶妙に意味のわからない言語センス。もしかして、おっさんですか!?」


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