ハルトウィルの三人目
うわぁ……更新に二年かかってしまった。
「ふぁ〜!貴族街って空気違う〜!」
「お姉ちゃん、声おっきいって……!」
「佳織さんに同意」
「ガウッ!」
え?もう王都に入ったのかって?
だって、ねぇ……王都の下町って臭かったんだもん。もう一刻も早く貴族街へって感じで無言で移動して来たんだ。
あ、でも入場から移動に関してはハルトウィルの二人のおかげでスムーズだったんだよ。
それに、下街門から貴族門までの専用馬車が出ていたから移動はほんっとうに楽をさせて貰っていたから不満を言える立場じゃないんだけどね。
異世界の街は2度目だし、前回はそんなに感じてなかったんだ
けど……流石は王都!それはもう人が溢れていたんだ。
だからだろうねぇ。プルームの街と違って下水道事情が処理に追いついてないらしくて、馬車の中からでも匂う、匂う!
シルバも鼻面に皺がよっていたから相当臭かったんだろうなぁ。
因みに、シルバは専用馬車の後ろからちゃんと付いてきてたんだ。城門で従魔登録したから、
私は勿論、お姉ちゃんや綾ちゃんまで鼻を摘む姿には、ロティもハンナも苦笑い。
綾ちゃんなんか「はい、二人共つけて!」ってマスク渡してくれたもん。マスクをしてようやく息が吸えるようになったから、本当綾ちゃんには感謝!
「私達はこれが当たり前だからなぁ」
「仕方がないですわ。奈津や佳織のスキルに慣れると前よりも匂いに敏感になりますもの」
ロティはそんなに感じてないけど、ハンナは私達に同情してくれているみたい。ここ数日で1番私達の生活に馴染んだのはハンナだったもんね。
で、私達が今いるのは、貴族門を通りすぎてすぐにある広場なんだ。あ、マスクはもう外しても問題無し!
「ここはまた違った賑やかさだねぇ」
「あ!お姉ちゃん!綾ちゃん!あの服可愛い!」
「ん?あぁ奈津が好きな派手すぎない服だもんね」
早速、私は道ゆく人達のファッションチェックを始めるし、お姉ちゃんは下町とは違う店構えに感心してるわで、綾ちゃんはそんな私達姉妹のマイペースさにちょっと呆れてたけどね。
「ほらほら、三人共。ディナが待ってるから、まず我らハルトウィルの拠点に行くぞ?」
ロティが先頭に立って案内しようとしてくれたけど、私やお姉ちゃんの足どりはゆっくり。
仕方なく綾ちゃんが私達の背中を押して進むという様子に、ハンナはずっとクスクス笑ってたなぁ。
でもそんなハルトウィルの二人が護衛してくれたから、王都の街で絡まれる事もなく無事に目的地に到着!
「へ?」「は?」「ほ?」
そして、到着早々に間抜けな声をあげる私達三人。
だって仕方ないじゃない?拠点がお屋敷なんて聞いてなかったんだもん。しかも緑の葉っぱがびっしり壁を埋めている何とも言えない雰囲気があるお屋敷。
「お帰りなさいませ、ロティ様ハンナ様」
ポカーンとしている私達をそのままに、ロティが玄関のドアを開けるとThe・執事って感じの男性が出てきたの。
「ああ、今帰った。ベルヌ、客人を連れてきたぞ。女性三人だが部屋はあるか?」
「勿論でございます」
ん?ロティ、私達は此処に泊まらないよ?とは雰囲気的に言い辛く三人で顔を見合わせていると、クスクス笑うハンナ。
「三人が宿を必要としないのはよく分かりますわ。でも、貴族街の宿も経験しておくと、王都での商売の助けになると思いますわよ?ロティの気遣いを受け取ってあげて下さいな」
なんて言われたら、そうしよっかって事になって部屋に案内されたんだけどね……
「日本人は恵まれすぎているって事を再認識した」
「綾ちゃん、言わないで……」
「上品な味付けで他よりは食べられたけどねぇ」
綾ちゃんが宿の感想を上手くまとめて、お姉ちゃんが同意する。勿論私も同意見だけどね。
宿自体は元貴族のお屋敷を使っているから家具や調度品のランクは高いし、使用人の質も高かったよ。
理由は、この宿の女主人が商家に嫁いだ元貴族だったって事らしいんだけどね。流石にまだ会った事はないけど。
それでも、やっぱりいつものナビちゃんハウスや私のスキルに慣れていると、物足りなさを感じてしまうんだ。
「これしかないなら諦めもつくけどね」
ちょっと質の良いそれでもすごく硬いベッドをポンポンと叩きながら苦笑する綾ちゃん。
お姉ちゃんは「シルバのブラッシングに行ってくるね」とサッサと切り替えて、シルバの居る獣舎に気分転換に行ったみたい。
私?私は色々確認しつつ、ディナさん達の為に布団を選んでいるところなんだ。お金も貰っちゃったし。
そう、ハルトウィルの三人目のディナさんにも会ったんだよ。ディナさんは瘴気影響と怪我で療養中だったんだけど、元気な明るい人でね。すっかり私達と意気投合しちゃってね。
って、言った側から来たみたい。
「三人共居る〜?」
ノックと共にガチャっと扉を開けて私達の部屋に入って来たのは、その当人のディナさん。
ヒョコヒョコ片足立ちで動けるみたいだけど、ちょっと痛々しいんだ。
当人は「冒険者ならこのくらいよくある事よぉ!」なんて言ってバシバシ背中を叩いて来るぐらい明るいんだけどね。
因みに、ロティとハンナはまた下町に戻って、冒険者ギルドで依頼完了報告してる筈。
私達が余りにも下町の匂いに負けたから、予定を変更して信頼出来る宿に先に連れて来てくれたんだって。
で、ディナさんが今私達の護衛兼話相手になってくれているの。
怪我人が護衛?って思うでしょ。ディナさんは闇属性の魔法使いで怪我で動きは鈍っていても、そこいらの冒険者には負けないらしいんだ。
「ありゃ、佳織はいないのかぁ。折角ワイン持って来たのに」
……ついでにかなりのお酒好き。でも飲んでも酔わない体質なんだって。
「お酒じゃなくて、紅茶はどお?」
綾ちゃんが唯一得意な自分で淹れた紅茶を勧めると、それも喜んで受け入れるけどね。
ディナも部屋に備え付けのソファーに座って、綾ちゃんから受け取った紅茶を飲み、「ふう」と満足そうなため息をついてる。ふふ、私も紅茶だけは綾ちゃんには勝てないからなぁ。
「美味い!……そういえば、綾達はいつも美味い物食べているんだって?」
「あー……なんせ食文化の豊かな土地出身だからね」
「食に貪欲な国民性とも言えるけどね」
うん、日本人の舌はかなり我儘だからなぁ。なんて思いながら返事をする綾ちゃんと私。ディナさんは心底羨ましそうに唸ってる。
「くうぅう!私も食べたい!!!……ん?というか、これからは私も食べる機会があるのか!?」
「勿論だよ。奈津の料理は本当に美味しいんだから!」
「へえ!そりゃ楽しみだ!奈津、期待してる!」
「任せてよ!」
って感じでしばらくワチャワチャ雑談をしてた私達。その内お姉ちゃんも帰って来て、結局酒盛りになっておつまみとか出したけどね。
その時のディナの顔ったら面白かったんだよ。至福って表情で表せるんだねぇ。
で、そんな表情でポロッとディナが呟いたんだけど……
「これだったら聖女様も満足されるんじゃないか?」ってね。
思わずバッと顔をあげてディナを見つめた私達に焦ったディナが言うには、この宿に近々聖女様が来店する予定があるんだって!
どうやら、この宿は王都一美味しい料理と有名らしいの。それで、なかなか食が進まない今代の聖女様に、王宮から要請が来たみたい。
「宿の主人のフルア様が何だか悩んでいてさぁ」
なんて同情気味に言うディナ。
え?ちょっと待って!ディナ、この宿の主人と親しいの!?そこんとこもうちょっと詳しく!!!
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1/4記載 すみません!重複投稿していたようです!ご迷惑をお掛けしましたm(_ _)m




