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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
12章 peace 不安定な世界の狭間で

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第483話 ふわふわ毛玉

 ボクがりんごの種に水をまくと、続いてメグさんがじょうろでたっぷり注ぐ。最後に栄養剤だ。メグさんが自分でかけたいと立候補した。猫姫さんが栄養剤を渡すと、どばどばと過剰なまでに注ぎ込み始める。


 先ほどと同じようにりんごの芽はぐんぐんと成長し、立派な木になった。おいしそうな【りんご】が生っているが……。


 メグさんが【りんご】を1つもぎ取って【ストレージ】に入れる。効果を確認したが、しょんぼりと肩を落とした。


「駄目なのです……。特に料理効果はないのです。これをさらに料理したらおいしくなるかもしれないけど……」


 やっぱりそうなりますよね。これは猫姫さんの専売特許ということで間違いなさそうだ。


 システム上の紐付けではなく、彼女の思想に由来した特殊な〈定義浸食〉といったところか。


「【パインサラダ】の効果付きの【りんご】を購入させていただけますか?」


「喜んでですわ。それにしても……他の人に再現できないというのはなんだか不思議ですわね」


 猫姫さんは首をかしげていたが、これはもう仕方ないことだ。両手いっぱいの【りんご】を購入して【ストレージ】にしまい込む。ボクにとって【パインサラダ】の効果は生命線ですからね。メグさんは別の効果の料理を猫姫さんにリクエストしたようだ。後日調理に挑戦してくれるらしい。


「そういえば……卍さんの【転生】アバターの使い勝手はどんな感じなのです?」


 急に話を変えてきたように見えるが、これは猫姫さんが【ネームド】の【転生】アバターを入手したことを受けての話題だろう。ボクは一応【アイズ・ファミリア】というモンスターの【転生】アバターを持っているが、一度も活用したことがない。


「まだ使ったことがないからわかりませんね……。【転生】は《神なる行動(ディバインアクション)》と組み合わせると強力なので、今のうちに模索しておきたいですね」


 HPが全損してもその場に踏みとどまる《神なる行動(ディバインアクション)》と【転生】は相性が極めて良いことが最近の戦いでわかっている。本来なら《神なる行動(ディバインアクション)》は単なる先延ばしであり、相手も《神なる行動(ディバインアクション)》を行使できるなら発動に追い込まれた時点で実質的に敗北が確定してしまう。しかし踏みとどまった後に【転生】アバターに切り替えてしまえば、敗北の事実を帳消しにできるのだ。アバターの数の都合上、何度も【転生】を繰り返して無限に延命することはできないが、これは残機が増えるのと同義である。


 というわけでボクは【アイズ・ファミリア】の姿に【転生】する。【アイズ・ファミリア】は白くてふわふわの毛をまとった丸っこい生物だ。以前にめりぃさんが使っているのを見たが、モンスターの特性として『視覚』に関連するスキルに協力な特性が加わるらしく、このアバターを活用するなら当然そういったスキルに寄せていくべきだろう。


【魔眼の使徒】

[パッシブ]

効果:[視界][スキル]の[効果時間]を[任意]とする。


「かわいいのです!」


「ほんとですわね。なでなで」


「かわいいではなく、きゅーとと呼んでくださいね」


 猫姫さんがふわふわと宙に浮かぶボクを抱え込むと、優しく全身をなで回す。体がぽかぽかして心地よい。


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>アイズファミリアさんほんとにきゅーと


>ジュエルラビットのほうがきゅーとだぞ


>でも中身は卍さんなんだよな……


>中の人を想像すると素直に可愛がれない

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「失礼ですね。中の人も超絶きゅーとじゃないですか」


 そんな冗談はさておき、猫姫さんに可愛がられながらもボクは【アイズ・ファミリア】の(ビルド)について考える。【転生】アバターは通常のアバターとは違い、モンスターが持つ固有職業(クラス)と任意の基本職業(クラス)の2つで構成される。人間と同じように複数の職業(クラス)の相性がいいスキルを組み合わせるためには装備のスキルに頼る必要がある。しかしそれにも限度はあるので、選択する職業(クラス)は非常に重要だ。


 そして【アイズ・ファミリア】の能力を活かすなら『視覚』系のスキルを使いたいので実質的に【メイジ】一択になる……というわけではなく、【メイジ】の持つ『視覚』系スキルは【アイズ・ファミリア】の固有職業(クラス)枠でも取得可能となっている。だからむしろ他の職業(クラス)を選ぶというのが王道だろう。


 とはいえ【アイズ・ファミリア】のスキルラインナップを見た上で、それでもボクは【メイジ】を選ぶことにした。【メイジ】に存在する肝心の最強『視覚』スキルが固有職業(クラス)のラインナップに含まれていないからだ。


「猫姫さんは【転生】を獲得したばかりですよね?ボクもほとんど育てていないからレベルは初期値なんですけど、ちょっと対戦とかしてみませんか?」


 ボクが提案すると、猫姫さんは星型のエモートを散らしながら即答する。


「卍さんのお誘いとあれば断れませんわね。受けて立ちますわ!」


「私は【転生】アバターがないから見学するのです。よさそうな【ネームド】と出会えないかなー」


----

>猫姫さんはネームドのアバターだろ?卍さんはただの一般モンスターだし、勝ち目無くね?


>スキルで個性がでる段階ならともかく初期レベルだしな


>なんだっけ、猫姫さんは水属性の派生として氷属性が使えるんだっけ?楽しみだな


>アイズ・ファミリアさんもふもふ

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